審神者になった日。14
「夕御飯何にしましょうかねー。」
は今剣と手をつなぎながら、長い廊下を歩き、広間に向かいながらみんなに言う。
「何にするかのおー・・・料理は作ったことないきに、わからんぜよ。」
陸奥守吉行は背後のに前を向いたまま話す。
「ぼくはちゃんのつくったものならなんでもよいですよ。」
今剣はにこっと笑いそう言った。
(あ・・・・そうか・・・・私が作るのか・・・・)
今更ながら自分が五人分の夕飯を作ることを自覚した。
陸奥守吉行は作ったことないと言っている。
今剣や五虎退には無理だろう。
山姥切国広は何も言ってないが・・・おそらく、陸奥守吉行と同じで作ったことはないだろう。
(やっぱり私が五人分作るのか・・・・・)
少し肩を下げる。
(何作ろっかな〜・・・・というか、冷蔵庫の中には何があるんだろう・・・・・)
牛乳取った時に色々たくさん入ってたけど・・・・と、思いながら廊下を歩いていると、
明かりのついている広間についた。
(そういえば、今、何時なんだろう。)
ふとそう思いは広間の壁や柱を見るが、時計はどこにもなかった。
今まで気にしていなかったが、召喚されてから、本丸にきてから、
一度も時計をみていない・・・・・。
「あの・・・どなたか今、何時かわかりますか?」
みんなに聞いてみるが・・・・
「んー?わからんぜよ。」
「わかりませーん。」
「・・・・僕も・・・です・・・」
「・・・・わからない・・・・」
帰ってきた答えは、予想通りだった。
「この家・・・って、時計ないんですかね?」
そう思いが聞くと、
「あー、見んっちゃねー。」
そういえば。と、陸奥守吉行は言う。
「とけいがないとこまるのですか?」
「えっ・・・」
今剣の言葉に、言葉を詰まらす・・・・・。
なんとなく今、何時か気になり時計を探してみたが・・・・
確かに時計はなくても困らない・・・・。
日が暮れたらご飯を食べ、お風呂に入って眠る。
ここでは何時にあのテレビがやる。や、
明日の朝は何時起きだから何時には寝なくては・・・など考える必要がない。
日が上ったら起き、日が沈んだら寝る。
そんな生活をすればいいのだ・・・・・。
(でもなぁ・・・・)
しかし、時計がないことはにとってとても不安なことだった・・・。
現代人の性か・・・・・。
(あ、でもお昼ご飯食べる時間とかわからないと困るし・・・)
時計ないとやはり不便だよな・・・・とは思う。
「・・・・・・・・」
そしてふと重大なことにも気づいた。
自分が今、着ている服は冬服のセーラー服。
この服しかない・・・・・。
これで料理できなくもないが、ずっとこの服でいるのは困る。
お風呂に入っても着替えはどうすれば・・・・。
(あ・・・・タンスがあったな・・・・)
そこでふとは部屋にあった二つのタンスを思い出す。
あの中に着替えが入っているのだろうか・・・・・。
まだ確認していないが、もしかして必要なものがかなりないのでは・・・?
(どうしよう・・・・)
そう思っては立ち尽くす・・・・・。
「ちゃん?どうしたのですか?」
「!」
今剣の声で我に返る。
「あ・・・えーっと・・・・」
言葉に詰まるが・・・今はとにかくやることがある・・・・。
はそう思った。
「いや、何でもないよ!大丈夫!さ、ご飯作ろうか!」
作った笑顔でほほえむとは歩みを進めた。
五人でぞろぞろと台所へと入る。
壁にある台所の明かりのスイッチを陸奥守吉行が押し、台所が光に照らされた。
「さて、何作りますかね・・・・」
そう言いながら、今剣にごめんね、と言い手を離しは冷蔵庫へと向かった。
冷蔵庫を開くと、中を確認していく。
牛乳、つゆの素、卵、肉、ソーセージ、ハム、ベーコン・・・・
冷蔵庫には色々なものがたくさん入っていた。
下の野菜室を開くと、レタス、キャベツ、トマト、キュウリ・・・・
その下の冷凍室には、アイスも入っていた。バニラ、チョコ、ストロベリー・・・。
冷蔵庫の横には、じゃがいも、玉ねぎ、ごぼうなどが袋に入って置いてある・・・。
(材料には・・・困らないな。)
よかった・・・と、ほっと安堵する。
(しかし、何を作ろう・・・・)
自分一人なら、野菜炒めか、卵焼きでも作って終わりにするのだが・・・・
この四人がいるとそうはいかない・・・・。
簡単で、それなりにちゃんとしている物・・・・。
もう一度冷蔵庫を開く・・・・・卵が目に入った・・・・。
(あ!)
