訳。













「つっかれた〜・・・・・・。」



ここは澤村の働いているバー。
も少し前からここで澤村と一緒にバイトしていた。
お客のいなくなった店で
はカウンターにへばりつく。


「おら邪魔だ。どけ。」


そんなに同情するわけでもなく。
澤村はをどかしカウンターを拭く。


「だってさー・・。
まず学校でしょ?そいでその後に部活。
おまけにその後に今日はバイトだよ?
疲れるよ〜・・・。」


ただ愚痴る相手が欲しいだけの
淡々と掃除をする澤村に話しかける。

「・・・ならどれかやめりゃいいだろ。」

顔はカウンターを見たまま。
澤村はに言う。

「それがね〜・・どれもやめられないのよ。
学校は・・辞めたら親が泣くし。部活は・・続けたいし・・。
バイトは・・お金欲しいし。」


「じゃあやれ。」


澤村はきっぱり言い放つ。


「・・・・・・・・・・でもね〜。」


は、あ〜。とうなだれながら言う。


「っ・・・・いいからてめぇはさっさと仕事しろ!帰れねぇだろ!!」


のうだうだしている態度に、とうとう澤村は切れる。


「だって疲れたんだもん!いいじゃん!少し休んだって!!」


そしては叫ぶ。
が、そこではた。とはあることに気付いた。








「ねぇ・・澤村君って・・・もしかして凄くない?」







「あ?」

の突拍子な発言に澤村の手は止まる。

「だってさぁ!よく考えてみて!
学校行くでしょ?その後部活であたしは見てるだけだけど・・。
澤村君はみっちり走って・・その後バイトだよ!?
あたし週3だけど・・澤村君ほぼ毎日でしょ!?
あんた・・どういう体力してんの?」


「ああ・・そう言われればな・・。」

澤村もそうだな・・。とつぶやく。

「一見細くて体力なさそうなのにね〜。」

は思わず感心する。

「・・うるせぇ、一言余計だ。
まぁ・・慣れだな。
最初の頃、部活の後はきつかったけど・・。
今は平気だし・・バイトはもうずっとやってっから。」

「ふ〜ん・・どれかやめようとか思わなかったの?」

はさっきの質問を返す。

「・・・・・・・・・タダで高校卒業の資格取れるし・・。
バイトしなきゃ食ってけねェからな・・部活は・・まぁ楽しいし。」

澤村はしばらくの沈黙の後そう言った。

「ふ〜ん・・大変ね。」

そう言うとは仕事へと戻った。








(・・・・お前の側に居たいからやめない・・なんて言えねぇよな・・。)








澤村はを見つめながらそう思うのだった。







終。