プールへ行こう!! 04













「足、大丈夫か〜?」

4つビーチチェアを確保していた場所に戻ってきた5人。
そして5人はを先に座らせ鷹村はしゃがみこみ、の足を診だした。

「あ、も、もう平気ですよ!」

と、足を揉まれたり見られたりし、は焦りながら言う。

「みたい・・・だな・・・・。」

鷹村はの足をぱちん。と、軽く叩いて立ち上がった。

「さーて、腹減ったなぁ〜。何か買いに行くか。」

鷹村は立ち上がると、水で下りた髪をわしゃわしゃとかく。

「・・・・・。」

そう、鷹村の髪はとうに下りていた・・・そして、その仕草がかっこいい・・・・。
は一人顔を背け、にやけるのを必死に抑えていた。
そして、何とか抑え込むと、

「あ、じゃあ、あたし行きますー。」
「・・・・お前は休んどけ・・・。」

しかし、宮田にそう言われる。

「もう大丈夫だよ!それに買出しとかこういう役目はあたしの係りでしょ!」

は反論する。

「・・・じゃあオレも行く。」

反論されたに、宮田はため息をついて妥協する。

「オレサマも行くぜ。」

そして鷹村ももちろんそう言った。

(また宮田に抜け駆けされたらたまんねぇからな・・・。)

鷹村は先ほどの宮田の活躍を、結構根に持っているようだ・・・気付かなかった自分のせいもあるのだが・・・・。

「と、いうことで、お前ら留守番よろしくなー!」

ガハハハ。と鷹村は一歩と木村に言う。

「はい・・・。」
「わかってますよ・・・。」

一歩と木村はこうなることを薄々わかっていた。

「・・・よろしくお願いします。」

はすまなそうに謝った。




三人はプールによくある、売店へと向かう・・・。

「しっかしよぉ、あんで宮田呼ぶんだよ。」

鷹村は面白くなさそうにに問う。
三人は宮田、、鷹村という順に横に並び、話しながら向かっていた。

「え?いやー・・・皆で遊んでるんだし・・・
せっかくだから宮田くんも呼ぼうと思ったんですけど・・・駄目だったですか?」

鷹村を見上げて、は少し眉を下げる。

「・・・・・・。」

鷹村はその上目使いと、水着姿と、髪の濡れ具合のに、うっ・・・と息を飲む。

「何でオレが来たらダメなんですか・・・オレはに呼ばれたんだし・・・
別に鷹村さんの許可はいらないでしょ。」

宮田は伏し目がちに歩きながらさらりと言う。

「・・・・こっの・・・。」

ヤロウ。と、鷹村が言おうとした時、

「宮田君!そんなこと言わないの!皆で楽しく遊ぼうと思って呼んだんだから!」

は、もー!と、宮田に顔を向ける。

「・・・・・・・・・。」

宮田は何も返さず、黙り込んだ。


そうこうしてると売店に着き。

「うわー・・・凄い人・・・・。」

は思わずつぶやいた。

夏休み期間中ということもあり、オープンしたてのプールということもあり、
プール自体も混んでいたが、当然売店も混んでいた・・・。

「えーっと・・・適当に買えばいいですよね?」

は2人に聞く。

「ああ、腹が膨れればいいんじゃねぇか。」

鷹村はめんどくせーなー・・・とつぶやく。

(・・・・ん?)

はふと視線を感じ、辺りを見渡した。

「・・・・・・・。」

その視線の主は、友達と来ている、はたまた彼氏連れの女達の視線だった。

その視線は・・・・。


そう、宮田と鷹村に向いていた。


美青年系の宮田。
そしてこちらは正反対の逞し系の鷹村。


二人は鷹村の巨体のせいもあるが、売店の前でかなり注目を集めていた。

そして声が聞こえてきた・・・。

「あの真ん中の子うらやましい〜〜!!」
「ね!いいなー!あんなかっこいい人、二人に挟まれて!!!」

(・・・・・・・・。)

は密かに優越感に浸り、何とも言えない笑みを浮かべた。

「・・・・・。」

そして宮田を見て。
鷹村を見る。


「じゃあ、鷹村さんは焼きそば五個。宮田君はフランクフルト五本、お願いします!
あと、何か自分の食べたい物買いたかったら買ってください。
あたしはあっちでかき氷五個買ってきますから!」


