澄んだ空気。
(何か・・・澄んだ空気がする・・・・。)
それが、三日月宗近を顕現した時に感じた、最初の感覚だった。
次にはまぁ、その外見の美しさに驚き目を奪われたのは言うまでもない。
「三日月さんの周りって、なんか空気が澄んでますよね。」
たまたま縁側でお茶をしていた三日月宗近に「茶でもどうだ?」と、
誘われた審神者のは、特に急ぐ用事もないので、
三日月の隣にすわり、質のいい高級玉露を頂いた。
そして常々思っていたそんな事を、今、肌で感じ、何気なく言ってみた。
もうそんなことも言える月日は過ごしている。
「ん?そうか?」
すると穏やかな美しいほほえみとともに、ゆるいそんな返事が返ってきた。
は苦笑いだ。
「いろんな空気まとわせてる人いますし、
三条のみなさんはやはりどこか清らかな空気まとわせてますけど、
三日月さんは特別・・・清らかで澄んだ空気で、最初あった時、びっくりしました。」
がそう言って三日月宗近に微笑むと、三日月は薄く微笑み、
「も独特の空気を纏っているぞ。」
そう言った。
「え!?私ですか!?」
は驚く。
自分になどそんな特別な空気はないと思っていたからだ。
「ああ、持っている。皆を包むように優しく、あたたかく、そして人を惑わす甘くいい香りがする。」
三日月宗近はそう言うと、そっとの肩に顔をのせ、首筋に頬を寄せた。
(う、うわわわわわ!!!)
が真っ赤になりながら硬直していると、
「こらー!ぬけがけはだめですよー!!!」
「わ!」
二人の間に今剣が割って入ってきた。
「はっはっは。見つかってしまったな。」
「むー!」
今剣がの首に抱きついてガードしている。
「あはは。」
助かったのやらなんやらと、思いながらは三日月宗近の言葉を思い出す。
(私、そんな空気あるのかな・・・?香り?)
と。
終。
2020/10/09...