君との時間。
「・・・・ん・・。」
鷹村が眼を覚めると・・・・そこは腐海だった。
いや、正しく言うと鷹村の部屋だが、腐海と化していた。
只今、12月の末。
師も走る師走だ。
何故鷹村の部屋が腐海かというと、普通の会社員のが
もう、一週間以上部屋に来てないからだ。
それに・・・
【プルルル・・・ピッ、もしもし?どしたの?】
【おう、今日こねぇか?】
【あー、今、仕事忙しいから無理。じゃあね。】
という事が続き、もう、一週間もに会っていない。
最後に会ったのは・・・クリスマスだろうか。
そんなこんなで・・・
「・・・・・・・・ッチ、クソ・・。」
からメールも来てない携帯を見ると、鷹村はまた布団に転がった。
そうして会えない日々が続きはどうしているかと言うと・・・。
「あ、それこっちね!」
「あ、はい!」
「すみません!これでOKですか!?」
「あ〜〜!あと忘年会の予定も立てなきゃ・・・。」
「あさん、今日残れる?」
「残業ですか?あ〜・・・はい!」
結構な修羅場を過ごしていた。
そんなこんなで帰宅すると・・・。
ガチャ・・・パタン。
ドアを開け、鍵を閉め、靴を脱いで服を脱ぎベッドにバタン・・。
「あ〜・・・疲れた・・・。」
そして独り言をつぶやく。
・・・・携帯を見ると、鷹村からの着信が何件か・・。
「・・・電話・・・しなきゃな・・・・・。」
と、つぶやきながらは眠りに付いた・・・・・。
そんなすれ違いの日々が続き・・・。
「・・・・な、何か鷹村さん不機嫌ですね・・。」
「あ〜・・ありゃかなりストレスたまってんな・・。」
「あれじゃね?ちゃん会えないからじゃねぇの?」
鴨川ジムではピリピリとした空気が漂い始めていた。
「・・・・。」
バシン、ドシンと、鷹村はサンドバッグを殴る。
性欲処理ならいくらでも出来る。
だが、そうじゃない。
違う。
会って顔を見て、話して、触れ合いたい・・・・。
「・・・・・さみ・・。」
練習を終えた鷹村は帰路についていた・・・。
(・・・さみぃな・・・・・・・・・・・・。)
「っだーーーー!!!クソ!!!」
しばらく何か考えてた鷹村はいきなり叫ぶと、
進路を変更した。
ピンポーン・・・
「・・・ん・・。」
は半分寝ていた状態からインターホンの音で眼を覚ます。
ピンポーン・・・ピンポン!ピンポン!ピンポン!!!
「!・・・何!?」
しかし、異常なまでのインターホンの音にはガバっと起きると
玄関へ行き、ドアの外を見るための穴を覗いた。
そこにいた人は・・・。
「鷹村さん!?」
は慌てて玄関を開ける。
ガチャ
「鷹村さん!どうしたんですか!?こんな時間に!」
あ、久々に会うな・・・鷹村さんだ・・。
とは思いながらそう言った。
「・・・中入るぞ。」
鷹村はの言葉を無視しての部屋に入る。
「え、あ・・汚れてますけどどうぞ・・・。」
は怒ってるんだかなんだかわからない鷹村に恐る恐るそう言った。
「・・・・・・・・はぁ・・。」
鷹村は、床に座りのベッドに寄り掛かると息を吐き、
そして、辺りを少し見渡した。
投げ出されたストッキング。
パソコン。
書類の山。
「・・・鷹村さんコーヒーで良い?」
そして台所から顔を出す・・・。
「・・・・・・・・。」
鷹村は聞いてきた言葉を無視してこっちこいとに手招きした。
「・・・・?」
が不思議そうに近寄ると・・・・。
「うわ!!!」
鷹村に手を引っ張られ、鷹村の胸へダイブした。
「え、ちょっと何!?」
は慌てた。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
鷹村はそんな事を聞いてくるを無視して、
の肩に顔をうずめた。
そうだ・・この感触。
この香り・・。
どの位ぶりだろう・・・。
鷹村は何故か今までピリピリしていた心が、
温かい穏やかな気持ちになって行くのが分かった。
「・・・・・・・・・・・。」
黙ってを抱える鷹村には・・・・。
「・・・・ごめんね・・・電話くれたのに返さなくて・・・。」
「・・・・ごめんね・・・仕事忙しくて会えなくて・・・。」
「・・・・ごめんね・・・会いたかったよ鷹村さん・・・。」
そう言ってぎゅっと鷹村に抱きついた。
「・・・やろう・・。」
「え?」
鷹村は小さく呟いた。
「ばかやろう・・・・。」
と。
この人は大きな子供だったっけ。
淋しかったんだな・・。
でも、そんな所が可愛いや。
今度から一日一回はメールしよ・・。
はそう思うのだった。
「ごめんね、鷹村さん。お正月は休みがあるから初詣行こうね。
おうちでまったりしようね。」
は言う。
そんなに・・・
「ああ・・・・姫はじめもな・・・。」
バシン!
とは鷹村の後頭部をはたく。
「何どさくさに紛れて言ってんのよ!」
「いてぇな!」
「さ!仕事するから離して!鷹村さんそこに居て良いから!」
「やだ。」
「ちょっと!」
「やだね〜。」
鷹村はそう言うと、ごろんとごと横になった。
「た〜か〜む〜ら〜さ〜〜〜ん!!!」
そんな鷹村にが叫んだのは、午前0時を回るか回らないかの頃だった。
終。
2007/01/05....