先生。06
そしてどれだけの時間が経っただろうか・・・・。
「・・・・・・・・。」
宮田はただただ、すがりついて自分に寝ているを見つめていた・・・。
「・・・・。」
しかし、そこで周りが静かな事に気づく・・。
後ろをちらっと見ると・・・・。
「ガーー!」
「スゴー・・・・」
「カーー・・・」
「う〜・・ん・・・。」
一歩とあの三人がいつの間にか寝についていた。
「やっと寝たか・・・・。」
宮田はぼそりとつぶやく。
「スー・・・。」
そしても寝ている・・・。
の手が緩んでいたのでそっと身体をずらしてみる・・・。
「う・・・・・・ん・・・・・・。」
するとごろん。と反対側に寝返りをうちは宮田を離した。
「・・・・・・・・はぁ・・・。」
そして宮田は半身起き上がり、あぐらをかきながら一人疲れた・・と重いため息をついた。
寝かしつける体勢も結構楽ではないのだ・・。
片肘が痛い・・・。
宮田はそんな事を思いながら喉が渇いたな・・・・。
と、飲み物を探す・・・。
「・・・・・・・・はぁ。」
しかし、余ってる物は酒しかなく・・いや、元々酒しかなかったのだろう・・・。
宮田は別に平気だろ・・・と、最初が飲んだような
アルコール度5パーセントのチューハイに手をつけた。
ごくごくごくごく・・・・・・・・。
「ぷはっ・・・・。」
宮田は疲れたせいか。うっぷんがたまってたせいか。
チューハイを一気飲みした。
(結構、うまいな・・・・・。)
宮田はそう思い、もう一缶に手をつけた。
しかし、それはアルコール度が・・・・。
「ん〜・・・・・・。」
はうっすらと眼を開いた・・・。
ぼやけた視界の抱きついている何かの隙間から蛍光灯の光が差し込む。
「・・・・ん〜・・・・・ん?」
その時のは既にばっちり酔いがさめていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
そして自分の抱きついている物・・・多分誰かの体。
と。
自分の身体に回されている腕・・・だろう感触に硬直する。
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
は恐る恐る顔を上げた・・・・・。
そこには睫毛ばっちりな綺麗な宮田のお顔があった・・・・。
(ひいいいいいい!!!)
そうは宮田に抱きついていたのである。
というか抱きかかえられていた・・というか・・・。
の頭は首の後ろから肩に回された宮田の腕に乗っていた。
そして宮田のもう片方の手はの背中から腰にかけて。
そして足も絡み合いながら・・・・・・。
はがっちりと宮田に抱きつかれていた・・・・・・。
(どどどどどどゆこと!?)
は脂汗がにじむのがわかった・・。
そんな変な汗をかきながら。
そっと身体を離そうとする・・・が。
宮田の力は結構強大で、逃れられそうになかった。
(ひー!何!何なの!?)
とはさっきまで自分がしてきたことを完全に忘れ、
心の中で宮田にそんな事を叫んだ。
そして宮田の顔をまた見ると。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ぱっちり宮田のおめめが開いていた。
「み、みみみ宮田君!!??」
は焦って叫ぶ。
「暴れんな・・・・・。」
宮田はそう言うと更にぎゅっとの身体に手を回し、
首を曲げ、頭をの肩・・首筋にのせた・・・・・・。
首筋に宮田のさらさらとした髪があたる・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
はそんな宮田の尋常じゃない行動に硬直していた・・・。
動けない・・・指一本動けない・・・・。
は真っ赤になりながら硬直していた・・・・・・。
(・・・・・ん?)
しかし、そこでふと、宮田から漂ってきた酒の匂いにはっとする。
(そうか・・・酔っ払ってんだ・・・・・。)
宮田君が酔っ払ってる・・と言うのもなんだか面白いが、
そんな事言っている場合ではない・・・・。
「み、宮田君・・・離してほしいなー?」
は恐る恐る言った。
「・・・ああ?お前抱き心地が良いんだよ・・・寝るぞ。」
と、宮田はの肩、首筋に顔をのせながら囁いた・・・。
その声は少し甘ったるくけだるそうに・・・。
の耳元で囁くように聞こえ・・・・・・。
(ひいあああああ!!!)
