やってきたあいつ。06
「・・・今川さん、澤村君って・・めちゃくちゃバスケうまかったんですね。」
上南バスケ部マネージャーは、ぽかんとしながら言った。
マネージャーの仕事になれてきたある日。
は練習の一貫のミニゲームを見ていた。
そして、そこで思いがけないものを目にした。
それはバスケをしている澤村の姿だった。
(すご〜い・・・。)
何事にも自信満々の澤村のことだろうからはそれなりにはうまいとは思っていた.
が、まさかここまでうまいとは思っていなかった。
テクニックもさることだが、澤村のプレイにはどこかひきつけられるものがあった。
それは澤村が周りの部員達とは違い、どこか自由だった・・・。
どこか堅苦しい部員達の中では、更にそれが目立ち、澤村に引きつけられる。
おまけに、顔がいいためバスケをしている姿はかなりかっこよかった。
(カッコイイ〜・・・。)
はおもわず見惚れる。
「今ごろ気付いたのかい?昨日もその前も見てたじゃないか。」
「え・・・あ、あははは・・・・。」
は今川の言葉で我に返ると、今川の質問に笑って誤魔化した。
(まさか、見てなかったなんて言えないしね・・。)
にこにこと笑っている今川を後目には心の中でそうつぶやいた。
はマネージャーを始めてから今日まで、毎日今のように練習をみていたのである。
しかし、見ていなかった。
もちろん外から見れば、ちゃんと見ているように見えていた。
しかしそのときの頭の中は次ぎにやる仕事のことでいっぱいで、
目の前で繰り広げられているゲームなど見ている余裕はなかったのである。
目では見ていたが頭では見ていない。という状態だ。
は澤村を見つめる。
(顔はいいのに・・あの性格がなければねぇ〜・・・あれ、そういえば・・・。)
はそんなことを思いながらあることに気がついた。
「・・・今川さん、澤村君ってどこの学校から来たんでしたっけ?」
普通、転校生が来るとどこかしら「どこから来た・・・。」という噂が立つものだ。
しかし、澤村の噂は一向に流れてこない。
おまけに本人も何も言わない。
よく考えると、澤村の素性は謎だらけだ。
「え・・・あ、そういえばそうだね・・・桜井さんが連れてきたみたいだけど・・・・。」
「桜井さんが・・・?」
(・・・澤村君って一体何者?)
は澤村を見ながらそう思った。
その謎は数時間後とけることとなる。
「あ、成瀬君お疲れ〜。」
部活も終わりさぁ帰ろうとが部室に入ると、そこにはちょうど帰ろうとした成瀬の姿があった。
「あさんおつかれ。」
成瀬は笑って返事をする。
「・・・あれ?澤村君は?」
はその場に澤村の姿がないことに気がついた。
「え?バイトがあるって言って急いで帰ったけど?」
なんで?という顔で成瀬が言う。
「あ、そうか・・・なんかいつも2人一緒にいるからなんとなく・・・。」
あはは。っとが笑う。
「別にいつも一緒ってわけじゃないよ〜。」
成瀬も笑って答えた。
「そうだよね〜・・・。」
(あ、そうだ、澤村君のこと聞いてみようかな・・・。)
はそう思い、成瀬に聞く。
「ねぇ、成瀬く・・・。」
「あ!ねぇさん!これから暇?」
の言葉をさえぎり、成瀬が突然聞いてきた。
「え・・・暇・・・・だけど?」
がビックリしながらしどろもどろ答えると成瀬がにっこりと笑った。
「おもしろいところがあるんだ!一緒にこない?」
「・・・・・・・・・。」
は立ち止る。
「・・・な・・成瀬君・・・。」
「え?何?」
どこへ行くのか嬉しそうに歩いていた成瀬が無邪気に答える。
「何って・・・・・。」
の顔がひきつる。
そうここは歓楽街・・・・。
成瀬におもしろいところと聞いて、行く場所も聞かず、黙ってついて行った結果、
ここにたどり着いたのだった。
「何考えてんのよ!!成瀬君のことだから信用してついきたのに最っ低!!!」
が顔を真っ赤にしながら怒鳴った。
「え?ええ!!ち、違うよさん!僕が連れてきたかったのはあそこだよ!!」
