ずっと願っていたもの。
ずっと願っていたもの。
それはなんだろうと、千堂武士は考える。
日本チャンピオンのベルト。
世界チャンピオンのベルト?
圧倒的、強さ。
強いやつと戦うこと。
「千堂さーん!また洗濯物出してないでしょー!
おばあさん怒ってたよー!」
「・・・・・・」
敷きっぱなしの布団に仰向けで寝転がって考えていた千堂のもとへ、
もう付き合って数年のがやってきた。
千堂は黙って、ちょいちょいと手招きする。
「え?何?」
が近寄ると、
「ちょお、屈めや。」
と、千堂は言った。
「え?」
いぶかしみながらもは屈む。
「うわぁ!」
屈んだを、野生動物が獲物を捕らえるかのように、
千堂はガバッと抱え込み、その腕の中におさめた。
「ちょ!何すんの千堂さんー!」
「・・・・」
暴れるだが、力で千堂にかなうはずもなく、
千堂はを抱え、髪に顔をうずめ、瞳を閉じる。
いつもの彼女の香りがした・・・。
ずっと願っていたもの。
それはきっと、こういうことなのかもしれない。
終。
お題屋さんのお題をお借りしました!ありがとうございました!

2019/01/10...