卒業。













異常気象のせいか。
三月だというのに温かい日。
と澤村は桜の木の下にいた。
頭上の桜は満開で風が吹くたびに心地良い音を奏でている。









と澤村は・・今日、この上南高校を卒業する。




正確に言えば「した。」だろうか。
今は卒業式の後・・HRまで時間があるため抜け出してきた。













「卒業・・しちゃったねぇ・・・。」


は桜の木に寄りかかりながらぼそっとつぶやく。

「ああ・・・。」

澤村も煙草をふかしながら桜の木に寄りかかる。




「3年間楽しかったなぁ〜・・・あっという間だった・・・。」

「思い起こせば早ぇんだよ・・。」

「・・・・・・澤村君・・就職でしょ?」

澤村の突っ込みにはむっとしながら話を続ける。

「ああ・・大学行く金ねぇし・・。」

「あたしは専門学校・・成瀬君は大学・・・皆ばらばらになっちゃうね・・。」

「・・・・・・・・・・。」

「嫌だなぁ・・・・。」

はつぶやく。

「・・・・いつも一緒にベタベタ。ってか。
そんなの気色悪し、足引っ張るだけだぜ。」

澤村はキッパリと言い放つ。

「それはわかってるよ!わかってるけど・・。」

は下を向く。

「・・・・・・。」

その時。最後のHRを告げる、鐘が鳴った。

「あ!鐘なった!澤村君行こう!!」

そう言うとは教室へと走った。










ザアア  「・・・・〜〜〜・・・。」  アアアアァ









「え?」

澤村が何かを言った。
が、風が吹き、桜の音で聞き取れなかった。
は降り返る。


「・・・なんでもねぇよ・・・ほら行くぞ。」



澤村は、そう言うと煙草を捨ての横を通りぬけた。

「・・・・・?」

は疑問を持ちながら澤村の後を追った。














「・・・安心しろ・・お前が離れてくれって言っても一生離れてやんねぇから・・・。」















終。