匂い。













「ふふふ〜。」


は今、鷹村の部屋にいた。
そしてこたつに肘をついてニコニコとしている。

するとドンドン!と、扉を叩く音がした。

「あ、はいはーい。」

が何度も言われてようやくかけるようになった鍵を開け、
扉を開くと、そこにはジム帰りの鷹村がいた。


「おう、帰った。」

「おかえりなさい。」


今日ははジムの仕事が休みなので、鷹村の部屋に来ていたのだが、
鷹村が部屋に足を一歩踏み入れてピタリと止まり・・・・。


「なんかくせぇ・・・・。」


と怪訝な顔で言った。

「な!くさくないですよ!いい香りじゃないですか!!せっかくアロマ加湿器持ってきたのに!!!」

ドカドカと部屋に入る鷹村のあとに続いて部屋に入りながら言うに、
鷹村は部屋の中に入り、蒸気を出しているしずく型の物体を見つけると・・・

「これか・・・。」

と、言い、コードを引き抜いて窓をガラリと開け、窓から捨てようとした。

「わーわー!待って待って!!止めますから!!!ていうか窓から物投げ捨てないで下さい!!!!」

投げ捨てようとする鷹村を背後からなんとか止めて、
はアロマ加湿器を抱え、息をついた。
しかし、鷹村は部屋の窓すべてを開ける。

「え、そんなに嫌な匂いですか?」

季節は冬なので、さむい・・・とつぶやきながらいうに、

「オレ様は鼻も一流だからな。匂いが鼻につくのだ。」

と、言いながら、バサバサと上着を振り、匂いを部屋から追い出している鷹村。

「はぁ・・・。」

はアロマ加湿器を箱に閉まって、こたつに入った。

「もういいか・・・・。」

しばらくバサバサしていた鷹村は、窓を閉める。

「これでお前の匂いになった。」

そしてそう言った。

「は?」

は鷹村を見るが、鷹村は着替えて無視している。


「・・・?」



は知らない・・・。


が家にいるだろう日に、家に帰って扉を開けると、


部屋にの香りがするのが、


そんなことはもちろん鷹村は言わないが、



ほっとして、心地よくて安心することを・・・・。







終。



2021/10/25...