ショートコント。













それは、千堂が優しい良い人だと知って間もない頃・・・。




スッ・・・スッ・・・スッ・・・スッ・・・。




「・・・・・・・・。」


は今、自分の煩悩と必死に戦っていた。


ここは教室。
そして今は昼休み。
そして目の前には寝ている千堂武士。

はその千堂の前に立っていた。
自分が立って何かを企んでいるとはまだ千堂は気づいていないようだ・・。
すやすやと寝ている。


ここでが何をしているかと言うと・・・・。



千堂武士の髪を触りたい!!!



と、前々から思っていたことを実行に移そうとしていたのだ。

あの髪を触りたい・・。
絶対少しふわっとした猫っ毛だ!!
触り心地は絶対良い!!!

というわけでは今、触ろうか触るまいか、
千堂の頭に手を出したり引っ込めたりしていたのだった。


教室にいる生徒達はそれを奇異の眼で見ていた。

何をしているの?あの千堂武士に何をしているの??殺されるわよ!!!

と。

だがは、最近結構千堂と仲が良い。
教科書を貸してあげたり、わからない問題を教えてあげたり、
会話もよくしている。
そして千堂は決して女を殴らないことを知っている。
優しい良い人なのだということを知っている。


(どうしようかな・・触り・・・たい!!!)


そして何度、手を出し引きしただろう・・は勇気を振り絞った。


(すいません!!!触らせていただきます!!)








くしゃ・・・・・







「・・・・・・。」



はにっこり微笑んでいた。


しかしその心中は・・・。





(のあーーー!!思った通り!!!良い!!!凄く良い!!この感触!!!
たまらないーーーーーー!!!)


と、心の中で絶叫していた。

その証拠に段々顔がにやけてきている・・・。

が、髪を触られれば、うたた寝してる人は大抵起きる。




「あ〜あ?」


千堂がむくっと起きた。

教室中がひぃ!と慄く。



「・・・おはようございます、千堂さん。」


はにっこり微笑んだ。


「・・・・今・・わいの頭触らんかったか・・・。」


千堂は起こされて少し不機嫌。


「い、いいえ。」


あら、少しやばいかしら。とは嘘をつくと。


「・・・・わいは嘘は大嫌いやて前言いよったよなぁ・・・。」


千堂が少し殺気を放ちながら言った。




「ごめんなさい、今、髪を触らせてもらいました。」




はすぐ降参した。
千堂に嘘をつくとどうなるか知っているからだ・・。


「・・・・何で触ったんや・・・。」


が白状して、殺気を引っ込めた千堂は、あーあ。と伸びをして言った。


「いやぁ・・・触り心地が・・・良さそうだった・・から?」


エヘ。とは言う。
内心怒られるかとビクビクだったりする。


「・・・何やんそれ・・・。」

千堂は、ああ?という顔をする。


「千堂さんの髪、絶対ふわふわで猫っ毛だってずっと思ってたんです・・。
それで前々から触りたいな〜て思ってて・・・・ほら、なんとなく
あの人の髪触りたい・・て思うことあるじゃないですか!」


無いよ・・。


と教室中が思う。



「何やそれ、お前だけやそんなん。第一、わいの髪なんか触り心地良くないわ。」


そしてその後に、千堂が言った。


「いやぁ!全然、良かったです!!!」


しかしは嬉しそうに少し大きな声で言った。




「・・・・・・・・・・。」



そんなを見て千堂は・・・。




「うわっ!」



ぐしゃぐしゃぐしゃっとの頭を撫で回した。


「せ、千・・堂・・さん・・。」




「あー、ほんまや、人の髪の触り心地ってええなぁ・・。」


千堂は真顔で言う。


千堂はただたんに、やられたらやり返せの根性と、そんなに髪は触り心地が良いのか・・
という好奇心とでやったまでだった。


深い意味は無い。





一通り撫でられた後はあーあ・・と、ぐちゃぐちゃになった髪を手で整えながら言う。


「あたしの髪は触り心地なんて良くないですよ。それより千堂さんの方が良いですよ。」


は、ああ、あの触り心地・・とうっとりとしながら言う。
顔はその時を思い出し嬉しそうだ・・。


「・・・アホ、お前の方がええわ。」

そんな顔でそんな事を言われ、さすがの千堂も照れが入る・・。

「はぁ!?千堂さんの方が良いにきまってるじゃないですか!」

が、まだもやは言う。

「お前や。」

「千堂さんです!」

「お前。」

「千堂さん!」

「お前やって。」

「千堂さんだってば!!」





「・・・・・・・・・・・。」


その光景を見ていたクラスの全員はが殴られやしないかと心配していたが、
胸をなでおろし各々の私事へと戻っていった。





『あの千堂と何かいちゃついてるよ・・・ははは。』





と思いながら・・・。












終。


112233を取られた真由さんへ、リクエストは千夢で出来れば甘く。でした。



2003/06/29....