これからも、どうぞよろしく。
「わー、桜。」
鷹村とのロードワークの途中、自転車に乗って鷹村について走っていたは、
桜並木に通りかかり、頭上に満開の、綺麗な桜を見上げて、ほほえんだ。
「あ〜?」
鷹村も頭上を見上げる。
「綺麗ですね!・・・今年で何回目だろう・・・この桜並木見るの・・・・。」
「しらねーよ。」
自転車を止めて、はらはらと舞い落ちる桜の花びらを手でつかもうとするに、
ぶっきらぼうに鷹村はそう答えた。
本当は何年目かは覚えている。
鷹村は足を止め、素早く両手を動かし、シャドウをする。
もう何度目かの春。
毎年この桜並木を二人で走ってきた。
「おら、行くぞ。」
「あ、はい!」
また、来年も。
再来年も。
この桜並木を二人で走るのだろう。
きっと走っている。
これからも、どうぞよろしく。
終
2022/10/12...