ふわりと。
「別に普通の部屋だからね・・・。」
「はいはい、別に何も気にしねーから。」
と木村はそんな会話をしながらの部屋のドアを開けた。
ここはの部屋。
最近付き合い始めた木村と。
今日は初めて木村がの部屋に入る事になっていた。
「はい、どうぞ。」
そう言ってが開けた部屋は、本当に普通の女の子の6畳の部屋。
「うっわー・・・何かマジで女の子の部屋だな。」
しかし、不良時代を経て、ボクシング人生に入った木村には、
そんな平凡な女の子の部屋もとても新鮮だった。
「じゃあ、座ってて、何か飲み物持ってくるから。」
はそう言うと、部屋を出て一階へと向かった。
「・・・・・・・・・・。」
その間、木村は部屋をぐるりと見渡す。
女の子らしい、白いカーテン。
女の子らしい、ピンクの布団カバー。
女の子らしい、ぬいぐるみが数個。
そして、色んな本が入っている棚。
「・・・・・・・・。」
そこで木村はあるものを見つけた。
「お待たせー。」
が飲み物を持って部屋に入ってくる。
しかし木村が見ているものを見て。
「ぎゃーーーーー!!!」
と、叫んだ。
「な!なな、何見てんですか!!やめてくださいよ!返してください!!」
は木村からある物を奪い取る。
「何だよー、良いじゃん見せてよ卒業アルバム。」
そう、それは小学校時代の卒業アルバムだった。
卒業アルバムといえばあまり良い物ではない・・。
懐かしい良い思い出もあるが黒歴史でもある。
恥ずかしくて見せたくない!
そんな意見が多いと思う。
「だ!駄目です!これは見ちゃいけません!!!」
は卒業アルバムを抱えて叫ぶ。
「見せてよー!」
「駄目ーーー!!」
這いつくばってにじり寄って来る木村と、ずりずりと座り込みながら後退りする。
「「・・・・・・・・・・・・。」」
そこで二人は、はた。と立ち止まる。
(こ、この体勢は・・・・。)
(ヤバいんじゃ・・・・・。)
二人の考えている事は同じだった。
は壁を背にして追い詰められ、その上から木村が両手をの脇に置き、
迫っている格好になっている・・・。
「・・・・・・・・・・・・・。」
木村はじっとを見つめる。
「・・・・・・・・・。」
え、え、え・・・。とは思い、きゅっと目をつぶる・・。
すると・・・・・。
ふっとおでこに何かが触れた。
「・・・・・・・・・・・・・。」
が目を開くと。
「・・・・・・・・。」
木村が優しく微笑んでいた。
「・・・・・・さて!次は中学校の卒業アルバムでも探すか。」
そう言うと木村はまた棚を見るため立ち上がった。
「・・・・・・・・。」
はそんな木村の優しさに触れて思う・・・。
やっぱり好きだなぁ・・・・木村さん・・・・・。
終。
2006/06/01....