すったもんだがありまして。













それはがジムに入ってすぐの事・・・・。



「はぁ・・はぁ・・はぁ・・・」



ボスン・・ボスン・・・ボスン・・・。



は今日もボクササイズに励んでいた。

周りのボクサー達に混ざって。




『・・・・・・・・・。』




周りのボクサー達の視線も気にせずに・・・・・。



ボクサー達はが入門してきてから実は気が気じゃなかった。
近くに女がいる。て事もあり。
薄着。てこともあり。
呼吸音と汗と揺れる体が・・・・・・・。


『・・・・・・・・・・。』


だから思わずを見てしまっていた・・・。
がサンドバッグに集中している時だけだが・・・。

そしてそんなを気にする人間の中には・・・。




「・・・・・・・・・。」




そう、千堂武士もいた。


千堂は柳岡とミット打ちしていた。
しかし・・・・あの・・・・


「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」


と言う音が千堂を誘う・・・・。



(・・・・ミットに集中せい!!!)



千堂はミットを思いっきり叩く。



今、千堂は自分の煩悩と必死に戦っていた。

しかし、千堂も現役高校生・・・。
煩悩を断ち切ることなど出来ない・・・・。

だから・・・。






「っ・・・だーーー!!!!やめい!!!ボスンボスン気が散るわい!!!!!」






に叫んだ。


『!』


その千堂の叫びに全員がビクッ!とし・・・。




「・・・・・へ・・・あ、あたしですか?」


が振り向いた。




「そうや!お前や!っ〜〜〜・・・ボスンボスン変な音たてよって!気散んねん!!!」


よもや、本当のことなど真正面から言えない千堂はそうに叫ぶ。


「な!・・・しょうがないじゃないですか!まだ始めたばっかりなんですから!!」


千堂のいきなりな理不尽な事に反論する


「気散ってしょうがないねん!どないかせい!!!!」


が、千堂は意味不明に叫ぶ。

「な・・・知りませんよそんなの!!!!」

そしても叫ぶ。




「大体何でジムに女がおんねん!!!」




と、千堂は言う。


「な・・・・・・・・・。」


その言葉はいささかまずい発言だった・・・。


何だか知らないが千堂さんが怒っている・・。
何で?何?