成瀬も真っ赤になり、慌てながらどこかを指さした。
「え?」
成瀬が指さしていたのは、ビルとビルとの間。
空き地だった。
そこにはどうやら人がいるらしく音楽が流れている・・。
(空き地?あんなところで何してるんだろう・・。)
「さん行こう!」
すると成瀬が嬉しそうに笑顔で言う。
は成瀬の後につきながら空き地の入り口へ歩いて行った。
「・・・・ストリート・・・バスケ?」
空き地の中ではストリートバスケをしていた。
が不思議そうな顔で言うとすかさず成瀬が答えた。
「うん!さん知ってたんだね。」
「え、うん・・・一応。」
はいままでバスケ部とは無関係だったが、一応ストリートバスケの存在は知っていた。
実際、実物を見るのは始めてだったが。
(へ〜・・・こんなとこにあったんだ・・・・。)
「あ!なるちょー!!」
がぼけ〜っと辺りを見まわしていると、誰かが成瀬の名を呼んだ。
成瀬は声の主がすぐわかったのかキョロキョロと声の主の姿を探している。
「あ!楠田さーん!!」
成瀬は声の主を見つけたのか手を振りながら走って行った。
は成瀬の走っていく方を見た。
すると、そこにはロングヘアの可愛い女の子が立っている。
(うっわ〜、あの子かわいい〜・・・。)
そんなことを考えながら、成瀬とその女の子が話しているのを、
がボケ〜っと見ていると、楠田さんと呼ばれる女の子がに気付いた。
「さ〜〜ん!こっちこっち!!」
すると成瀬がを呼ぶ。
はためらいながらも知り合いがいたほうが安心するため、成瀬の方に走って行った。
「わ〜!なるちょが女の子連れてる〜〜!!」
が行くと、さっきの可愛い女の子が驚きながら言った。
「ち、ちがうよ楠田さん!」
成瀬が慌てて否定している。
「なっに〜〜〜!!成瀬に女だと〜〜〜〜!!」
すると突然どこからか、大声が聞こえてきた。
それとともに男が向こうからやってくる。
(・・・・で、でかい・・・。)
がそんな事を思っていると、その男はを見て、いきなり手を握ってきた。
「おれ尾崎浩介よろしくな!」
「え!?・・・あ、はい。」
はいきなり手を捕まれビックリしていると楠田さんと呼ばれる女のこがすかさず浩介を蹴った。
「何やってんのよ浩介!ビックリしてるでしょ!!」
「・・・・。」
は状況についてゆけず呆然とする。
やっと落ち着くと、成瀬が紹介し始めた。
「えっと紹介するね。うちのバスケ部のマネージャーのさん。」
「は、はじめまして。」
わけがわからないままは少し緊張しながらあいさつをした。
「さん。こっちは僕のストリートバスケ仲間の楠田みずきさん。」
「よろしく。みずきって呼んでね!」
楠田みずきという女の子は元気に人のよさそうな笑顔で言った。
「・・・よろしく。」
はその笑顔に少し安心し、ほっとする。
「で、こっちが同じく仲間の尾崎浩介。」
「ちゃんっていうんだ〜よろしくな!」
「よ、よろしく。」
(外見は怖そうだけど・・なんか変な人。)
はクスっと笑いながら笑顔であいさつをした。
「・・・さんここ来るのはじめて・・・だよね?」
紹介し終わると、みずきがに聞いた。
「あ、うん。」
「ビックリしたでしょう?ここ、場所が場所だから。」
「あ〜うん。」
みずきとはお互い笑っている。
とそこへ
「・・・ねぇ・・・バスケしてきていいかなぁ?」
成瀬が控えめに言った。
とみずきの話を聞いていた成瀬だが、さっきから隣りでバスケがやっていると思うと
やりたくて、やりたくてうずうずしていたのだった。
「あはは、ごめんねなるちょ行ってきていいよ。」
「あ、ごめんねいいよ。」
とみずきが答える。
「うん。じゃあ言って来るね!浩介も行こう!」
「え〜・・・俺ちゃんといたほうが・・・・。」
「いいから行ってきなさい。」
渋る浩介をみずきが追い出す。
「はぁ〜・・・なんかここすごいね。」
はフェンスに寄りかかりながらつぶやく。
「え?ああ、音のこと?」
みずきが首をかしげる。
