外見で判断すると痛い目に合います。













ガチャ。





は部室のドアを開ける。



「・・・・・・・・・・。」



そして飛びこんできたのは澤村の寝顔。











(あらら〜・・・寝てるよ〜・・・部活中なのに・・・・。)

澤村はTシャツに上着を着て寝ていた。
はそっと澤村の側に近寄る。


「・・・・・・・。」


そして見つめること数十秒。

(・・・相変わらず綺っ麗な顔してるな〜・・・寝顔まで綺麗だよ・・・・。)

はくそぅ・・とつぶやく。



は寝ている澤村の前へと座った。
そして澤村の顔を見つめる。


(うわ〜・・・睫長・・・・肌綺麗〜・・・・髪の毛柔らかそう〜・・・・。)


澤村観察をしていると次第にも眠くなってきた。
ちょっとくらい大丈夫かな・・とは眼を閉じ眠りの世界へと旅立った。

そしてがスーっと寝ていると。



「・・・・・・・・・。」


パチッと澤村が眼を開いた。
そして上半身を上げを見つめる。

そう、澤村は今まで起きていたのだ。

疲れてへたばっていたのだが、
が自分の顔を見ていたので面白く寝たふりをしていたのだった。



「・・・ったく・・・この女は・・・・。」


澤村は自分の前で無防備に寝るに呆れる。
そして静かに椅子から立ちあがると
自分の来ていた上着をに掛け練習へと戻った。

















「・・・・・・!?」


それから数十分後はぼや〜っと眼を覚ましガバッ!と起き上がる。
前を見ると・・・澤村はいない。

「やばい!!!あたし練習中なのに寝ちゃった!!!」

は急いで戻ろうと立ちあがるとパサッと肩から何かが落ちた。

「・・・・・・・。」

拾うと、それは見覚えの有る上着・・・。

「!」

ああ!とは思い出した。

(澤村君・・・あたしに掛けてくれたんだ・・・・。)

はびらーっとその服を広げる。


「・・・・・・・・・・・・なんか大きくない?」


そう、その上着は結構大きかった。
試しには来てみたが手はすっぽり収まり手先が見えない。
丈は太腿まであり長い。


(・・・・・・・・澤村君・・・見かけによらず結構体大きいの?)


そんなことを考えていたはハッとし、
練習へ戻る為、急いで部室を出た。




















(きゃ〜〜!!怒られる〜〜!!!)


が急いで渡り廊下を歩いていると、
前方の水飲み場で澤村がバシャバシャと顔を洗っているのが見えた。

「・・・・・・・・・・。」







「ふぅ・・・。」

顔を洗った澤村は一息吐く。



「うわ!!!」


そして叫んだ。

何故かというと・・・いきなり何かが背中に張り付いたからだ。

「・・・・・・・・・。」

澤村が振り向くと・・・そこには自分の背中にビタッと手を当て、
何かに悩むの姿・・・。

「・・・・・お前何やってんの?」

澤村は怒り混じりに言う。



「・・・澤村君・・・見かけはひょろいのに、実は結構体しっかりしてる?」


は澤村の背中をべたべた触りながら言う。

「うるせぇ、一言余計だ。」

澤村が眉をぴくっとさせる。

「貧弱そうなのに・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・。」

その言葉が澤村に火をつけた。

「・・・・・・・・あ〜あ、『ひょろい』けど『貧弱』そうだけど
一応しっかりしてるぜ〜・・・お前を担げるくらいな。」

言い終わると同じに澤村はにやっと笑った。




「え?うわぁ!!!!!」



は叫ぶ。

「ほ〜らな?」

澤村はを持ち上げにっこりと笑う。
そうはいわゆるお姫様抱っこをされていた。


「なっ!?ちょっと降ろしてよーーー!!!!」


は叫びながら澤村から離れようと押し返す。
が、当の澤村は余裕で・・。


「さーてじゃあ、このまま体育館まで連れていってやるか〜♪」


澤村はにっこり笑顔で言う。

「!?い、嫌!やめて!!お願い!!」

は首をぶんぶん振り焦る。


体育館には小林や桜井・・・他の部員達がいる。
それでもなくともラブラブだという噂があるのに
こんなのを見られたら余計噂がたってしまう。



(小林さんに勘違いされちゃうーーーーーー!!!!)


は心の中で叫んだ。

しかし、現実は厳しくて。
澤村はを抱え、すたすたと体育館入り口へと歩いていく。


「澤村君!!お願い!!やめて!頼むから!!!」

は叫ぶ。

「いやいや、遠慮しないで〜♪」

澤村はもはやの嫌がる姿を楽しんでいる。

「いやーーーー!!降ろしてーーーーーーーー!!!!」

はぎゃあぎゃあと騒ぐ。
それは体育館の中にも聞こえていて・・。










「・・・・・?」

「・・・・ん?なんだ?」


中の部員達が叫び声の聞こえてくる入り口を見る。
そしてそこに現れたのは・・・。





澤村にお姫様抱っこされたの姿。





『・・・・・・・・・・・・・・・・・。』

体育館中が静かになった。
響くのはテン・・・テン・・・テン・・・と転がるボールの音だけ。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」



も真っ青になり、もうどこか穴でもダンボールでもロッカーでも
とにかく隠れる所があれば入りたい。と言う気持ちだった。


「さ、着いたぞ。」


そんな中、澤村はにっこり笑うとを降ろした。


「さぁ〜♪練習練習♪」


そうして嫌がらせを存分にした澤村はご機嫌な様子で練習へと戻って行った。





凍りついたと部員達を残して・・・・・・・・・・・・。







終。