いい物をは思いついた。
「あの、オムライスなんかどうですか?」
台所の入口付近に立ちを見ていた四人には問う。
「おー、あの卵が丸いやつか。」
「わー!ぼくたべたいですー!たべたいですー!」
一応、以前言っていたように、知識はちゃんとあるらしく、
陸奥守吉行と今剣はそう言って賛成のようだ。
五虎退と山姥切国広は、黙っている・・・・。
「五虎退くんと国広さんはどうですか?」
二人へが問うと、
「あ・・・はい、僕も・・・食べたい・・・です・・・・」
「・・・・・それでいい・・・・・」
二人もそれでいいようだった。
「あ!ご飯炊いてない!」
しかしそこでは重大なことに気づき、ハッとして叫ぶ。
五虎退と山姥切国広は、いきなり話が変わりが叫んだので、少しビクッとする。
「あ〜・・・今から炊いて間に合いますかね・・・・早炊きでなら30分くらいで炊けるかな・・・・」
慌てて電子レンジと電気ポットの横の炊飯器を見に行く。
炊飯器は大きい業務用のような物もあったが、
普通の家庭用のサイズのもあった。
コードはコンセントにさしてあり、炊き方コースを見ると、早炊きコースがあった。
炊飯器はどうやら五合用のようだ。
蓋を開けると、案の定、新品の香りがする空の状態だった・・・・・。
「みなさん・・・今からご飯炊いて作ると1時間位たってしまうんですけど・・・いいですか?」
おそるおそる入り口付近に立っている四人に振り向きながらは尋ねる。
「半刻くらい大丈夫ぜよ!な!おまんら?」
すると、ハッハッハッ!と笑いながら、陸奥守吉行は他の三人に聞いている。
「だいじょうぶですよー!ちゃん!」
「はい・・・僕も・・・大丈夫です・・・・」
「・・・・・平気だ・・・・」
みんな大丈夫と言ってくれたのではほっとする。
「それじゃあ急いで作りますから、みなさん広間でお茶でも飲んで待っててください。」
にこっとほほえみながらはそう言った。
「ああ、わし、手伝うぜよ。」
しかし、陸奥守吉行がそう言ってくれた。
「あ、ぼくも!ぼくもてつだうのです!」
今剣も・・・・
「あ、僕も・・・邪魔でなければ・・・お手伝いします・・・・」
五虎退も・・・・
「・・・・・俺が・・・必要なら・・・・」
山姥切国広も手伝ってくれるようだった。
「あ・・・ありがとうございます。」
そんな申し出には嬉しくなってほほえんでお礼を言う。
(あ・・・でも危ないかな・・・流しとか台にも届かないしな・・・・)
しかしそこで今剣と五虎退のことをは気にかける。
申し訳ないけれど、二人には広間で待ってもらおうと思った。
入り口付近にいる今剣と五虎退のそばまで来ると、
はしゃがんで二人と目線を合わせながら、話す。
「あの・・・今剣くんと五虎退くんは・・・・手が届かないし、危ないから、
広間で待っててくれるかな・・・手伝ってくれるって言ってくれたのにごめんね・・・・。」
申し訳なさそうにほほえんでが言うと、
「あ・・・はい・・・わかりました・・・・」
少し悲しそうな顔をしたが、五虎退はすんなりと引き下がったが・・・・
「ぼくおてつだいできます!あぶなくないです!」
今剣は引き下がってくれなかった・・・・・
あ〜・・・とは少し困った顔をする。
「いや、流しとかに手届かないし・・・火使うし危ないから・・・ね?」
ぷくっとむくれる今剣を、なだめるようにが言うと、
「せのびをすればとどきます!」
と、今剣はガンとしてきかなかった。
「あー・・・今度!次はちゃんと手が届くように台、用意して手伝ってもらうから!ね?」
ごめんね。と、両手を合わせながら困った顔でが言うと・・・・
「・・・・わかりました・・・つぎはおてつだいしますからね!」
今剣はそう言い、引き下がってくれた。
「ありがとう。」
よかった・・・と、思いながらはほっと安堵する。
「じゃあ、五虎退くんと今剣くんは広間にいてね。」
がそう言うと、虎を抱えた五虎退と、まだむくれている今剣は二人で広間へと向かっていった。
そうして、台所には陸奥守吉行と山姥切国広とが残った。
ふうっと息をつきながらが立ち上がると、
「大変じゃったな。」
と、陸奥守吉行は笑っている。
あはは・・・とは苦笑いで返した。
「じゃあ、三人でご飯作り頑張りましょうか!」
そして調理を開始する。
「・・・・・・・・」
しかしそこでふとは気になることがあった・・・・。
自分も人のことを言える服装ではないが、
陸奥守吉行と山姥切国広の格好・・・・・。
刀を持ってたり、甲冑の一部をつけていたり・・・・
そして山姥切国広は白い布を頭から被っている・・・。
邪魔だったり危なくはないのだろうか・・・・。
特に山姥切国広の白い布は、火が燃え移りそうだ・・・・。
「・・・・・・・・・・」
だが、他に服がないのかもしれないし、自分も制服だし・・・・・・
(うん、いいや。今回はとりあえず。)
でも、国広さんはコンロに近づけないでおこう・・・とは思いながら、
始めましょうか!と、二人に声をかけたのだった。
続。
2015/11/01....