は満面の笑みで二人にそう指示した。


「お、おう・・・。」
「・・・・・・。」


そんなに笑顔でどうしたんだ・・・?と二人は思うが、
突っ込めず返事すると、はたったかと行ってしまった。

「あ・・・」

この人混みでは、別行動しないほうがいいんじゃないか・・・。
と宮田は思ったが、その頃にははもうかき氷売り場へと駆けて行ってしまった。


この人混みじゃ、もう追いかけられない。


「「・・・・・・・。」」


鷹村と宮田はお互い見合って・・・じゃあ、とそれぞれの買出しに向かったのだった。





(ああ・・・混んでる・・・暑い・・・。)

はかき氷売り場に並びながらそう思っていた。

かき氷売り場は大盛況で、人が一番多いかもしれない。
しかし、売店のスタッフさん達のおかげで着々と列は進み、
はなんとかレジへとたどり着けた。


「すいません、ブルーハワイ二つとレモン三つ、お願いします。」


笑顔ではそう注文した。




「おーし、購入成功。」


そして無事、はトレイにのったかき氷を持ち、
売店から離れ、そのまま一歩や、木村がいる場所へ戻っても良いのだが、
一応、鷹村と宮田の姿を探した。


しかしそんなことをしていると・・・・。


「ねぇ、そのかき氷、俺達にもちょうだい〜。」

「え・・・・。」


なんだか軟派なお兄さん方、数名がやってきた。


(うわ・・・これってもしやナンパですか・・・?いや、単にかき氷がほしいだけかも・・・。)


と、がそんなことを思っていると。


「あ、今からそれ持って友達の所行くのー?女の子だけで来たの?俺達も混ぜてほしいな〜。」


と、何だか都合の良い展開を想像してそんなことを言って来る。


(うわぁ・・・これナンパだ・・・あたしなんかをするなよ・・・
あ、でも他の人狙ってるのか?他の人は筋肉隆々のボクサーだけど・・・。)


は、はは。と思いながらそのお兄さん達に言葉を返そうとする。


「あ〜・・連れが・・・。」

、何してんだ。」


と、突然聞きなれた声が聞こえた。

「あ、宮田君!」

助かった!とは思う。が。

「行くぞ・・・。」

宮田はいつもの無表情で、の腕を引っ張り男達を掻き分け進む。
しかし・・・・。

「おい、何だお前。お前はお呼びじゃねぇんだよ。」

声をかけてきた軟派なお兄さん達は
皆、背が180センチくらいで、宮田の見事な筋肉は無視して、
一見その容姿と背の低さからか、やりあえば即負けるのは確定なのに、
宮田に突っかかってきた。


「・・・・・・・・。」

「あ・・・宮田君・・・。」


宮田は無視して進む。

そんなことをすればお兄さん達がどんなことをしてくるか目に見えていた・・・。


「おい!無視してすかしてんじゃねぇぞ!!!」


と、一人の男が宮田の腕を掴もうとした時・・・・。

べしゃ。

と、何かと宮田の背後で音がした。


「「・・・・・・・・。」」


二人が思わず振り向くと・・・。


「おう、二人ともいたか。」


宮田の腕を掴もうとしてきた男の顔に笑顔で焼きそばをめり込めた鷹村がいた。


「な・・・・・。」
「鷹村さん・・・・・。」


穏便に済ます方法はあったのに・・・。と、
思いながらこれからのことに、宮田はため息をつく。

は・・・・空いた口がふさがらず、ぼけーっととしていた。


「っ・・・てっめぇ!何しやがんだ!!!」


と、焼きそばを顔から落とした男は鷹村を見る。


「ああ?」

「っ・・・・・。」


しかし、鷹村の体躯と、
普段は隠している殺気を立ち込め、
その鷹村の迫力に一瞬たじろぐ・・・。

しかし、焼きそばまみれにされ、周りの人が見ている中、
ここで引き下がるわけには行かなかった。


「てめぇ!!」


と、焼きそば男が鷹村に拳を出すと・・・。
鷹村はひょいとよけ、男を回転させ、そのまま、どん。と突き飛ばした。

突き飛ばした先は・・・・・流れるプール。

バッシャーン!という音と共に、焼きそばと焼きそば男は水の中へと消えていった。


「な!おい!!大丈夫か!!!」

他の男達が心配していると・・・。


「お前らのせーでな〜・・・また宮田がいいかっこしてんじゃねぇか!ああん!?」


と、鷹村はにらみつけ・・・・。

ドボーン!
ドボーン!
ドボーン!

