朝の戦。
それはある日の朝のこと・・・・
「ふぁ〜・・・・」
(眠いなぁ・・・)
あくびをしながらぼんやりと、まだ襲って来る睡魔と戦いながら、
眠い目をこすってトイレへと向かう。
「早くしろよー!!!」
トイレに近くなると、毎朝聞こえてくる複数の声の罵声。
ドンドンドン!とトイレの扉を叩きながら聞こえる声の数々・・・・。
「おい!早く出ろよ!いつまで入ってるんだよ!!」
「お願いです〜!早く出てくださいー!」
「はしたないぞ、お前ら。」
「・・・・・・・・」
ここ、本丸には10個の男子用トイレがあるが、
賑やかになった本丸では、それでもトイレが足りないようで、
この様な光景を毎朝見ている。
トイレ足りないのかなぁ・・・増築お願いしてみようかなぁ・・・・
などとが思いながら、トイレに着くと、
「あ、主様、おはようございます。」
「あ!大将、おはよう!」
刀剣男士のみんなが朝の挨拶をしてくれる。
普通にしてくれる刀剣男士もいるが、
トイレを我慢していてぎこちない笑顔で挨拶してくれる刀剣男士もいる。
「おはようー。」
は笑顔でそう返すと、トイレに入る。
そして用を足し、出てきても、まだ男子トイレの列は続いていた。
トイレの扉を閉めて廊下に出ると、隣の男子トイレに並ぶ五虎退が目に付いた。
引っ込み思案な五虎退は、言葉には出さないが、
顔は、早く出て!と悲痛な表情をしている。
「・・・・・・五虎退くん、こっちのトイレ入る?」
は特に何を思うわけでもなく、五虎退にそう言いながら、
専用となっている女子トイレを指差した。
「!」
そう言われた五虎退は、控えめな表情だが、え!?と、驚いた顔をする。
「い!いえ!!大丈夫です!!!」
そして、五虎退は少し顔を赤くして、顔をうつむけた。
「・・・いいの?平気だよ?」
と、再度は本当に五虎退が使うくらいなら平気なのでそういうが・・・・
「いえ!あの・・・入るわけには・・・いきませんので・・・・」
顔を赤くしてうつむきながら、五虎退は答えた。
「そう・・・・」
それでも、もじもじとしている五虎退を見ながらが少し心配そうにしていると・・・・
「え?入っていいの?じゃあ俺、入る。」
そう言いながら、五虎退の後ろに並んでいた御手杵がひょいっと、
列から出てに笑顔を向けながら、大きな図体で女子トイレへと入ろうとした。
「ああ・・・まぁ、いいですけど・・・・」
は本当に気にしないので、そう言いながら、扉の前からどくと、
やったー!と言いながら、御手杵は扉に手をかけた。
しかし、その時。
「うっ!」
「貴様は何をしている・・・・」
扉を開けようとした御手杵の後ろ襟を掴み、
思いっきり後ろへと引っ張りながら、
物凄い表情をした長谷部が御手杵の背後にいつの間にかいた。
「え?何?く、苦しい!トイレに入るだけなんだけど!」
御手杵はそう言いながら、少し後ろによろけて後ずさりする。
「主の厠に入ろうなどと、笑止千万!!!万死に値するぞ!!!」
長谷部はそう言いながら、御手杵の後ろ襟を掴んだまま、
横へとぶん投げた。
「おわっ!」
御手杵はよろけながらも、転ぶことはなく、女子トイレの前から退けられた。
「・・・・・・・・」
がそんな光景を呆然と見ていると、
「主、失礼しました。あいつには俺からよく言い聞かせておきますので・・・・・」
長谷部はそう言うと、綺麗なお辞儀をし、御手杵へと振り向いた。
「え?何?ちょっと・・・!」
長谷部の後ろ姿だけで見えないが、おそらく物凄い表情をしているのだろう、
御手杵は焦った表情をしながら後退りし、走って逃げ出した。
「まて!!貴様!!!」
そんな御手杵を長谷部は自慢の機動力を使い追いかけたのだった・・・・。
「・・・・・・・」
悪いことしたかな・・・とは思いながら、目があった五虎退と、
ははは・・・と、苦笑いを浮かべたのだった・・・・・。
終。
2016/02/22....