「ううん。それもあるけどなんていうか雰囲気が・・・こんなところあったんだね。」
は周りを見ながら言った。
大音量の音楽が流れる中。周りにはたくさんの人がいた。
年が離れていたり性別が違っていても、成瀬達の試合を見てたり、ボールで遊んでいたり、隅で話してたり・・。
みんな楽しそうだった。
そんな居心地のいい雰囲気にはぼーっと浸る。
すると突然「ワァ!」とコートの方で歓声が上がった。
コートでは、成瀬と浩介が試合をしていた。
成瀬は夕方と言ってもこの夏の暑い中、汗だくになりながら楽しそうにバスケをしている。
いかにも楽しそうだ。
そんな光景を見ていると心が和む・・・・。
「ここはね、バスケが好きな人達が集まってるところなんだ・・・。」
そんな成瀬達を見つめていたみずきが、つぶやいた。
「ヘタでも上手でも、年も何にも関係ない・・・みんな思ってることは同じ。
ただバスケが好きなだけ・・・それだけで、みんな集まってる・・・・。」
みずきはにっこりと笑う。
(こういうのって・・・いいなぁ〜。)
はこのまま何時間でもここにいたいと思った。
みんながわぁわぁやっているのを見ているだけでも楽しい・・・。
実際にやってみたらもっと楽しいだろう。と思うが、
バスケ部でもない、へたなが自分からやりたいとは言えなかった。
「あー!なんかあたしもやりたくなっちゃった!なるちょー!変わって変わって!!」
するとみずきはコートのほうに走っていった。
(いいなぁ〜・・・。)
は心のなかで密かにつぶやく。
成瀬とみずきが交代!と手を合わせると入れ替わりで成瀬がのところにやって来た。
「あー!楽しかった!」
「おつかれ、成瀬君。」
はふふっと微笑みながら成瀬に言う。
「たのしそうだね〜。」
はうらやましそうに言う。
「うん!あさんもやる?」
そんなに気付いたのか、成瀬はに聞く。
「え・・・あ、いいよあたしは。」
成瀬の言葉には首を横に振る。
「そう?」
「うん・・・あ!そうだ。」
は成瀬に断ると、部活のときの今川との会話を思い出した。
「ねぇ成瀬君。澤村君と仲いいけど、澤村君ってどこの学校から来たの?」
「え・・・。」
が聞くと成瀬が黙る。
「何?」
が不思議に思って言うと成瀬はしどろもどろに言い出す。
「え〜と・・・俺が言っていいのかな・・・・本人から聞いた方が・・・。」
「何?なにかあるの?」
「う〜ん・・・・。」
成瀬の態度に、ん?とは更に首をかしげる。
「あーーーー!!!スーパーセクハラ男!!!!」
突然、フープにみずきの叫び声が響いた。
(な、なに・・・?)
何事かとがみずきの方を見る。
するとそこには・・・・。
「さ、澤村君!?」
その言葉の通り、そこには上南バスケ部1年澤村正博の姿があった。
がつい叫んでしまったため、澤村がこっちに気付いた。
「・・・なんだじゃねぇか。お前なんでここにいるんだよ。」
澤村は少し驚いたように言う。
「何でって・・・・てか、何その格好。」
は唖然としながら澤村に言った。
「ああ?見りゃ分かるだろ、バーテンの格好だよ。」
澤村はバーテンダーの格好をしていたのだった。
そして、澤村のバーテンダー姿はまたまたかっこよかった。
「・・・・・・。」
は思わずみとれて黙ってしまう。
「何みとれてんだよ。」
が、澤村がの頭を殴った。
「いった!!誰もみとれてなんかいないわよ!!」
が頭を押さえながら叫ぶ。
「はいはい。」
澤村がボールをドリブルしながら流す。
「〜〜〜〜!!」
が澤村を睨み付けていると成瀬がやってきた。
「澤村〜、来たんだ。」
成瀬が澤村に聞く。
「おう。」
「バイトは?」
「休み時間貰ったから来た。」
「バスケやってく?」
「いやいい。今日は見てるわ。」
「そっか。」
成瀬はそう言うと、またコートへと戻って行った。
「・・・澤村君、バイトしてんだ。」
2人残されたと澤村は、フェンスに寄りかかっていた。
「ああ、働かなきゃ食っていかれねぇし。」
「え?澤村君、一人暮らししてるの?」
