乱世拳闘物語。03
「♪〜」
「・・・・・。」
に戦国時代とか、日本の昔の知識は学校の授業と、
時代劇、大河ドラマ程度しかない。
なので、この鼻歌を歌って両腕を頭の上で組んで歩いている鷹村の、
前を歩いている人がどんな立場なのかはわからないが、
それでも下っ端だということはなんとなくわかる。
その人を先頭に、鷹村、少し離れて死んだ顔をしたの順で歩いていると、
「おい、あんま離れて歩くなよ。」
と、鷹村に振り返り言われた。
「・・・・・はい。」
心配してもらえるのは嬉しいが、刀を持った人の近くを歩きたくはありません。
なぜ武器を奪ってから前を歩かせなかった!!!
バカか!あ!バカだった!!
とは心の中でぶつぶつ言いながら鷹村の背後に隠れる形で少し近づいた。
(あ〜〜〜これからどうなるんだろう・・・絶対殺される。
殺されるだけならまだいいけど・・・。)
とはさきほどから同じことをずっと繰り返し考えていた。
道を曲がり、坂道を上り、どんどん上っていく。
すると、門番らしき物が見えた。
「あ!」
すると突然、案内していた男が駆け出した。
「チッ、逃げやがった・・・・。」
鷹村は舌打ちして、睨んでいる。
鷹村の足なら後を追って捕まえることはできたが、
そうするとを一人にするため、しなかったのだ。
男は門番に何かを伝えている。きっと自分たちのことだろう。
はそう思いながら、内心ハラハラしていた。
すると、門番が中に入り、中からわんさか兵が出てきた・・・。
「ほらーー!!だから言ったじゃないですか!兵たくさんいるって!」
「あ?お前、んなこと言ったか?」
「あ・・・言ってませんでした・・・・いいから早く逃げましょう!」
は泣きだしそうになりながら鷹村の袖を引っ張り、坂道を下ろうとする。
「あに言ってんだよ・・・・正面突破だ・・・・。」
鷹村はにたりと笑い、パン!と、こぶしを手のひらに叩き付けた。
(いや、そのセリフと表情と仕草はかっこいいですが、何言ってんですか?)
は真顔になる。
「何言ってんですか!!相手、銃は多分、ないと思いますけど、
いや、あるかな・・・でも確実に、刀と槍と、あとなんか刃物はありますよ!!
勝てるわけないじゃないですか!!!」
「キサマ、誰に言っている。オレ様だぞ。
あんな小者が武器持とうが、たいしたハンデにならん!」
「いやいやいや!!死にますって!!」
は必死で止めるが、
「お前はここで待ってろ。とりあえず門の辺りのやつ蹴散らしたら迎えに来る。」
鷹村はの頭に手を置き、ふっと笑い、駆け出して行った・・・・。
「鷹村さん!!!!」
(待って待って待って!!!嘘でしょ冗談でしょ!!!)
唯一のこの世界での知り合いが、そばを離れたのもあるが、
鷹村が、大勢の刀や槍を持った集団に素手で、しかもジャージで叫びながら
突進していくのを見て、さすがの鷹村でも無理がある。死ん・・・と、
には絶望しかなかった。
いやだいやだ・・・鷹村さん・・・・!
と、後を追いかけたい気持ちもあったが、
邪魔になるのは明白だし、
どうしていいかわからず動けないし、
涙はあふれてくるし、
はただ、試合を見守る時の様に、手をぎゅっと口元で握り、
涙目で遠くから戦う鷹村を見つめるしかないのだった・・・。
続。
2022/11/10...