審神者になった日。04
(まだ・・・つかないのかな・・・・・)
もう何段登っただろう・・・・とは思いながら、
立ち止まって後ろを振り向いた。
もう、入口と、男の姿は見えない。
赤い鳥居と階段だけが、闇の中に浮かんでいた。
(ちょっと・・・てか、かなり疲れてきたよ・・・・)
ずっしりとした刀を持ち、カバンを持ち、登り続ける。
ふと顔を上げると、階段と鳥居が続く前方に、白い光が見えた。
(え・・・あれって・・・・)
出口!?と、思いながらは足を速めた。
(出口かな!?出口だよね!)
は疲れていた足に力を込め、足早に登る。
徐々にその光は近づき、大きくなって行った。
そしてついに、光まであと数段という所までたどり着いた。
ふわっと、風が頬をかすめる。
「!」
は瞳を輝かせながら、その光の中へと飛び込む。
「・・・・・・・・・」
風が頬をなで、鳥のさえずりが聞こえ、太陽の暖かい光がを照らす。
そして、正面には・・・・・平屋の大きな日本家屋があった。
日本家屋の周りをぐるっと竹垣が囲いは玄関から少し離れた、
その竹垣の途絶えている入口の様な場所に立っていた。
「!」
ハッとし、後ろを振り返ると、もうそこには何もなく、舗装のされていない砂と土の道が続いていた。
「・・・・・ここ・・・が、本丸・・・・・?」
はそう思いながら、刀とバックを持ち、その場に立ち尽くす。
(お城かと思ったけど・・・大きな日本家屋だ・・・・)
がそう思いながらそこに立っていると・・・・
「ようこそいらっしゃいました!あるじさま!」
「!?」
は足元から声が聞こえ、驚いて足元を見る。
「私はこんのすけと申します。以後、お見知りおきを。」
そこには・・・・顔に赤と水色の模様が描かれた、小さなきつねのようなものがいた。
(・・・・きつね・・・?が・・・しゃべってる・・・・)
はそう思いながら、呆然とそのきつねを見つめる。
「あるじさま?いかがされました?」
「・・・・・・・」
こんのすけと名乗るきつねのような生き物は、
しゃべり、自分をあるじさまと呼んでいる・・・・・。
は戸惑いながらも、そのこんのすけという生き物に話しかけた。
「あの・・・はじめまして・・・・ここ、本丸ですか?」
はこんのすけにそう訪ねた。
「はい!ここは本丸でございます!」
こんのすけはぴょんと跳ねながら答える。
「・・・・・・」
何だか少し可愛くては少し安心した。
「あの・・・私、さにわ・・・としてここに来たんですけど・・・・・私・・どうしたら・・・・」
そして、こんのすけにそう問う。
「はい!おまちしておりました!私がご案内しますので、ご安心ください!」
こんのすけはそう言いながら微笑み、尻尾を振っている。
「・・・・・・・」
何だかようやくほっと出来る場所に来れたかも・・・・。
はそう思いながら、はい、よろしくお願いします。と、こんのすけに言葉を返したのだった。
続。
2015/10/10....