ひみつのはなし。
「いわとおしー!いわとおしー!」
ぱたぱたと廊下をかけながら、今剣は、
広縁に座り茶菓子を食べていた岩融に飛びつくように抱きついた。
「おお、おお、どうした今剣よ。」
岩融は、ハッハッハッ!と笑いながら今剣を抱き上げ一回しすると、
自分の膝の上に座らせた。
「きいてください、いわとおし。」
茶菓子を渡された今剣は、ぷくっと頬を膨らませながら、
両手で持った茶菓子をむっと見つめたまま話しだした。
「ぼくちゃんとあそびたくて、
だからずっとおしごとのあいまができるのをまってたんです。
すきをみてたんです。」
うむうむ。と、相槌を打ちながら、岩融は茶をすする。
「やっとおしごとがひとだんらくしたのでふたりであそびだしたんです。
なのに・・・ほかのたんとうたちがとおりかかって・・・みんなであそぼうって・・・。」
「そうかそうか。」
パンパンと手を払う岩融。
「ぼくとちゃんだけであそんでたのにぃー!
ぼく、ずっとまってたんですよ!ふたりだけであそびたかったのに!
なのに、みんなであそぼうって!こんかいだけじゃないんですよ!いわとおし!
まいかいまいかい、みんなでみんなでって!
ぼくはちゃんとふたりであそびたいんです!」
まったく!と言いながら、ふくれた今剣は茶菓子をばくばくと頬張った。
「そうだのぉ・・・ここも随分、刀達が増えたからのぉ・・・。
まぁ、俺はその増えたほうだが・・・今剣はまだ少ない頃からいたから、
ほかのやつらが増えてを取られてご立腹か。」
ハッハッハッ!と、岩融は笑う。
「ほんとうです!さいしょのころはよくふたりであそんでたのに・・・・。」
今剣は俯く・・・・。
「ねぇ、いわとおし・・・・ふたりで・・・・ちゃんをつれていってしまいませんか?」
「・・・・・・。」
「そうです!つれていきましょう!ぼくといわとおしとちゃんのさんにんで!
ずっといっしょにあそびましょう!」
今剣は、ぱっと岩融の膝の上から立ち上がると、顔を輝かせてそう言った。
「なまえもしっているからできますし!
ぼく、けんげんされて、はじめてちゃんにあったときびっくりしたんですよ。
かいこういちばんになまえなのるんですもん。
いつでもつれてってくださいっていってるようなもんですよね。」
ふふふふ。と嬉しそうに笑い、その場でくるくると回る今剣。
「・・・・そうだのぉー、今剣・・・・俺もそうしたいが・・・・。
三人で・・・・過ごせたら幸せだがなぁ・・・・。
三日月の怒りを買うのはちょっとばかり厄介だからのぉ・・・。」
「!」
岩融の言葉にぴたっと止まる今剣。
「あと、この本丸のやつらが躍起になって探しにくるぞぉ。
まぁ、俺たちならなんとかならなくもないが・・・・。
全員相手となるとちょっと厳しいかもなぁ・・・・。」
岩融はそう言いながら難しい顔をして顎をさする。
「・・・みかづき・・・おいかけてきますか・・・・?」
今剣はしゅんとしてうつむきながら、ズボンの膝をぎゅっと握った。
「そうだなぁ・・・三日月も小狐丸も・・・みんな追いかけてくるだろうよ・・・。」
岩融はそんな今剣の頭にぽんと手を乗せた。
「みんなの大事なだからなぁ。」
ふっと岩融はほほえんだ。
「も〜〜〜!!!!ぼくのちゃんが〜〜〜!!!!
ぼくたちだけのものだったのに〜〜〜!!!!なんでこんなにかたなふえたんですかあ〜〜〜!!!」
すると今剣はビターンと床に倒れこみ、ジタバタと四肢をバタつかせ、泣き叫びだした。
「おやおや、どうした今剣よ。そんなに泣き叫んで。」
そこへ優雅な笑みをたたえながら三日月がしずしずと歩いてきた。
「みかづきがわるいのです!ぜんぶみかづきがわるいのですーーー!!!!」
「おや、俺のせいか。はっはっは。それは悪いことをしたのぉ。」
はっはっは。と、のんびりとした笑い声と、ギャーギャーとした子供の泣き叫ぶ声、
ハッハッハッ!という豪快な笑い声も加わり、混沌と化したその場に
審神者のが駆けつけるのはわりとすぐのことだった・・・・。
終。
2017/09/21...