お家へ行こう!
〜千堂さん編〜
01













「おう、行くでー。」



「あ!ちょっと待って千堂さん!」










『・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』








それは授業もHRも終わった放課後の事・・・・。


いつも通り皆、部活やら変える支度をしていた教室は・・・



その二人の言葉に静まり返った。




何故なら・・・。





「何や、お二人さん。とうとうできたんかい。一緒に帰りかー?羨ましいのー。」




皆の心の声を代弁したのは委員長だった・・・・。

委員長は自分も帰る支度をしながら、あはは。と笑顔でさらりと言った。





「なっ!誰と誰ができとんじゃい!!」




しかし、その言葉に少々赤くなりながら叫ぶ千堂武士。


「そ、そうですよ!違いますよ!私が千堂さん家に物借りに行くだけですから!!」


そしてもそう答えた。




「あら、なんやそうなんかい。何やつまらんのー。」



と、委員長はぼやく。




「何がつまらんじゃ・・・!!!」


「せ、千堂さん行きましょう!行きましょう!ね!早く!!」




と、委員長の言葉に切れそうな千堂をは慌てて教室から押し出した。


さすが、猛獣・・もとい千堂使い。







そしてガラガラっと教室のドアは閉まり、教室はほっと安堵の雰囲気になった。



「ちょお、委員長、あんまりびびらせんといてやー。」

「そや、千堂切れたらどないすんねん。」


皆は次々に委員長にぼやいた。


「平気や平気。いざとなったらがなんとしてくれるさかい。」


「そんな・・・・・。」






そんな事が話されてる教室をよそに本人達は・・・。


















「何ができたや!ほんまに!!!」


と、学校を出て、千堂の家へと向かいながらも、まだ千堂はブリブリと怒っていた。


「・・・・・・・・・・・・・。」


はさっきからこの文句を「はいはい・・。」と何度も聞いていた。



「・・・・・・・・。」



しかしそこでふと思った。



(・・・あたしと噂されるのがそんなに嫌かしら・・・・・・・・。)



ちょっと沈む




「ったく・・・あ!!!」



と、そこで千堂武士は叫んだ。







「あんな!怒っとるけど、お前とできてる言われとるのが嫌なんとちゃうで!!!」







「・・・・・え・・・。」



は千堂にいきなりなんだか凄いことを言われ焦る・・・・。

これはちょっと凄いことなんじゃ・・・・とが思っていると・・。





「・・・・・・・・!!!」





本人も言ってることの重大さに気が付いたらしい・・・。


「あ・・いやな・・・その・・・・・。」


徐々に千堂が慌てて赤くなっていく・・・・。


「違うんや!そうやなくて!!いや、でもそうでもなくて!」


と、千堂があたふたしている・・・・。



は何だか少しおかしくなってきた・・・・・。




「くっ!ふふ・・・・。」




は思わず笑ってしまった





「あ!何、笑っとんのや!!
わいは・・わいはやな・・・ただ、根も葉も無い噂言われるんが嫌いなんや!!」




と、千堂は叫んだ・・・・・・。





根も葉もないねぇ・・・・・・・。





は少しなんだかなぁ・・と思いながらまだ笑っていた。

別に残念と言うわけではないが・・・・・。

まぁ、これで良しとしとくか。とは結論つけた。



「そ、そんなことより、うち来てボクシングの雑誌やらビデオ見るんやろ!」



「はい!わーわー!楽しみーー!!」



は千堂の心境を察し、まだ笑いが込み上げるが、
わーわー!と両手を天にかかげはしゃいでみせた。



「・・・・・・おう。」



そして千堂はなんとか平静に戻った・・・。




そう、今日は千堂の家にボクシングのビデオや雑誌を見せに貰いに行くのだった。


それはがジムに通いだし、ボクシングに興味を持ち始め、
ジムで何気なく千堂がたくさん持ってるー。という事を言ってしまったがため、
そこでの眼が光り、強引な約束をされ、千堂の性格上、まぁええか・・・。

と、今日こうなったのである・・・・・。






「千堂さんの試合のビデオとかありますー?」


は千堂に聞いた。


「おう、あるで。」


「デビュー戦とかは?」


「それは・・・あるかのぉ・・?」



と、何気ない話をしていると・・・・・・・。







ポツ・・・



ポツポツ・・・・。







「雨だ!」


そう、雨が降ってきた。



「ん?別にすぐやむやろ・・それか小降り・・・・・。」




と、千堂が言っている間に雨はザーッと、どんどん急速に強くなっていった・・・。





「何やいきなり!!!大雨になってきてんで!!!」




千堂は叫ぶ。




「せ、千堂さんどうしましょ!?」




二人は鞄を頭上に掲げながら話す。

その間にも雨は大粒でどかどかと二人にそそいだ。






「っ〜〜〜〜走れ!うちはもうすぐや!!!走ればなんとかなるぅ!!!」



そういうと千堂は行くで!!!と走り出した。



「え!?ちょ、ちょっと待って!?」



プロボクサーのダッシュについていけるわけないじゃなーい!!


と、思いながらもは走り出した千堂の後を追っかけるのだった。






そして雨はますます強くなる・・・・・・・。















続。


2003/11/23....