審神者になった日。01













時は2015年、1月―――








「今日も寒いな・・・・天気も悪いし、雨降ってきそう・・・・。」


冬服のセーラー服に、コートを羽織ったは、どんよりと曇った空を見上げながら、小さくつぶやいた。

通っている高校から、徒歩で帰宅中の
通い慣れた通学路。
今日も何も変わらず、何事もなく、このまま家に帰るのだと思っていた・・・。

家へ帰り、着替え、夕飯までの間、暖かい部屋でお菓子でも食べながらテレビを見る・・・。
そんなつもりでいた。

しかし・・・・・


(あ!降ってきた!)

ポツポツと大粒の雨が降ってきた。
傘を持っていないは、慌てて走り出す。
しかし、家まではまだ距離があった。

(うわ!ちょ!)

雨は急激にどんどんと強くなっていった。
夕立や通り雨のような、強く激しい雨。
傘なしではずぶ濡れだ。

(どうしよう・・・・・)

濡れたら困る教科書やノート類の入ったカバンを、
せめて少しだけでも濡れないようにと、胸に抱えは走る。

(これは、どこかで雨宿りしないとだめだな・・・)

そんなことを思いながら、雨がしたたる前髪を指で脇へとよけると、
いつも通る、小さな無人の神社が目に入った。

(雨宿り・・・・できるかな。)

はそんなことを思いながら、小走りに神社の階段を上がっていく。
階段を上ると社が見えた。

(あ、雨宿りできそう!)

社の賽銭箱の上には屋根がある。
は、すみません!と心の中で言いながら、賽銭箱の横へと駆け込んだ。


「ふー・・・なんとかなった・・・・・」


雨から逃れてはほっとしながら、コートやカバン、髪についた雨を払う。
一通り雨を払うと、カバンを片手に持ちながら、ふうっと一息つき、辺りを見渡した。

(雨・・・降ってるなぁ・・・・)

雨はザーッと勢いよく降り続いていた。

「・・・・・・・・」

空は雨雲に覆われて、暗い。
自分が上ってきた階段や、舗装された参道などが雨に打たれている。
人の目でもしっかり確認出来るほど、雨は強くたくさん、地面を叩きつけていた。

「はぁ・・・」

吐いた息は白い。
一月の雨・・・・風邪をひきそうだ。
早く帰りたいな・・・と、思いながらは辺りを見渡した。

神社の周りを取り囲む大きな木々。
静かで、独特の雰囲気のある境内。
何回か来たことのある小さな神社だが、雨のせいか、いつもと違った雰囲気だった。
静かで・・・少し怖い。
雨音だけが辺りに響く。
雨の匂いや、湿気を肌で感じる。

境内はいつにもまして、独特の雰囲気だった。


(雨・・・早くやまないかなぁ・・・・)


賽銭箱の横に立ち尽くす

「・・・・・・・・・」

なんとなく後ろを振り返り見ると、社の中が見えた。
広い座敷に奥には鏡。

「・・・・・・・・」

少し怖くなった。

はカバンを抱えて、賽銭箱の後ろにある階段に座る。

(寒いし、早く帰りたい・・・・)

がそう思っていると・・・・


チリーン・・・・


「!」

鈴の音が聞こえた。

「え!?」

は怖くなってバッと立ち上がり、辺りを見渡す。
しかし、辺りには誰もいない。何もない。


チリーン・・・・


「!」

また、鈴の音が聞こえた。


(何これ!?私の聞き間違いじゃないよね!?何!?怖い!!)


はそう思い、カバンをぎゅっと抱えて握りながら、
辺りをぐるぐると見渡すが、誰もいないし、何もない。
静かな境内に、雨が降っているだけだ。

チリーン・・・チリーン・・・・・・

しかし鈴の音は止まない。
それに加え、何かお経のようなものも聞こえてきた。

「何!?」

はたまらず声に出して叫ぶ。

(怖い怖い怖い!!!やだ!帰ろう!!)

濡れたっていい!がそう思いながら、走り出そうとした、その時。

バンッ!と、鍵がかかっているはずの社の扉が開き、ぶわっと突風がそこからふきだした。

「!」

思わず反射的に振り返ったは、強い風に首をすくめ目を細め、手を目元にあてながら、目をつむる。


目をつむる前の、一瞬に見たのは・・・・・・・桜の花びらと・・・・強く白い光だった・・・・・・。












続。


2015/10/08....