と、全員プールへと足で突き落とした。


「・・・・・・・・。」
「はぁ・・・まったくこの人は・・・。」


宮田とが見ていると・・・。


「よー、待たせたなぁー。大丈夫か?」


鷹村がやってきた。


「あ、あたしは・・・全然・・・。」


はプールに流れていく、男達を見て焦りながら言った。


「鷹村さん・・・それどころじゃないっすよ。」
「あ?」


宮田の言葉にも疑問に思っていると・・・。


「こらー!!!またお前らか!!!!
さっきも投げ飛ばして遊んで危ないことしやがって!
今度は喧嘩だな!!警察に突き出してやる!!!」


とうとう切れた監視員がやってきた。


「おわっ!!やべぇ!逃げるぞ!!!」

「え!?え!?」

「はぁ・・・まったく・・・・。」


そして三人は一歩と木村の待つ場所へと走り出した。


「あ、早かったっすねー、わざわざ走らなくても・・・・・。」


走って帰ってきた三人を見て木村は言うが・・・。


「逃げるぞ!!!」


鷹村にそう叫ばれ、一歩と木村は腕をつかまれ、は!?と唖然とする。


「お前ら待てー!!!警察に突き出してやる!!!」


しかし、後から追ってきた監視員を見て・・・


(ああ・・・またこの人、何かやらかしたんだな・・・)


と察した。


「って!どこに逃げるんですかー!!!」
「とりあえず走ってまいて、着替えて外に出る!!!」
「ひ〜〜〜!!!!」


は宮田に手を引っ張られ泣きながら走っていた。


(こんなプールじゃなかったはずなのに〜〜〜!!!)






「お、まいたみてぇだな。じゃ、早めに着替えて出て来いよ。」


という言葉で、男達とは別れ、更衣室に向かい・・・


「はぁ・・・。」


は急いで着替え、プールの入場口から出た・・・・。

「あれ?」

だが、鷹村達の姿が見当たらない。
あれー?と思っていると。

ガサガサガサ。


「・・・・・。」


近くの茂みがガサガサと動いていた。
には見当がついていた・・・。


「おう、無事出れたか。」


そう、鷹村達だ・・・。


「はぁ〜あ・・・。」
「良かった、さん無事に出られたんだね。」
「・・・・・・。」


鷹村が出てくると、続々と他の三人が葉っぱまみれになりながら出てきた。


「・・・なんでそんな所にいるんですか・・・。」


は思わず突っ込む。


「いやー、今までさっきの監視員がいてよー。
ほら、オレサマのこの美しい肉体で
一瞬に見つかっちまうだろ?だから隠れてたんだ・・・」

よ。と、鷹村が茂みから出て歩道に出た瞬間。

「あ!いた!お前ら!!」

あの監視員が現れた。

「な!まだいやがったのか!逃げろ〜〜!!!」

そうして五人はいっせいにまたもや駆け出したのだった・・・・。


「もういやーー・・・!!」


は涙目になって叫ぶ。





「はぁはぁはぁ・・・はぁ〜・・・。」


ようやっと逃げ切れたどこかの公園の木に寄りかかりながらは深く息をついた。
辺りはもう薄暗くなっていた。

「何とか逃げ切れたようだな・・・。」

息をかなり乱しているに比べ、鷹村は平然としながら言う・・・。

「まったく・・・鷹村さんがあんなことするから・・・。」

こちらも息を乱していない宮田がぼそりとつぶやいた。

「ああん?お前のすかした態度のせいだろうが。」

すると鷹村が宮田を睨み付けた。

「・・・ちゃん・・・何があったの?」

一体何があって、俺達は逃げてきたんだ?状態の木村がに説明を求めた。

「え?ああ・・・焼きそばが・・・・くっ・・ふふふ・・・。」

は説明しようと思ったのだが、あの焼きそばまみれな男を思い出したら笑いがこみ上げてきた。

「くっ・・・駄目だ・・・何かおかしい・・・あはは!あはははは!!」

は一人でゲラゲラと笑う。


『・・・・・・。』


そんなの様子を見て、一同はきょとん・・・とする。




が笑っていた理由は焼きそば男のせいもあるが。

こんな刺激的で楽しいプールが初めてだったせいもある。

鷹村さんに可愛いと言われるわ、かっこいい人達に囲まれ、羨ましいと言われたり、

監視員には何度も注意され、

最後には喧嘩騒ぎになって逃走・・・。



この人達とでなければ、こんなプールは味わえないであろう・・・。


「あー・・・楽しかったですね!プール!また行きましょうね!皆で!」


そしては笑いすぎて出てきた涙を拭いながら満面の笑みでそう言ったのだった。







終。



2024/10/11...