ちょっと嬉しい事。
それは、初めて一緒に歩いて知った事・・・・。
「おー、待たせたな。」
「鷹村さん・・・今、何時だと思います・・・。」
鴨川会長からのお達しで、鷹村と二人で買出しに行く事になった。
待ち合わせの時間にもうすぐ一時間という程に
遅刻してきた鷹村にはむっすー・・としながら言う。
「細かい事気にすんじゃねぇよ。」
鷹村はさもさっきまで寝てたようにふぁ〜と
あくびをする。
「逆だったらぶち切れるくせに・・・・。」
「あ?」
「何でもありません。はい、じゃあさっさと行きましょう。」
「おう。」
ははぁ、とため息をついてそして二人は歩き出したのだが・・・・・。
(・・・・ちょっと待て・・・。)
は心の中でつぶやく。
何に呟いたかというと・・・・。
(鷹村さん歩くの早い!!!!)
はひぃ!と焦りながら必死で鷹村の後を早足で追っかけて心の中で叫んだ。
そう、二人同時に歩き出したのだが、
歩くたびにどんどん鷹村がの前方へと出る。
鷹村は普通にてくてくと歩いているのだが
は必死に早足で鷹村の背中を見ながら歩いていた。
(な、何?何でこんなに速さ違うの!?ちょ・・ちょっと・・・!)
「鷹村さん!!」
はがしっと鷹村の背中を掴んだ。
「あ?」
鷹村は振り向く。
「あの・・もう少し・・ゆっくり歩いてください・・・・。」
は少し息をあげて鷹村にそう言った。
「あ?」
鷹村は何のことだ?と、あまりというか全然わかってない風に言う。
「鷹村さん歩くの早いですよ・・・。」
がそう言うと。
「別に普通に歩いてんぞ。お前がおせぇんだよ。」
と、鷹村が言う。
「いや、そうじゃなくて・・・・ほら・・足の長さが違うでしょ。」
そうと鷹村では背の高さが違う、よって足の長さも違う。
そうすると歩く速度が同じでも距離が違ってくるのだ。
普通ならここでさりげなく男の方が女に速さを合わせるのだが、
まぁ、そこは鷹村。
そんな事は気にせず、ズカズカと歩いていく・・・・・・。
(少しは気にしてくれ、鷹村さん・・・・。)
は心の中で嘆く。
そして鷹村が言った言葉は・・・・・・。
「お前が俺様に合わせろ。」
「・・・・・・・・・・はい。」
なんだか予想してた言葉が来てはがっくりと肩を落とした。
そしてまた二人は歩き出す。
(ああああ・・早足で歩かなきゃ。)
とが鷹村の後を早足で歩こうとすると・・・。
(あれ・・・?あ・・・やっぱり・・・・。)
は歩くの速度を落とした。
そう、さっきより鷹村の歩くスピードが落ちているのだ・・・。
おかげでさっきより少し遅めで歩ける・・・・。
「・・・・・・・・・・・・。」
はなんだか少し嬉しくて少し下を向いてクスっと微笑んだ。
「鷹村さーん、お昼何食べます?」
「あー・・・なんにすっか・・・・。」
こうして二人はてくてくと歩いていくのだった・・・・・。
終。
2006/03/08....