プールへ行こう!!01
「暑いなー・・・。」
「暑いですねー・・。」
「暑ぃー・・・・。」
「暑いですね〜。」
梅雨が明け、やっと晴れ間の見える夏がやってきたある日。
暑くても寒くてもトレーニングは変わらない。
今日も鴨川ジムでは皆、トレーニングに励んで・・・・いなかった。
「でもほら、ちゃんとトレーニングしないと会長に怒られますよ。」
暑さでベンチでぐったりとしている木村、青木に、は自分も汗をかきながらも言う。
因みに一歩は・・・・。
ドスッ
バシッ
と、今日も良い音を立て、トレーニングに励んでいた。
「何であいつは・・・・・まぁ〜しょうがねーな。やるか〜。」
と、やっと木村は立ち上がり、やる気を見せる。
しかし青木は・・・。
「暑ぃ〜・・・・。」
まだくたばっていた。
「ほら、青木さん!頑張って!あの鷹村さんだってこの暑い中ロードワーク行ってるんですから!」
は青木に声をかける。
すると木村が・・・。
「そういえば・・・鷹村さん遅くねぇか?」
と、疑問を口にした。
「あ、そうですね〜・・・」
も口にした瞬間・・・。
ドドドドドド
という地響きが遠くから聞こえてきた。
「ん?何の音だ?」
「何でしょうか・・・」
ね。と、が言おうとした瞬間だった。
ガシャン!
と、開け放っていたジムの入口の扉に手をついた巨大な人影が・・・。
「おめーら!プール行くぞ!プール!!!」
その巨大な人影が叫んだ。
巨大な人影の正体はロードワークへ行った鷹村だった・・・。
「お、お帰りなさい・・・鷹村さん・・・。」
『また何か言い出した・・・。』とは内心思いながらも鷹村に一声かける。
「プール・・・プール行きましょう!鷹村さん!!!」
ベンチでぐったりと横になっていた青木が勢いよく飛び起きてきた。
「プール・・・って・・・いきなりどうしたんすか、鷹村さん。」
と、そんな青木を手で抑えながら木村は鷹村に聞いた。
「ロードワークしてたらよぉ、なんか水音ときゃーきゃー騒ぐ女の声がすんな〜と思って、
音のするほう見に行ったら、新しいプールができてやがったんだよ!」
「あ、それってもうオープンしたんですか、何か噂は聞いてましたけど・・・。」
だから遅かったんですね、鷹村さん・・・と思いながらは言った。
「何だお前、知ってたのかよ!おう!だから!明日、皆で行くぞ!」
と、鷹村は叫んだ。
「行きましょう!行きましょう!」
青木は乗り気。
「あー、明日っすか・・。」
木村は微妙。
「皆でプールか〜。」
鷹村の登場で、達の側に来た一歩は友達・・・というわけではないが、友達のような人達との多分初めてであろうプールのお誘いで、嬉しそうな表情をしている。
そしては・・・。
「あ、あたしはご遠慮しときます。」
と、笑顔だが、苦笑いで言った。
「「「「・・・・・・・・・」」」」
その言葉に皆の視線が集まった・・・。
「・・・・・・。」
うわ・・・と、はその視線に嫌なものを感じた・・・。
そして皆の思考回路は・・・・。
そうか・・・行くとなれば一緒に行くんだ・・・・。
プールという事は水着で・・・・。
水着姿が拝める!!!!!!
そこで数人の目付きが変わった。
「・・・・・・・。」
因みに今、悪魔のような笑みをしている鷹村は確信犯である。
「行きましょう!プール!ちゃんも!ね!」
と、木村はに向き直る。
「こんな暑いんだからよ〜、行こうぜ〜。」
と青木もそれとなく促す。
「い、いやぁ〜あたしは・・・。」
何だか迫り来る人たちに後ずさりしながら、は嫌そうにしていた。
「何で行かねぇんだよ!こんなクソ暑ぃのに!」
すると鷹村が叫んだ。
「え・・・・・。」
は返事に困る。
そりゃ自分の体に自信のある女以外だったら誰だって行きたくないだろう。
こんな、男性4人となんて・・・・。
は男慣れしている女ではない。
女友達とプールに行くならOKもするが、
男の人達とプールに・・・。
それは要するに水着姿を皆に披露する・・・てことで・・・。
自意識過剰過ぎ!誰もお前のことなんて見ねぇよ!
と、言われそうだが、分かってはいるが、そういう問題ではないのである。
皆に水着姿を見られるのは・・・・・・嫌だ。
しかし、それを正直に言うのもなんかなぁ・・と言う感じで、
が返事に戸惑っていると・・・。
「鷹村さん・・・女の子ですよ・・・察してあげましょうよ・・・・。」
木村が神妙な面持ちで鷹村に言う。
「え!?」
その言葉の意味を察して、が焦っていると。
「あ?・・・・ああ、それなら違う。オレ様は把握している。」
と、鷹村は言った。
「何で鷹村さんがそんなこと把握してるんですか!!!知ってるわけないでしょう!!!それに違いますよ!!!」
大声で顔を赤くしながらは叫んだ。
「そうか、違うのか。なら良いじゃねぇか。こんなに暑いのに断る理由なんてねぇだろう?」
にぃと鷹村が笑った。
「・・・・・っ・・。」
あのままハイ、ソウデス。と言っておけば良かったものの・・。
はそこまで頭の回る女ではなく・・・。
「明日来なかった奴はどうなるかわかってるな・・・全員集合だぞ!!!」
そう言って、鷹村は着替えるため、ジムの奥へと消えていった・・・。
「よっしゃー!明日はプールだー!」
と、青木。
「楽しみだな〜。」
と、一歩。
「来たほうが身のためだぜ、ちゃん。」
と、木村。
「う〜〜〜〜っ!」
と、うなだれるの姿がそこにはあった。
こうして今日も鴨川ジムは、皆、元気にトレーニングに励む。
明日のプール、もといの水着姿を糧に!!!!
続。
2024/06/09...