お家に行こう!
〜鷹村さん編〜
01
「なぁ〜、今度合コンしようて話があるんだけど参加しねぇか?」
ここは鴨川ボクシングジム。
今日もたくさんのボクサーが汗をかき、トレーニングする中、
休憩していた青木が木村に声をかけた。
「お、合コンか〜良いね〜・・・はっ!?」
と、慌てて木村は辺りを見渡した。
「・・・大丈夫だ、まだ鷹村さんには気づかれてねぇ・・。」
青木はこそっと木村に言う。
「そうか・・・それは良かった・・・。」
そして木村も一息つく。
「・・・しかしよぉ・・鷹村さん最近合コンだの女だの言わなくなったよなぁ・・。」
そういえば・・と木村はつぶやいた。
「ああ・・それは・・・・。」
「「・・・・・・。」」
そして二人は後ろを振り返った。
「おーい!なんか飲みもんくれ!」
サウンドバックを一通り打ち、休憩しようとした鷹村はそう叫んだ。
「あ、はーい!」
そして鴨川ジムのバイト。は置いてある飲み物を渡す。
「おお、あんがとよ。」
そして鷹村はに微笑んだ。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・。」」
そしてその過程を見つめていた二人・・。
「やっぱり・・かなぁ・・。」
「なぁ・・鷹村さんていくつよ・・。」
「・・・まさか・・とは思うんだけどよぉ・・。」
「・・・まさかなぁ・・・。」
「だけどよぉ・・・。」
と、そんな暗号のような会話をしていると・・。
「おう。お前、明後日暇か?」
鷹村がそんな事を言い出した。
鷹村さん!?
青木と木村は心の中で絶叫する。
「え・・・まぁ・・暇・・ですけど・・。」
もいきなりの事に焦る。
「一緒にどっかいかねぇか?」
そして次の言葉に更に焦る。
「え・・・・っ・・。」
これって・・デートのお誘い・・てやつなのだろうか・・。
は焦る。が。
(いやいやいや・・そんな筈はないよ・・。)
と、思いなおし、何かわけがあるのだろうと、聞き返すことにした。
「・・・な、何でですか・・・?」
は恐る恐る言う。
「あー、俺、明後日休んでどっか行こうかと思ったんだけどよ。
誰も捕まらなくてな・・俺様の誘いだってのに。」
鷹村はまったく・・と言う。
(そういうことか。)
は少しほっとして鷹村にいった。
「でも、平日ですから私も学校ですよ。」
はごめんなさいー。と笑う。
「夕方までだろ?夜があるじゃねぇか。」
しかし、鷹村はそう返してきた。
「え・・夜?夜に・・どこ行くんですか・・・。」
が焦りながら聞くと・・。
「あ?どっか飲みに。」
さらりと鷹村は答えた。
「・・・・・・・鷹村さん。私高校生ですよ。」
は少しうなだれながら言う。
「あー?そんなん関係ねぇよ。」
しかし、鷹村に常識が通じないことを忘れていた。
「駄目です。親に『親の前では飲んでも良いけど
親のいない時には飲むな。』て言われてるんで。」
はぴしゃりと言う。
しかし、その言葉もどうよ・・・。
と、傍観者の青木と木村は突っ込む。
「あ〜・・しゃーねなー・・折角の休みだってのによ〜。」
鷹村は少し機嫌が悪そうにぶつくさ言う。
「・・・休みなら家でのんびりしてれば良いじゃないですか。
私、休みの日はいつも家でのんびりしてますよ。」
はそう言った。
しかし、その言葉が不味かった・・・。
「家でのんびり・・・・そうか。じゃあ俺様の家に来い。」
「は・・・?」
は思わず持っていた綺麗にたたんだタオルを落としそうになった。
「夕方からうちに来いよ。なんなら夕飯奢ってやるしよ。」
鷹村は話を続ける。
「い・・や・・そう言うことじゃなくて・・。」
は鷹村の突然の申し出に焦る。
「あーそうそう、俺様の部屋散らかってるんだよなー。
掃除も洗濯もこのごろしてねぇし台所もなぁ〜・・部屋片付けてくれねぇか?」
おまけにそう言い放った。
「・・・なんであたしが鷹村さん家の掃除しなくちゃいけないんですか・・・。」
は呆れ顔。
「良いじゃねぇかよ、どうせいつもここで似たようなことやってんだしよ。
チャンピオンベルトもたまには日に当ててやんねぇーとな〜・・・。」
鷹村が行ったその言葉の最後にが反応した。
「・・・チャンピオン・・ベルト・・・?」
「・・・あ?」
「そうか・・鷹村さんベルト持ってるんですよね・・良いなぁ・・見たい・・かも・・。」
はそうつぶやく。
そこで鷹村がにやりと笑った。
「見に来るか?確か押入れの試合ビデオの山のどこかにあったはずだぞ。」
そして更にその言葉の最後にが反応した。
「試合ビデオの・・・山・・・?」
「・・・・・・あ?」
「鷹村さん、試合のビデオたくさん持ってるんですか!?」
の顔つきが明らかに変わった。
そう、最近このジムにバイトしだしてから、密かにはボクシングにはまっていた。
やはり生の試合などを見ているせいか・・ボクシングに目覚めていったのだった・・・。
なので、色んな試合のビデオを見れるとなれば・・・。
行くしかない!見たい!ビデオ!
ビデオの山から漁って良いの見たり持ち帰りたい!!
との心はうきうきと弾んでいた。
ビデオを手に入れるにはあの『鷹村の』部屋に入らなくてはいけない事も忘れて・・・。
「ああ・・あるぜ、たくさんな。」
「じゃあ行きます!!学校終わってから!明後日ですよね!」
「ああ。」
「鷹村さんのアパート・・前、皆で行って道知ってますから、
じゃあ・・五時頃行きますね!」
「ああ。」
「じゃあ、明後日お伺いします〜!」
そしては嬉しそうに去って行った・・・・。
そのの後姿を鷹村が悪魔が微笑んでいるかのような顔をし
舌なめずりをしていたことも知らずに・・・。
「ま、まじ・・・?」
「・・お、おいどうするよ・・・・・・。」
そして今までの過程をずっと見ていた二人はガタガタと震えていたのだった。
続。
2003/05/26....