なにわ拳闘会所属。
「ちわー。」
それはいつも通り、千堂武士が所属ジム、
なにわ拳闘会に来た時だった・・・。
「でな、こう巻くんやで・・・。」
「うーん・・あ!こうか!!」
「そうや。」
入ってすぐ、部屋の右端の方で女の声がした。
千堂は何気なく聞き覚えのある声だと思い、
声のする方向を見ると・・・・・。
「何でお前がおるねん!!!」
「!」
「!?」
「!?」
千堂の声がジム中に響き渡った。
「・・・千堂さん・・・あー、やっぱりここのジムだったんだ。」
そう、千堂の通うこのジムに・・・・クラスメイト。
がいたのだ。
「やかましいわボケ、何や知り合いか?」
と、千堂のトレーナーの柳岡が現れた。
「知り合い・・てか知り合い・・・同じガッコの同じクラスや。」
千堂は柳岡に言う。
「おい!何でお前がおんねん!」
そして、千堂はの方に向かいながら言う。
(呼び捨てか・・・・。)
と、周りの誰もが思うが、まぁ、千堂だし・・と言うことで
別に深い仲ではないのだろう。と察した。
その察しは正しい。
「何でって・・・・。」
は千堂の言葉に返そうとする、その言葉を遮って。
「さんはボクササイズに来たんや。」
千堂の背後で柳岡が言った。
「・・・・・ボクササイズゥ〜?」
と、千堂が、はぁ?と言う感じに言う。
その感じにはむかつきながらも自分を抑えた・・。
この頃のと千堂の間柄はまだ、突っかかれる程ではなかったのだ。
「・・・・・表の張り紙見たことあります?
ここ、女性向けにボクササイズやってるんですよ・・。」
だからは静かにそう言った。
「最近流行うてるの知らんか?うちの経営もあんま良くないつーこって・・、
女の人相手にボクササイズして金もろうてんねん。」
「・・・・・・・・。」
その説明を聞いた千堂は・・・律儀に表に行き、
張り紙を見て・・・・戻ってきた。
「・・・・・ほんまや。へ〜、ボクササイズか〜がボクシングやるんか?」
と、千堂はリングのロープに寄りかかりながらどこか面白そうに言った。
「・・・なんですか!やっちゃいけないんですか!
痩せるし・・・千堂さん見てたら楽しそうだったから・・・やってみようと思ったんですけど・・・。」
は少々むくれて言う。
「なんや、わいの影響かいな・・・・。」
と、千堂は意外な顔をする。
「まぁ・・・半分・・ですけど・・。」
とは何だか少し恥ずかしくなって手に巻くバンテージをぐるぐる巻いた。
「ああ、何やっとんねん、ちゃうでそれ。貸してみぃ。」
と、千堂はに近づくと、手をとり、ぐるぐると丁寧に巻きだした。
その巻き方は慣れていて、早くて、上手くて、丁寧で・・・。
「ほれ、出来た。」
出来上がったのを見たとき思わずは・・。
「わー・・・凄いうまーい。」
と、思わず感嘆の声を上げていた。
「当たり前やん。プロボクサーやで。」
フッと、千堂は笑う。
「でもなぁ、千堂・・・今、巻き方教えてたからやられると困るんや・・・・。」
しかしのトレーナーらしき人がそう言った。
「!」
そこでは我に返り、周りを見る・・・。
そこには、
「あーあ、何か二人の世界作ってるよ・・・」
という顔をした人々がいた・・・。
「あああ!すいません!巻きなおしますね!!」
とは慌てて少し赤面しながら千堂が巻いたバンテージをぐるぐるとほどく。
が。
「ああ!なにすんねん!わいが折角まいてやったのに!」
と、千堂がの手を止めた。
・・・どうやら千堂はこの空気を読めてないらしい・・・・。
「良いんですよ!あたしはあたしでやるんですから!千堂さんあっち行ってください!」
「ああ!何やその言い方!むかつくわー!」
「な!何がですか!?あたしの方がさっきの言い方むかつきましたよ!」
「何がや!わい何にも言ってへんで!!!」
「ああ!もう良いから!!早く練習してください!」
「さっきってのを聞くまで練習せぇへん!教えや!!!」
「だーかーらー!!!」
「・・・・・・・・・・・。」
柳岡は思った・・・もしかしたらとんでもない人を
いくらお金を貰う立場と言え、入れてしまったのかも・・・と。
終。
2003/08/04....