栄光は誰の手に。01













インターハイも終わり、季節も秋に移り変わったある休日の土曜日。
上南高校の正門に、複数の影・・・。





「なんで、お前達がここにいるんだ・・・。」


南郷大付属筑波学園、三上圭吾は、見るからに不快な顔でそう言った。


「・・なんでといわれても、俺はに会いに来たんだ。」
同じく南郷大付筑波の藤堂尚樹はそう言う。

「・・・・・・。」

「待て・・・真島、どこへ行くつもりだ。」
三上が、三上と藤堂の間を素通りし中へ入ろうとしていた、
また同じく、南郷大付属筑波の真島真琴の肩をがしっと捕まえる。
「大体さぁ、なんで圭吾ちゃんがここにいるわけ?」
そしてまたまた同じく、南郷大付属筑波の林田祥太郎がそう言った。
「何って・・・俺はに会いに来たんだ。」
「ようするに、みんなさんに会いに来ってわけですか。よりにもよって同じ日に。」
三上がそう言うと、またまたまた同じく、南郷大付属筑波のK2ことコウ・カンジスキーがまとめる。
「僕も会いに来たんだよ、ということで・・・。」
またもや真島が入ろうとする。
「「「「待て。」」」」
それを4人で止める。

この高校バスケ界のリーサル5と言われ、一役有名な南郷大付属筑波学園の5人は
みな、それぞれ別々に用事があると言い、学校を出たのだが、ここ、上南高校の前ではちあわせした。
なぜならそれはみな、上南高校バスケ部マネージャーに会いに来たからだった。


「!」

4人がそのまま睨み合っていると、エンジン音と共に1台のバイクが上南高校校門前にやってきた。
「あれは・・・。」
三上がつぶやく。
降りてきたのはこれまた高校バスケ界のヤングライオンこと、
四ツ谷鵜の原商業高校、桑田泰彦だった。
「ん?」
向こうもこちらに気付いたらしい。
それもそうだ、背の高いそれぞれの分野で美形なこの5人の男達が、
異様な雰囲気の中立っていれば、かなり目立つだろう。
その証拠に、すでに少し人だかりが出来ている。
「あっれー、たしか・・南郷大筑波の人達ですよね?」
桑田は気さくに話しかける。
「ああそうだが・・上南になんのようだ。」
三上は唐突に言った。
三上はこいつも同じ狙いだと感づいたからだった。
なぜ気付いたのかは、インターハイでの態度を見れば一目瞭然だった。

「え・・ええ、ちょっと上南のマネージャーに。」

桑田はちょっと驚いたが、同類だと分かるのか。
こいつらもを狙っていると感づき、そして堂々とそう言った。


「・・・・・・。」


両者が睨み合ってると、スタスタと真ん中を歩き校門を通ろうとする人が1人・・・。
金沢北工業高校、天海サスケだ。

(・・・こいつもか・・・。)
全員こころの中でそう呟いた。
そして、サスケを呼びとめようとしたとき。


「あれ・・皆さん何してるんですか!?」


声が聞こえてきた。


『!!!』

みな、いっせいに振り向く。
そこにはみんなが争っていた少女の姿があった。


「ようちゃん。」

(『ちゃん』・・・?)
桑田以外の全員は心の中でそう言った。
「あ、桑田さん。それに皆さんも・・どうしたんですか?」
(出遅れた・・・。)
桑田以外の全員はまたもやこころの中で呟く。
皆さんで略されないためには、最初に話しかけるのが決め手だった。

「・・いや、ちょっと近くで用があってな、ついでに寄ってみたんだ。」
三上が言った。
わざわざ会いに来たなんて言ったら、どんな反応をされるかわからない。
これは、うまくかわしておいた方が得策だろう。
これにはみんな同意したらしく、黙っている。
「あ、そうなんですか?あ、すいません・・だけど・・・もう部活終わっちゃったんですよ・・。」
がすまなそうに言う。
「あ、別に全然平気だよ。こっちが押しかけてきちゃったんだから。」
真琴が言う。
「あ、そうですか?」
が安心したように微笑んだ。

(かわいい・・・。)

三上は顔に手をやり赤面し、林田はでれ〜っと笑い。
藤堂、K2、桑田、真琴、それぞれがそれぞれにの笑顔に打ちのめされていた。

「あ、そうだ!もしよかったら、これからフープに行こうと思ってるんですけど!皆さんも行きませんか?」

がうれしそうに提案する。
「お、いいねぇ〜。」
の提案に、林田がうれしそうに返事をする。

「行こうか。」
「ストリートか・・やった事はないがやってみようか。」
「・・・・。」
「お、楽しそうじゃん♪」
「いきましょう。」
「よし!じゃあ早速行こう!!」

そして、ぞろぞろスリーメンズフープへと歩き出した。


「あ、すいません。ちょっと待ってもらえますか?」

が引きとめた。

「・・・澤村がまだ来てないんですよ。」

いたのか・・。という顔をされた成瀬が付け足すように言った。


(澤村・・・・・。)


全員が一斉に、もっとも思い出したくない顔を思い出す。
そう、学校が違うため、数少ない会話の場をいつもことごとく邪魔してきた澤村の顔を・・。



「お〜またせたなぁ。」


その時、澤村はそう言いやってきた。
「・・・・・・。」
澤村は一瞬目の前の光景に唖然とする。
それもそのはず、目の前にいきなりインターハイのメンバーが勢揃いしていたのだから。
「あ、澤村君。皆さんとフープ行くことになったから。」
唖然としている澤村には振りかえり、説明する。
「・・・ふ〜ん。いいんじゃねぇの。」
澤村は人とおり全員見ると、素っ気無く、そう言った。
「じゃ、行きましょうか。」
そう言うと+9人の男達はフープへと歩き出したのだった。







続。