寒い夜だから。













それは、皆で飲みに行く日の事・・・・。



「う〜〜〜・・さみぃ。」

木村が鼻をすする。

「他のみんなまだですかねぇ・・・。」

その隣でも手をこすり合わせた。


ここは駅前。
今日、一歩+3バカトリオの面々で、遊びに行く予定なのだが、
現在、待ち合わせ時刻になっても木村と以外まだ来ていなかった。

(まぁ、待ち合わせで二人っきりてのもいいしな・・。)

木村がそんな事を思っていると・・・。




「おーっす。」





「「・・・・・・・・・・・・・・・。」」



木村とは目を見開いた。

何故なら・・・



「た、鷹村さん・・・どうしたんですか・・・・。」



3番目に現れたのが鷹村だからだ。
しかも、待ち合わせ時間から約15分。

鷹村が待ち合わせに来るのはいつも最後。
しかもかなり時間が経ってからだ。

そんなわけで二人ともかなり驚いていたのだが・・・。



「んだよ。」



鷹村は、ああ?と聞き返した。


「鷹村さん・・今日は早いんですね。」


は恐る恐る聞いてみた。


「あ?ああ。なんとなく来た。」


よく分からない鷹村の言葉には苦笑いするしかなかった。





「て、おい。まだ全員来てねぇのかよ。」


そこで鷹村が青木と一歩が居ない事に気付く。

「あ、はい。」

がそう答えると・・・


「ッチ・・あいつら遅刻しやがって・・・。」



いやいやいや、あなたも15分遅刻ですから。



とは誰も突っ込めないが木村との二人は心の中でそう突っ込んだ。








「う〜〜〜・・さみぃな今日・・・。」

そして木村・・鷹村。
の順に並んで他の二人を待っていると、鷹村がそうつぶやいた。

「今日から冬将軍到来らしいですからね〜・・。」

木村は言う。

「冬将軍・・・?」

鷹村は聞き返した。

((やっぱり・・・。))

ここで聞き返してくると二人は思っていた。


「鷹村さん。冬が来たって事ですよ。人間じゃありませんからね。」


は軽く説明する。


「・・・・ふーん・・。」


どうでもよさそうに鷹村は肩をすぼめる。






「・・・寒いな。」

「・・・寒いですね。」

「・・・おう。」



木村が寒いを口にして。
続いても口にして。
最後に鷹村も同意すると・・・。



「・・・・・・・・・・・。」



鷹村は何気なく隣にいるを見た。

そして着ている上着のチャックを下ろすと。




「うわぁ!!」



その周囲にの叫び声が響いた。



「お、あったけ。」



そして周囲の目も気にせず、鷹村はそう言った。

「た、鷹村さん・・・あんた・・・。」

そこで木村は絶句する・・。


そう、鷹村は横に立っていたの背後に回り、
自分の上着の前にを包みいれたのだ。

の頭が丁度鷹村の顎位なので、
鷹村はの頭に顎をのせていた。



しかし、人間カイロにされているはたまったもんじゃない。



はたから見たら「おいおい、何だよこ馬鹿ップル」状態である。


「た!鷹村さん離してください!!」


は真っ赤になって叫ぶ。


「あ〜?あったけーから良いじゃねぇか。」

と、鷹村は言う。

「温かいからって・・・」

あ、確かに温かい。


は思うが、そうじゃなくて。
は自分で突っ込みを入れた。



「恥ずかしいから離してください〜〜!!」



は鷹村の前に回され手のひらを組んだ腕を必死に取ろうとするが、
まぁ、敵うわけがない。
どうしようかと思っていると・・。


「「・・・・・・・・。」」


その横にいた木村と目が合った。

「き、木村さーーん!助けて〜〜!」

は木村に頼むが・・・。

「・・・・・・・。」

本当は気持ちよく思わない木村だが、
言っても無駄そうだが、一応言ってみる。


「鷹村さーんちゃん嫌がってますよー。離してあげてくださいー。」


その言葉に鷹村は・・・・・





「あったけーからやだ。」





はいはいはいはいはい。
そんなこったろうと思いましたよ。
と、木村は思いに「・・・諦めな。」的な目配せをした。


「〜〜〜〜〜〜っっ!!!」


そんな木村にが泣きそうになると・・・


〜〜〜〜〜〜〜♪


の携帯がなった。


ナイス!と、思いながらは・・


「鷹村さん!携帯なってるから離してください!
一歩君か青木さんかもしれないんで!」


と、いう離してもらう理由を言った。


「・・・・ッチ」


鷹村は舌打ちするとを上着の中から解放した。



(やった!)



と、思いながらは携帯に出る。


「もしもし?あ、一歩君。あ、うん・・うん。わかった。
うん、大丈夫。ありがとね〜。」


は携帯を切る。


「一歩なんだって?」


鷹村がに聞いた。

「なんか、夜釣りでお店が忙しくて来れないそうです。」

「ああ?」

と鷹村がそう話していると、今度は木村の携帯がなった。


「おう、青木。あ?んだよしょうがねーな・・・わかったよ。じゃあな。」


木村はブチッと携帯を切る。

「青木さんどうかしました?」

今度はが聞いた。

「急にトミ子と会う事になったからこれねぇって・・・あの野郎・・・。」


「あ〜・・じゃあこの三人ですか。」


はつぶやいた。




「こねぇんならさっさと行くぞ!」


鷹村は少しイラつきながらひるがえり、駅の構内へと向かった。


「・・そうですね。」

「行きますか。」





こうして3人は夜の街へと繰り出したのだった。












終。


2006/12/05....