ドロンパ。













それは・・いつもとなんら変わらない日の筈・・・だった・・・・。




「おいーす。」

「うぃーす。」



いつもと変わらず、青木、木村はやってきた。


「あ、こんにちはー。」


やってきた木村と青木には挨拶をする。


「あちゃ・・・・」

「お・・う・・・・・・・・・・?」


と、声がした方を見た二人は固まった。


「「・・・・・・・・・・・・。」」


そしてをじーっと見る。


「ど、どうかしました?」


はじっと見られて焦りながら言う。



「おお、やっぱりちゃ・・・・。」


ガゴッ


「あ、ああ、ううん何でもないよ・・・ちゃん・・・・・・そのタオルどうしたの?」



青木が言いかけた言葉をドガッと木村が殴りとめた後。木村は恐る恐る聞いた。



「はい?ああ、これ?これ一度やって見たかったんですよね〜。
クラスの男子とかがやってるの見て。
今日やってみたらすっきりして気に入っちゃった〜。」



はそう答えた。



そう、今は夏など暑い時にクラスの男子や、作業してる電気屋のお兄さんが
しているような、タオルを折ってはちまきではなく、タオル全体で頭を覆い
タオルの端を頭の後ろで結ぶ、おでこを出したタオルまきをしていた・・・・。






(・・・・・中坊の坊主に見える・・・。)







木村は密かに心の中でつぶやいた・・・・。

そう、今日の格好、Tシャツハーフパンツなどのせいか
はどこぞの男の子に見えるのだった・・・・・。



だから入ってきてを見たとき、どこかの坊主かと思い、言葉に詰まったのだった・・・・。




タオルを巻いただけでそんなに変わるか?