澤村の言葉を不思議に思ったが聞いた。
「・・・親父が蒸発しちまってな。それからは一人で、自分で働いて食ってんだよ。」
「え・・・。」
澤村のいきなりな言葉にはビックリした。
「あ・・・ごめん・・ね・・・。」
はいけない事を聞いてしまったかと、しゅんとしながら澤村に言った。
「ばっか、らしくねぇ顔してんじゃねぇよ。別にもう平気だよ。」
「な、らしくない顔って何よ!人がせっかく謝ってんのに!!」
が怒りながら言うと
「お前には元気な方が似合ってるって言ってんだよ。」
澤村はふっと笑い、ポンっとの頭を軽く叩いた。
「・・・・・・。」
澤村の思いがけない言葉と行動には赤くなる。
そして澤村はそのまま、コートへと歩いていった。
「ねえさんも一緒にやろうよ!」
が赤くなっていると、コートのほうから成瀬が呼んだ。
「へ?・・・あ、あたし?」
いきなり呼ばれ、ビックリしているに、
「そうだね!一緒にやろう!」
みずきも言う。
「えっ・・でも・・・。」
は自分がやっていいものかと思う。
「ちゃ〜〜ん!やろうぜ!」
「でも・・・・・。」
「早くこいよ。」
がうだうだ言っていると、澤村が言った。
ここまで、言われての性格上断れない。
は、う〜んと思いながらコートへ歩き出す。
しかし、少し嬉しかった。
「・・・・知らないよ、へただからね。」
が言う。
「そんなこと分かってるよ。お前がうまい方が驚きだよ。」
「・・・・・。」
(さっきの澤村君はどこへ言ったのよ。)
が澤村を睨み付ける。
「じゃ、じゃあ始めようか。」
2人になれている成瀬が、取り繕ろいゲームは始まった。
「さん!パスパス!!」
「はい!」
ゲームは5人のため誰かを入れてもよかったが、ハンデとして3対2。
成瀬・みずき・対澤村・浩介で、始まった。
は下手とは言えないが上手とも言えない、自分の精一杯のバスケをやった。
それはやはり、思っていた以上に楽く、時間を忘れるような時だった。
「行け!さんシュート!!」
成瀬の言葉にはシュートを決めようとする、しかし。
「そうはいかないよ〜。」
の前に浩介が立ちはだかった。
身長差があるために、どうしても抜けられない。
「〜〜〜〜〜っっ!」
がどうしていいか困っていると、
「!パスッ!!」
誰かがの名を呼んだ。
そしては反射的に声のする方にパスをした。
しかし、その声の主は敵の澤村だった。
「「「あ!!!!!」」」
成瀬、みずきの3人が叫ぶ。
3人が呆然としていると、澤村は3Pラインからシュートを打った。
スパッ!
ボールはきれいな音を立てゴールに吸い込まれるように入っていった。
「すっごーーい!!」
は思わず叫ぶ。
が、澤村の視線に気付き我に返った。
「惚れなおしたか?」
澤村が不敵な笑みでに言う。
「まった・・・あんたはどうしてすぐそういうこと言うのよ!!」
は少し赤くなるながら澤村に怒鳴った。
『あははは。』
皆はその様子を見ながら笑っていた。
「はぁ〜、楽しかった!!」
試合を終えたがフェンスに寄り掛かりながら満面の笑みで言う。
その様子を見ていた成瀬も言う。
「楽しかったね〜。」
「うん!」
も笑顔で返事をした。
「じゃあ〜そろそろ帰ろうか。」
時計を見ながらみずきがそう言った。
気がつくと、あたりはすでにとっぷりと日が暮れていた。
「そうだね〜・・って今何時?」
は成瀬に聞く。
そして自分も時計を見る・・・。
「く!9時!!!!???」
は辺りに響くような大声で叫んだ。
なぜなら、時計の針はすでに8時を回り、もうすぐ9時をさそうとしていた。
「あれ?もう9時?速いね〜。」
みずきはあれ〜。と呑気に言う。
「・・・やべ、休みすぎたわ。俺戻る・・・。」
澤村はバイトへ戻っていった。
「俺はまだまだ平気だけど?」
浩介も平気そうに言う。
いろいろな環境で生活しているせいか、
落ち着いている3人の中、普通の家庭環境の成瀬とは慌てる。
「平気じゃないよ!怒られる!!」
