春の日差しの中で。













「鷹村さん家って結構日当たりいいですよね・・・。」


窓辺でサッシに寄りかかりながら、ぽかぽかと春の日差しを浴びては言った。

「あ〜?そうかー?」

どうでもよさそうに、反対側で鷹村は寝転がりながらテレビをみていた。


鷹村とがつきあいだしてもうしばらくたつ。
鷹村の家に遊びに来ることも頻繁になった。
そして、二人で過ごすことにも慣れた。

最初はだけだったようだが緊張してぎこちなかったのだが、
だんだんと、二人でいることも、この部屋にいることにも慣れてきた。

そんなある日、テレビを見て相手してくれないな。と、
は思ったので、何をしようかと思い部屋を見渡したら、
閉じた窓のガラス越しに暖かそうな日差しが差し込んでいたので
はそこに移動した。
案の定暖かい。

そして、窓を開けると、まだ少し空気は冷たいが、
今日はあまり風はふかないので、
暖かい春の日差しだけが、さんさんと降りそそいできた。


そしてそう言えば・・・と、鷹村に言ったのだが、鷹村は興味がないらしい。
まぁ、ないよな。と、思い。
は日差しと空を見上げた。


日差しは柔らかく、空は真っ青で、風も吹かない。

下の道路の、自転車や歩いて行く人を、
ぽかぽかひなたぼっこしながらにこにこと見ていた。


「お前、何やってんだ?」


「わ!」


すると、気配もなく背後から、鷹村がずしりとのしかかってきた。

の頭に顎を乗せ、後ろから抱き抱えるように鷹村は座った。
その密着度に少しはどきどきと動揺しながらも、平静を装う。

「い、いや・・・ひなたぼっこしながら道行く人を見てました・・・。」

前を向いたまま答える

「んなもん、おもしろいのか?」

鷹村が、ぐーっと体重をかけてくる。

「た、鷹村さん!重い重い!つぶれちゃいます!結構おもしろいですよ!」

押し返しながらは答えた。

すると鷹村は息を一つついて、大きな体を動かしの横に並ぶ。
そしてサッシに肘をつき、同じように道行く人を眺め始めた。

「おもしろいのか・・・。」

「はい・・・。」

数秒、二人で道路をみつめる。


「って、こんなのおもしれぇわけねぇだろー!!!」

「ぎゃーー!!」

しかし、鷹村に腰をつかまれ、そのまま押し倒された。



「・・・た、鷹村さん・・・まだお昼です・・・お昼・・・」


「暇なんだよ・・・」



鷹村に押し倒され、鷹村が上に四つん這いになり
逃げ場のなくなったは、
近づいてくる顔の前に両手を挟みながら会話をする。

「じゃあ、どこかに行きましょう!」

「めんどくせぇ。」

「じゃあ、何か作りますよ!おいしいもの!」

「腹減ってねぇ。」

「う・・・・。」

逃げの提案をことごとく却下される
もう、鷹村の頭にはひとつのことしかない。


「じゃ、じゃあ!ここお日様当たるから、
ひなたぼっこしながらお昼寝しましょう!ね!
一緒にお話しながら寝ましょう!」


「・・・・・」


意外なことに鷹村の即答の却下がない。


「ほら!まだ昼だし!窓空いてるし!ね!夜になったら!夜に体力備えましょう!!」


(夜になったら帰るけどね!)


と、思いながらはたたみかけた。


「・・・・背中が・・・。」

「え?」

「寝るか。」


ドスン!と、鷹村は日の当たる窓辺に横になった。

「あ、枕と何かかけるもの持ってきます!」

「いーから、早くこい。」

が立ち上がろうとすると、鷹村は目をつむって手招きをした。

「・・・・・・・」

少し恥ずかしくもありながらは鷹村のとなりに寝る。

「もっと近くだよ、おら、オレ様が腕枕してやるからありがたく思え!」

「うわ!」

そう言って、鷹村にぐいっと抱き寄せられた。


向かい合わせになりながらは鷹村の胸の中で、鷹村に腕枕をしてもらい、萎縮して縮こまる。


「あー・・・ほんとに、この部屋日当たりよかったんだな。
そう言えばよくここで寝てたかもしんねぇ。」


鷹村はのんきにそんなことを言う。
そんな鷹村が鷹村らしくて、ふふっとは笑ってしまった。

「あに、笑ってんだよ。」

すると鷹村にそう言われ、頭をその大きな手でわしゃわしゃとぐしゃぐしゃにされた。

「あ!やめてくださいー!」

が頭を押さえて少し顔を上げる。
すると、鷹村はふっと笑った。


そのほほえみが、やわらかくて、やさしくて、

は顔が赤くなるのがわかったので、あわてて顔を下げた。


「ふぁーあ・・・マジでねむくなっちまったな・・・寝るか。」

そういうと鷹村はを抱き抱え髪に顔をうずめると、すぅっと眠りに入ったのだった。



(鷹村さんこういうことたまにするけど、
ほんっと!やめてほしい!心臓もたない!!!
なんなの!これで寝れる!?寝れないでしょ!?
鷹村さんはいいよね!!!鷹村さんは!!!!!)



と、真っ赤になって、鷹村のたくましい胸に
顔を押しつけられているは心の中で叫んでいたのだった・・・・・。







終。


2020/01/16....