とも思うが・・・。











「こんにちはー!」


そしてしばらくして一歩がやってきた。


「あ、一歩君ー。」


が声をかけると、一歩はを見た。



「あ・・・・・・・さん。」


そしてを見た後、しばし固まり、言葉を続けた。



「どしたの?」


は、ん?と固まってる一歩に言う。

「あ、ううん!何でもないよ!!」

一歩は焦ってにそう言った。

そしてすごすごと木村達の所へ向かった。





「木村さん・・・さん・・が・・・・。」


一歩は何故かおろおろしながら木村に言う。


「おう、一歩・・・・・お前も驚いたか。」

「え、ええ・・・新しい入門生が来たのかと思いました・・・。」


にすまなそうに、されど一歩は言った。


「タオル巻いただけなんだけどなー・・・ちゃん結構、男顔だったんだなぁ・・・。」


木村は言う。

そうは結構世に言う男顔だった。
そのため、この格好とタオルのせいで、どこぞの少年に見えるのだった・・・。



「まぁ、体つき見れば一目で分かるけどな。」

「あ、そうですね。」


はは。と二人は笑う。




そう、二人は笑ってすんだが・・・・笑ってすまない人物もいた。













「おいーすっ。」



鷹村はいつも通り、ジムのドアを開けジムへやってきた。


「あ、鷹村さんこんにちはー。」


そしていつも通りの声がして、鷹村はを見ようと声がした方を見る。



「おう・・・・・・・・・・。」


そして黙り込んだ。


「鷹村さん?」



そこにはいつも通りがいた。


が・・・Tシャツを着て。


これはいつも通り。



が・・・ハーフパンツをはいて。



これも夏だからいつも通り。





そしてが頭にタオルを巻いて・・・・・・。







「・・・・・・お前そのタオルなんだ?」



鷹村はに言った。




「な、何がですか・・?」




はいきなりそんなことを言われ焦る。






「・・・・・・・・。」






鷹村はムスーとしてを見た。



鷹村は気に入らなかった・・・男っぽい格好をしたを・・・。




「タオル取れや、それじゃあまるで中坊のガキに見えるぞ。」


「えー、嫌ですよー。タオル良い感じなんですもん。」


「・・・お前女だろ。女は女らしい格好しろよ。つまんねぇ。」



鷹村はケッと言いながら練習の準備を始めた。


「な・・なんで女だからって女らしい格好しなきゃいけないんですか!!」


は鷹村のその言葉と態度がむかついた。



「うるせぇな!ジムにも色気がねぇとつまんねぇだろ!タダでさえない色気が余計なくなるぞ!」


「なっ・・・・!」



そしては鷹村の言葉にぶちきれた。




「あたしはこの格好気に入りましたから当分無い色気も余計無く、このままいかせて貰います!」



はそう叫ぶとフンとジムの奥へと行ってしまった・・・。










そしてその宣言通りはその後本当に気に入っているのもあり。

Tシャツに、ハーフパンツに、頭にはタオル。

という格好を四日間通した。


そして四日間ともなると皆慣れて別に〜というところなのだが・・・。





「・・・・・・・・。」


「鷹村さん聞いてます?」


「あー、聞いてる聞いてる。」


「・・・・・・・・。」



一人だけいつまでも気に食わない人間がいた。

がこの格好をしている四日間・・・ずっと鷹村は冷たい。


(・・・・何がそんなに気に食わないのか・・・・・。)


は疑問だった。


しかしそれは鷹村も同じだった。


(・・・・・・・・・。)


何故だがが男のような格好をしていると気に食わないのである・・・。


それは何故だろうか・・・鷹村自身にもわからない・・・。







そんな感じでが休みの日が来た。





ちゃんいつまであの格好なのかなー・・・。」


と、練習の一休みの時、木村は他にも休んでいた一歩と青木につぶやいてみた。


「さぁ?夏終わるまでじゃねぇの?」


青木は言う。


「別に良いんですけどね・・・・やっぱり・・女の子っぽい
格好してた方がやる気おきますよね・・・。」


一歩は、はは。と照れ笑いをしながら言った。



「お、やっぱりかー?俺もそう思うんだよな・・・・
あー、可愛いちゃんが見てーなー・・・。」



木村がそうつぶやいた時だった・・。





「こんにちはー。」





『・・・・・・・・・。』


の声がした。

全員が声のしたジムの入り口を見ると・・・・・。




「あ、皆さんおそろいで。今日もご苦労様ですー。」




がいた、にっこりと笑って。



「「「・・・・・・・・・・・・。」」」



三人は硬直していた・・・・少し顔を赤くしながら・・・。


「どうしたんですか・・?」


そんな三人には首をかしげる。


(((どうしたって・・・・・)))


三人は思う。







お前の格好がどうしたんだ!!!








「?」




そう、今首を傾げてるがどうした!なのである。

今のの格好と言うと・・・・・。




まさに『女の子』だったのだ。




スカートや今の流行の服をばっちり来て。
可愛い鞄を持ち、髪も綺麗にセットされ、メイクもばっちりだ。







「「「・・・・・・・。」」」



ここ最近ずっとあんなを見ていた三人は、ほあー・・・と思わず見とれてしまう。



「あ・・・でちゃんどうしたの?今日休みでしょ?」


まさかそんな格好でジムに来たではないだろうと思い、木村が聞いた。


「あ、はい。昨日、ロッカーに携帯忘れちゃって。
今日友達と遊びに行くんで通りがかりに取りに来たんです。」


はにっこりと笑った。


「「「・・・・・・・・・・。」」」


その笑顔に三人はノックアウト。



「あ、じゃあ急ぎますんで・・・。」


がジムの奥への扉へ向かった時・・・。




ガチャ。



と、その扉が開いた。





「あ、鷹村さん。」



は出てきた鷹村に声をかける。
そして声をかけられた鷹村は返事をしながら・・



「ん・・・・・・・あ・・?」



と、珍しく唖然とした顔をした。




・・・・ど、どうしたんだ・・。」


鷹村はに聞く。


「あ、携帯忘れちゃって取りに来たんですー。」


は笑顔で答える。


そういう意味じゃなかったのだが・・・・・。




そしてはそう言うと
鷹村をよけ、ロッカーへと行ってしまった。


「・・・・・・・・・・。」


取り残された鷹村は・・・。




「おい・・・・あれ・・・。」


と、木村達に声をかけた。



「今来て俺達もびっくりしましたよー・・・。」


と木村が答えた。






「・・・・女ってのは化けるんだな・・・・・・。」





そして鷹村は少し放心しながらそう言った。












「あ、携帯ありましたー。じゃあ皆さん今日も頑張ってくださいー。」


そしてはそう言うと綺麗な笑顔を振りまいて出て行った。





「よし、じゃあ俺も着いて行こう。」


「鷹村さん!!!」



と、そんなの後を追おうとした鷹村を何とか三人がかりで止めた。





そんな綺麗な格好を披露しただが、
翌日のバイトではいつも通りのタオル巻きだった・・・・・。


それでも鷹村の態度はかなり良くなっていたとか・・・・。







終。


2003/08/21....