「そうだよ!お父さんに怒られる〜〜〜〜!!帰んなきゃ〜〜〜!!!!」
は真っ青になりながら叫んだ。
普段ならもうとっくに帰ってる時間。
おまけに、何の連絡もなしにこんな時間まで・・・。
あまり厳しくないの親もこれは怒るだろう・・・。
はだら〜っとうなだれる。
「急いで帰らなくちゃ!!!」
しかし、気を取り戻しがそう叫びながら帰る支度をしようとすると・・・。
『ちゃ〜らちゃっちゃちゃ〜らら〜』
どこからかどら●もんの曲が流れてきた。
『・・・・・・。』
みんなの動作が止まる。
「!!!」
そんな中はかばっと鞄をあさり携帯を取り出した。
この曲はの着メロだったのだ。
は携帯などいらない。と言い、自分では買わなかったのだが、
親に『お前は持て。』っと言われ、無理やり持たされていた。
「・・・・・。」
はみなの見る中、携帯の液晶とにらめっこをして動かない。
「?さん?誰から?」
不審に思ったみずきが聞く。
「・・・お母さんから・・・・。」
はつぶやく。
「・・・取らないの?」
一向に取ろうとしないに成瀬が聞く。
しかしはできれば取りたくなかった。
なぜなら内容はわかりきっていたから・・。
「・・・・・はぁ。」
そしてはうーっと、うなりながらため息をつくと、
携帯を耳にはつけず、手に持ったままピッとボタンを押した。
【ーーーー!!!どこにいるの!!!一体、今、何時だと思ってるの!!さっきから何度も・・・!!】
耳に近づけなくて正解。
携帯からはの母の怒鳴り声が聞こえてきた。
手に持ったままでも、聞こえるくらいに。
きっと耳にあてていたら大変な事になっていただろう。
「ああ・・・。」
はやっぱり。とうなだれる。
「・・・お母さん・・だね。」
怒鳴り声が聞こえる中、成瀬がはは。っと笑いながらに言った。
「うん・・・・どうしよう〜!!怒られるよ!!!あーもう〜〜・・・。」
そしては携帯を耳へと近づけた。
「・・もしもしお母さん?」
はおそるおそる言う。
【!!あんたどこにいるの!こんな時間まで!!!】
「ごめんなさい〜!!あのね・・・。」
とが言おうとした時、スッと耳から携帯が抜けた。
「へ!?」
がビックリしていると・・・。
「あ、こんばんはー。どうも澤村です。」
が振り向くとそこにはの携帯片手になにやらしゃべっている澤村の姿・・・・。
【あら!澤村君!!】
母の声も微かに聞こえてくる。
「ちょ!ちょっとー!!何してんのよ!返してよ!!」
はあせりながら言う。
「すみません。ちょっと僕が連れまわしちゃって。」
「はい!?」
が叫ぶ中、澤村は無視し、着々と話している。
【あら〜、デート中だったかしら?ごめんなさいね。】
「いえいえ。」
「ちょっと!!!何勝手なこといってんのよーーーー!!!」
は携帯を取取り返そうとする、しかし、澤村より約20cm小さい。
澤村に頭を抑えられ取り返せない。
「あ〜はい。すみません。はい。ちゃんと送り届けますんで。はい、さようなら〜。」
そうこうするうちに、澤村は携帯をピッと切った。
「・・・・・・・・・。」
「ほらよ。」
澤村は切った携帯をへと渡す。
「・・・ちょっと・・・あんたね〜!!何いってんのよ!!!デートなんかしてないでしょ!!」
が真っ赤になりながら怒鳴る。
「ああ?いいだろ別に。お前がぐだぐだ言ってるから、俺がうまくごまかしてやったんじゃねぇか。
おかげで怒られずにすんだだろ。」
澤村がぶ然とそう言う。
「それは・・・そうだけど!でもデートって言わなくても別の誤魔化し方があるでしょうよ!!!!」
はぶち切れた。
「別に向こうが勝手に言ってきたんだろ?俺が知るか。じゃあな〜。」
澤村はそう言うと、煙草をくわえ、バイトへと戻っていった。
「な!・・なんなのよあいつーーーーーー!!!!」
そこにはの叫び声だけが残った。
「・・・あいつとさんていつもこうなの?」
「う、うん・・・まぁね。」
「・・・なるちょがんばってね。」
「うん・・・・。」
続。