この気持ちを何と言おう。
(あかん・・・どないな顔して、おうたらええねん・・・・)
自室の、古く小汚い天井をぼーっと見つめながら、
夢で自分の恋心に気付いてしまった千堂武士は、放心状態になっていた。
(あー・・・・ええわ、とりあえず今日はもう・・いい・・・サボりや・・・)
千堂は、うぅ〜〜っと小さくうめきながら布団を顔に押し当て、
抱え込み、二度寝の態勢に入った。
しかし、
「・・・・・・」
万年床の布団の上でごろんと寝返りを打つ。
「・・・・・・・・・・」
もう一度。
「・・・・・・・・・・・・・・」
そして、もう一度・・・
「あーっ!!もうアカン!なんで頭にぽんぽん浮かんで来るねん!わいは寝たいんや!寝ろ!!」
被っていた布団をめくり、顔を出すと、千堂は自分で自分に叫ぶ。
その顔は、真っ赤とまでは行かないが、結構に赤くなっていた。
千堂は、ああもう〜〜!と、うつ伏せになりながら、
ねこっ毛で柔らかい髪を、がしがしとかき混ぜ、布団の上でもんどり返る。
「・・・・・もう・・・なんやねん・・・・」
恥ずかしくてしょうがないのだ。
うつ伏せのまま少し身体を起こすと、枕にぼすっと拳を乗せ、
少し瞳を伏せて、赤い頬とやるせない表情でじっと枕を見つめる。
好きなことも恥ずかしい。
次から次へと、昨日のや一昨日の、
何気ない日常のひとコマなのに、意外にも記憶していたいつかのの姿を、
自然とぽんぽん思い出してしまう自分が恥ずかしい。
思い出したの姿に、どきどきと、動揺してしまう自分が恥ずかしい。
でも、嫌じゃない。
「・・なんやねん・・・〜〜〜っ!」
恥ずかしいけど、
照れるけど、
いたたまれないけれど、
でも、
うれしくて・・・
幸せな気持ちになる・・・・・
だから、
「・・もう・・・あかん・・・・」
そのまま再度、枕に突っ伏した。
終。
2010/11/20....