おまじない。
それはとある日の午後、穏やかな本丸で、仕事部屋の文机に向かう。
彼女は今、ここ一ヶ月の報告書を書いていた。
しかしの手が止まる。手がふるふると震えたかと思うと、
「あー!もうやりたくない!やりたくない!!」
バターンと、いい香りのする畳に倒れ、大きな声で彼女は叫んだ。
「もうやだ〜・・・やりたくない、やりたくない・・・何で報告書なんて
書かなきゃいけないの・・・しかもひと月分・・・まぁ、溜めた私が悪いんだけどさぁ・・・」
とがブツブツと言いながら、畳の上でゴロゴロしていると・・・・。
「あるじさまー?どうしたのですかー?」
開け放たれている障子戸から、近侍の今剣がひょこっと顔を出した。
「今剣ちゃん・・・」
彼女は障子戸からパタパタと近づいてくる今剣を見て涙目になる。
「おおきなこえがしたので、なにかあったのかとおもいましたー。」
今剣は寝転がっているの横にくると、ぺたんと膝をつく。
「今剣ちゃ〜ん。もう報告書やりたくないよー!やりたくないよー!めんどくさいよー!」
はそう言いながら、バタバタと畳を叩く。
「あるじさま、おちついてくださいー。」
今剣はそんなにあわあわと慌てている。
「そうだ!ぼくがおまじないかけてあげます!」
今剣はそういうとに起きてください。と、言った。
のそのそとが起きると、ぴょん!と今剣が首に抱きついてきた。
お香のいい香りが鼻をかすめる。
「だいじょーぶだいじょーぶ。あるじさまはできるこです!あるじさまならきっとできます!」
はぽかんとしてしまう。
「はい!おまじないかんりょうです!おしごとおわったら、
いっしょにおだんごたべましょう!ぼく、まっていますからね!」
そう言うと、今剣はにっこりと微笑んだ。
「・・・・・」
は顔をうつむかせて、ふるふると肩を震わせる。そして、
「今剣ちゃーん!!!もういいよ!もういいよ!今すぐ一緒にお団子食べようー!」
と、今剣に抱きついた。
「わわっ!あるじさまー。だめですよー。おしごとおわらせないとおこられちゃいますよー?」
今剣はよろけながら、抱きついてきたの頭を困った顔でなでる。
「あるじさま、がんばってください。ぼく、ここにすわっておうえんしてますから!」
今剣が頭をなでながらそう言うと・・・・
「・・・わかった・・・頑張る・・・・・」
はそう言いながら今剣から名残惜しく離れた。
「それでこそ、ぼくのあるじさまです!がんばってはやくおだんごたべましょう?」
今剣はそう言うとにっこりと笑った。
「・・・うん!」
審神者のは涙目で勢いよく返事をすると、机に向かった。
そしての横にちょこんと座りながら、今剣はその後も終わるまでを励ましたのだった・・・。
終。
2015/11/19....