を心の中で絶叫させた・・・・。
(み!宮田君!何!?誘ってんですか!襲って欲しいの!?なんなのさ!!)
とは自分が普通なら襲われる立場なのに、
そんな事を心の中でまくし立てていた・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
はドキドキしながらも・・・顔の側にある、
宮田の髪から香る香りや抱き抱えられた感触が心地よく・・・。
心臓は破裂しそうだが、しばらくそのままでいた・・・・。
の首筋に宮田の規則正しい呼吸がかかる・・・。
「・・・・・・・・・・。」
自分もこのまま寝てしまおうか・・・・。
皆も寝ているし・・・・・。
とは宮田に抱き抱えられ気持ちよく、
何だか抱きつかれていることも気にしなくなり、
自分からも抱きついて寝ようかと・・・。
うとうとしながら宮田の背に手を回そうとした・・・。
その時だった・・・・・。
「チャーーーラッチャーチャッチャラー♪」
「うわぁ!!」
静かなみんなの寝息だけが聞こえる部屋に大音量で何かの音楽が流れた。
「け、携帯!?」
そう、それは机の上に置いてあるの携帯の着メロだった・・・・。
音楽はガンガンと鳴り響き・・・。
「う・・・ん・・・?」
「ああ〜・・・?」
「ん・・何だ・・・・。」
と、次々と寝ている人々を起こした。
「ん・・・・・・・。」
そして宮田も顔をしかめ顔を上げ、何事かとに回していた腕を緩めた。
(やった!!)
そしては残念やら嬉しいやら、宮田の腕から逃れられ、
バッ!と起き上がり机に駆け寄り、携帯を手にした。
「もしもし?」
が携帯に出ると・・・・。
【今、何時だと思ってるの!!!いつまで勉強してるの!?もういい加減帰ってきなさい!!!】
という大音量の聞きなれた親の声が聞こえてきた・・・・。
「へ?今、なん・・・・」
じ。と言おうとして壁時計を探し見たは唖然とした・・・・。
時は既に夜中の0時近くになろうとしていた・・・・・・。
「ぎゃーーー!!!ごめんごめん!今すぐ帰ります!!!」
と、時間に気づいたは「こんな時間まで本当に勉強してたの!?」
というような親との会話をしながら、急いで机の上にある
自分の物を鞄に詰め。鞄をしめて鞄を担いだ。
「じゃあ、私帰りますんで!!鍵はちゃんと閉めてくださいね!」
とは叫ぶと、机にジムの鍵を置き部屋の中の状態も気にせず、
バタン!と部屋のドアを閉め、家へと帰って行った・・・。
「ん・・・・・・・。」
そして宮田は起き上がった・・・。
そして起きた宮田がぼーっとしながら目にしたその光景は・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
静かな部屋に、自分とだいの男四人が、
缶とゴミの中で、
無機質な灰色の床に雑魚寝している姿だった・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
どんどん冴えて来る宮田の思考回路に比例して、
宮田の眉間の皺が寄った・・・。
(帰ろ・・・・・・。)
そして、宮田はなんだか凄くうんざりしながら
寝ている四人を放置して帰ろうとした。
机の上の鞄をしょい込み、帰ろうとする。
しかしそこではっと気づく。
このままこの部屋を放置して帰ったら。
明日の朝、八木さんか会長にこの惨状を見られるわけで。
そこに俺とがいないのは良いが・・・。
部屋を借りたのは・・・・・。
責任は・・・・・・・・?
怒られるのは・・・・・・・・?
「・・・・・・・・・・っ・・!」
宮田はダン!と鞄を机に戻した。
「おい!起きろ!!!」
そして四人を叩き起こし始めたのである・・・。
「ほら!幕之内起きろ!!!」
一歩を揺さぶり起こす宮田に
「うーん・・・宮田君〜。」
一歩は宮田の腕を握った。
「!!!」
バッ!
ガン!!