はわけがわからず、涙がにじんできた・・・。
でも、わけもわからず怒られてむかついてもいる・・・だから・・・。



「・・・・わかりましたよ・・・元々、真剣なボクサーさん達の中にいる事がおかしかったんですよね・・・辞めますよ!!辞めれば良いんでしょ!!!!」




は切れた。


その怒鳴り声に、千堂もとい、ジム全員がビビる・・・。

しかし、怒鳴った本人のは・・・・。


「・・・・・っ・・。」


涙をあふれさせながら手で拭い、その場を去ってロッカー室へと入った。







「・・・・・・・・・・。」





千堂が呆然としていると・・・・。




「あーあ、千堂どないすんねんー。」

「あんなこと言わんでもええやろー。」

さん辞めさせたら怨むでー。」


周りから非難を浴びた。

確かに、あそこまで言う必要はなかった。
そもそもこれは八つ当たりだ。

自分の煩悩を吹っ切れなかった・・・。




「泣かせよったな・・・・。」



「うはぁ!」



ぐっと黙ってる千堂に背後から柳岡がとどめの一撃を浴びせた。


「あーあ、泣かせよった。」

「千堂が女泣かせよったー。」


と、皆が次々に言う。

そう・・・は泣いていた・・・・。



「わかっとるわ!!!!わいが悪いんやろ!!わかってんねん!!!!」



千堂はそう言うと勢いよくリングから下り、走りながらロッカー室へと向かった。








コンコン・・・。


「おう・・・。」


千堂はロッカー室の前に来ていた。

しかし、返事は無い。



「おう・・・。」



中からはガサガサという音は聞こえるが声は聞こえてこない・・・・聞こえてるはずなのに・・・。




「無視はないやろ無視は!!!!」




千堂はバーン!と、勢いよく扉を開けた。






「・・・・・何ですか。」






すると中には荷物をカバンにまとめているがいた。
少し赤い眼で千堂をにらみつける。


「・・・・・・。」


そんなにうっとしながら、千堂は話した・・・。




「わ、悪かった・・・のう・・・・。」


「別に・・・もう辞めますから・・・・。」



さらりとは言う。



「だから悪い言うてるやろ!さっきのは・・・ちょっと・・・八つ当たりしてもうてん・・・・・・・・やめんなや・・・。」




千堂はロッカー室の入り口で下を向きながら言う。





「皆、お前のこと気にいってんねん。」





「・・・・・・・・。」





千堂のその言葉に段々の手が止まる・・・・。






「わいも・・・・お前いーへんと・・・何か・・・いややし・・・・。」






そして千堂が後頭部をかきながら、そう小さくつぶやいた。



「・・・・・・・・・・。」



はその言葉を言った千堂を見て心の中で叫ぶ。



(・・・せ、千堂さんがなんか言ってる!!!!しかも少し恥ずかしそうにうつむいてっ!!!!か・・・・可愛っ!!!!!)



そんな千堂にの怒りはもうどこかへ吹っ飛んでいた。

さっきのは八つ当たり・・・と本人も言っていることだし・・・・。


は辞めるのを辞めることにした。

しかし、少し意地悪してやろうと思った。




「なんで八つ当たりなんてしたんでうすか?何かありました?」




ロッカーの荷物をカバンに入れる作業をやめてそう問う。


「・・・・い、いや、気が散ってのぅ・・ちょお、イライラと・・・。」


千堂は言葉に詰まる。
なにせ原因はこの本人だ。


「?」


は疑問に思う。

そして女の第六感が悟った。何かある。と。


「あたし皆さんに何かしてます?」


は千堂に近寄り聞く。





「え・・・・・。」




千堂は分かりやすいお人だった・・・。


「してるんですね!!??」


がっと千堂に詰め寄る


「あたし何してるんですか!?何もしてないと思うんですけど!皆さんの邪魔してます!!??」


焦りながらはまくしたてる。

その答えがアレな事とも知らず・・・・。



「いや・・・お前がな・・・・女やから・・・サンドバッグ打つと・・・胸とかケツが揺れて・・・・・気に・・・なんねん・・・。」



千堂はに迫られ、恐る恐る後頭部をかきながら言い・・・あは。と笑った。

その笑顔が可愛いこと・・・・・じゃない!とは・・・・。




「なっ!!!変態ーーーーーー!!!!」




どかっと真っ赤になりながら千堂を突き飛ばした。



「おわ!」



ゴン



そして千堂は後頭部を壁にぶつけた。


「っ〜〜〜!!!!」


千堂が痛みにしゃがみこんでいると・・・。


「やっぱ辞めます!あたしが打ってる間そんな眼で見てたんですか!?なんっ!なんなのそれ!!!」


叫びながらまたもやはロッカーの中身をカバンに詰める。


「な!お前が言え、ゆうたから言ったんやろ!!!大体わいだけじゃあらへんわ!!!」

「・・・・なっ・・・。」


千堂のその言葉に更にの顔がゆがみ、赤くなる・・・。


「ま、まぁそのうち、皆慣れる思うし・・・わいからも皆に見んように言うから・・・な。」


そんなを見て、千堂は、ま、まぁ落ち着けや・・・と、暴れ牛をなだめるかのようにそうっと言った。




「・・・本当ですか・・・・?」



は疑い深い表情で問う。



「お、おう。まかせと・・・・・き。」



千堂は言いながら少し考えて・・・最後の言葉を視線をそらせて言う。





「何ですかその間はーーー!!!!」





そしてそんな千堂の態度がの激怒を誘ったのだった。







そんなこんなだが、結局はジムを辞めなかったとか・・・。

でも、サンドバッグを打つことは減ったとか・・・。







終。



2024/04/23...