行事は学生生活の花。03
(あ〜・・・少し遅くなったな・・・もう始まってるかな・・・。)
は少し急いで階段を上がっていた。
そして後ろを振り返る。
「・・・・・・・。」
が、そこにはゆったりと階段を登る千堂の姿があった。
「せ、千堂さんー。少し遅れてるんで急いで・・もらえます?」
は千堂にこんな催促を何も考えず普通に言った。
普通の人なら恐くて言えないだろう・・・。
しかし・・はだんだん千堂という人を知ってきて・・・。
普通にこんなことを言えるようになった。
そして千堂も・・・・。
「えーやん、別に遅れても。」
とに返すだけ。
「ああ?何やわしに急げ言うんか。」
と、睨み付けたりなどしない。
千堂武士は実はそんな人なのだ。
「あんまりよくないんですけどね・・・。」
とは良いながら、しょうがないか。と思い、
自分も千堂に合わせてゆっくり歩いた。
「あ、着きましたよ千堂さん。」
と、先に階段を登り終えたは一番上の階にある生徒会室を指差し千堂に声をかけた。
「おー。」
しかし、千堂から帰ってくるのはそんな気の抜けた返事。
やはり面倒くさいらしい・・・・。
「あはは・・・。」
はそんな千堂に苦笑するしかなく、笑って先を進んだ。
「ああ・・人いっぱい・・もう始まってるのかな・・・。」
とは人の集まっている生徒会室に入った。
すると・・・。
「あ、君達遅いわ。待ってたんよ。」
と、入ったとたん生徒会長らしき人から声をかけられ
教室はいっせいに静まりは注目された。
「あ、す、すいません〜。」
そして自分のクラスの席に着こうとする。
「ったく・・今度から遅刻は・・・」
と、生徒会長らしき人が文句をたらたら言おうとするが・・・。
「・・・・・・・・・・。」
驚いたように目を見開き、言葉をとめてピタッと固まった。
それはその教室にいた以外、全員がそうだった。
それは何故か。
「あ、千堂さんこっちです。」
「おーう。」
の後に、生徒会室という場所に一番と言って良いほど似合わない
あの、千堂武士が入ってきたからだ。
教室中が焦りながら思う・・・。
(何で千堂がここに・・・・?)
と。
「あたし前座りますんで千堂さんは後ろででも寝ててください。」
とはそんなギャラリーを無視して千堂に話しかける。
「おうーよろしゅうなー。」
と、千堂は全てをに任せ、椅子にどかっと座ると眠りだした。
「あ、はい!遅れてすみませんでした!何でしょうか?」
とは生徒会長が何か言っていたので聞き返すが・・。
「あ、いや、今度からは遅れんようにな・・・て。」
生徒会長は引きつった笑顔でそう言うしかなかった・・・。
そして緊張の雰囲気に包まれながら文化祭実行委員による会議は始まった。
「えー、ちゅーことで、まずはそれぞれの文化祭での係りを決めたいと思いますー。」
(ま・・また係り決めか・・・・。)
は生徒会長の言葉にそう心のなかでもらす。
(千堂さんがいるからな〜・・・一番楽なのにしないと・・・。
でも、楽なのって当然倍率高いしなー・・・・。)
とはまたジャンケンで負けたらどうしよう・・。
と心の中で泣く。
文化祭実行委員係りの中で一番楽なのはパンフレット制作係りである。
これは生徒会や先生などから言われたものや渡されたものを
編集して製本すれば良いだけのこと。
文化祭前に終わり、やろうと思えば一人で出来ることだ・・・。
製本がきつそうだが・・・。
でもこれしかない!
とが思っていると、着々と係りは決まり、次はパンフレット係り決めになった。
「せな、パンフレット制作係りやりたいクラス・・。」
と言う言葉に、皆狙っていたのだろう、結構な数の手が上がった。
(うは〜・・駄目か〜?)
と、思っても手を上げる・・・・すると・・。
スッスッスッ・・・。
と、上げていた人達の手が下がった。
(へ?)
は呆然とする。
何故、皆、手を下げたのだろう・・・・・。
「じゃ、じゃあパンフレット制作はさんと・・・千堂君ちゅーことで・・・。」
と言う引きつった笑顔の生徒会長の言葉では気づいた。
(千堂効果か!!!!)
と。
そう、皆、千堂がバックにいるに遠慮して手を下げたのである。
一番楽な係りを千堂から奪って面倒くさいことをやるようにでもなったら・・・。
千堂に何をされるか・・・!!!!
と、皆は思っていたのである。
「あ、は、はい!・・・・有難う御座います・・・・。」
そしては生徒会長の言葉にそう言い・・・
最後の感謝の言葉はすまなそうに皆に言うのだった・・。
そうしてと千堂の係りは楽々と楽な係りに決まった。
後ろで眠っている千堂のおかげで・・・・・・・・。
続。
2003/08/08....