宮田は一歩の手を払い飛ばすと、青筋を立てながら一歩の腹を蹴った。
「う、げほげほ!!!」
そして一歩起床。
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
そして宮田は・・・・。
ガン!
「ぐは!」
ガン!
「げほ!」
ドゴン!!
「・・・・ん〜・・?」
酔っ払いを起こすコツを掴み、次々と他の三人の腹を蹴っ飛ばした。
「あんたら起きてください!こんなとこ会長に見つかったらやばいでしょ!
部屋は俺らが片付けるからとりあえず帰ってください!」
と、宮田は寝ぼけ眼な三人にそう告げた。
「あ〜・・?今、何時だ?」
「12時過ぎですよ・・・・。」
青木の言葉に宮田が答える。
「あー?ちゃんは・・?」
「もう帰りました。」
と、眼をごしごしこする木村に宮田は早く帰れ。と思いながら告げる。
「うーん・・っと、じゃあ一寝したし帰るか〜。」
「そうだなー、片付けは宮田がやってくれるつーし・・。」
と、二人は伸びをし、すごすごと部屋から出ようとした。
が、しかし。
「・・・・その代わりあの人連れて帰ってくださいね。」
ガッと宮田に服を掴まれると、暗雲を周りに立ちこませた宮田にそう言われた。
「はい・・。」
「連れて帰ります・・・・。」
「じゃーなー。」
「あと、宜しくー。」
「ガー・・ゴー・・・。」
「・・・はぁ・・。」
と、青木、木村、そして二人にに引きづられて行く
鷹村の三人を宮田は見送ると、宮田は小さくため息をついた。
「じゃあ、僕も〜。」
と、まだ酔いがさめてなさそうな一歩も帰ろうとした。
が。
「お前は一緒に片付けるんだよ・・・・。」
さっき「俺ら」って言っただろうが・・・。と、
ギラッと宮田が一歩を睨んだ。
「はい・・・・・。」
その怖さで、一歩の酔いは急激にさめた。
その後、宮田の指示のもと、てきぱきと片付けは進み・・・・・・。
「じゃあね、宮田君。」
「・・・・ああ・・。」
午前一時過ぎ、両手に大量のゴミを持つ一歩と。
同じく、地面に両手分のゴミを置き、ガチャとジムのドアを閉める宮田の姿があった。
(はぁ〜・・・終わったか・・・・・・。)
宮田はそんなことを思いながらポケットに鍵を入れ、
両手にゴミを持ち、家へと歩き始めた・・・・。
そもそも何でこんな事になったのか・・・・・・・。
「はぁ・・・・。」
宮田はげんなりとため息をついた・・。
に勉強を教えるはずで・・・。
教えていたらあの三馬鹿が乱入してきて・・・。
幕之内も酔うし。
も酔うし・・・。
そいでを寝かしつけ・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
と、宮田は今日の出来事をプレイバックしてはっと我に返った・・・。
なんか・・・・なんか・・・・・。
今日、凄い事してなかったか?俺?
を寝かしつけるまでもそうだが・・・・。
その後・・・・・・・・・・。
あまり記憶が無いのだが・・・ぼんやりと覚えている・・・。
のやわらかい身体・・・。
の香り・・・。
の肌の感触・・・・・。
バサッ。
宮田は両手に持っていたゴミ袋を落とした。
立ち止まって・・・。
硬直して・・・・。
顔は真っ赤だった・・・・・・。
そしてどうして良いかわからないような困った顔をしている・・・・・・・。
きっとが見たら「可愛い〜〜〜〜!!!」と
絶叫するであろうそんな真っ赤な困った顔で、
宮田は午前一時半の夜道に立ちすくんでいた・・・・・・。
今日の事をは覚えているだろうか・・・。
自分が何をしたか覚えてるだろうか・・・・。
俺が何をしたか覚えてるだろうか・・・・・。
宮田はこの日初めて『明日が来なければ良い・・。』
と、思った。
明日はどんな明日になるのやら・・・・。
それはこれから昇るお日様だけが知っている・・・・・。
終。
2003/10/21....