暑い日にはご注意を。













「暑い・・・・。」



ここは上南高校体育館。
ここでは今日もインターハイへ向け、
上南高校バスケ部が練習に励んでいた。
そしてバスケ部マネージャー。
もマネージャー業に勤しんでいた。
が。

「暑い・・・・。」

そう、体育館は暑かった。

「暑い・・暑い暑い暑い暑い暑いーーー!」

はあーー!っと叫びながら体育館のドアから外へ出る。
体育館が暑いというか、
今日は猛暑だった。
最高気温は39度。
そしてただ今の時刻は午後2時。
暑い盛り・・。
体育館の窓はすでに全開。
が、暑い。
外の方がいくらか涼しいか・・。と思い。
出たのだが、たいして変わらない。
というか、外の方が日差しが強くよけい暑かった。

「うう・・・。」
はしぶしぶと体育館の中へ戻る。
「うっせぇな・・暑い暑い言ったってしょうがねぇだろ・・。」
そんなにすでに怒る気力もなく、
休憩していた上南バスケ部1年。澤村正博は飲み物のボトルを顔に当てながらぼそっと言った。
「だって〜・・・。」
はへなへなと地面に座りこんだ。
「俺達なんかこんな中走り回ってんだからな・・。」
「・・そうね・・澤村君たちのほうが大変だね・・がんばってね。」
はタオルで澤村を扇ぎながら力なく言った。
「ああ・・。」
と、澤村の言葉と共に主将の集合と言う声が響いた。
ぞろぞろと部員達は集まっていく。

(がんばれみんな・・。)

はみなを応援するのだった。
が。








(暑い・・・・・。)


休憩が終り練習中。
は部員達の練習を見ているだけなのだが、
暑い。
あまりの暑さに頭が朦朧としてきた。
(・・あれ・・・・?)
視界がぼやける。
体は丈夫な方なのだが・・。
は朦朧とする頭でそんなことを考える。
が、次の瞬間。


バッターン!


は大きな音を立て倒れた。
みなの視線がザッとに集まる。

!」
さん!!」

桜井と成瀬、部員達は倒れたの元へと集まる。
の顔は真っ赤だ。
はぁはぁと、つらそうに息をしている。
「熱中症か・・。」
桜井がの顔に触れる。
と、誰かがの体を持ち上げた。

「保健室に連れていく。」

澤村だった。








(冷たい・・。)

は額に冷たいものを感じて目を開けた。
と、そこには澤村の顔が・・。
「わぁ!」
はがばっと起き上がる。
「う・・・。」
が、くらっと目眩がしてまた布団に倒れた。

「なにやってんだよ、ばか。」

澤村は呆れた顔で見ている。
「・・あれ・・ここ。」
は自分がいる場所に気づく。
そうここは上南高校保健室のベットの上。
「お前ぶっ倒れたんだろ。覚えてねぇのか。」
澤村がぶっきらぼうに説明する。
「あ!・・ああ・・。」
は思い出す。
「それで俺が運んでやったんだよ。ありがたく思え。」
澤村はの額にバチン!っとデコピンをする。
「いたっ!・・・運んだ・・ってまさか・・。」
はみるみるうちに赤面する。
「・・そうだよお姫様抱っこしてな。」
澤村はにやっと笑う。

(ぎゃー!!)

は心の中で絶叫した。
「ご、ごめんね澤村君!!重かったでしょう・・。」
は真っ赤になりながらすまなそうにいった。
「ああ。」
澤村はきっぱりと言い放つ。
「う・・・・はっきり言う普通・・。」
は小声でぼそっと言った。
「ああ?」
「・・・なんでもないです・・。」
澤村君に言ったってね・・。
はふっとため息をつく。
「・・・なんだぁ〜その態度は・・。」
そんなに澤村の額に怒りのマークがつく。
「俺様が運んでやったつーのに・・。」
すると澤村はがたっと椅子から立つと
ベットにの体を両手ではさむように手をついてきた。
「!?」
自然と顔の距離は近づく。
(な!なに!?)
は布団を顔まで持ち上げ赤くなる顔を隠しながら
近づいてくる澤村に対し後退りする。
「運んでやったんだ。お礼くらい言いやがれ。」
しかしなおも澤村は近づいてくる。
「・・わ、分かったから近づいてこないでよ!!」
は焦る。
「・・・・分かったなら言えよ。」
澤村はぶ然と言い放つ。
しかし、なおも近づきながら。
「・・ど、どうも・・。」
は小声でつぶやくように言うが、
「・・・ああ?・・ありがとうございましただろ。」
澤村はずいっと近づきに言った。
(ひぃ!)
は真っ赤になる。
すでに後退りしていった結果。
後ろは壁。
もう後退りできなくなり
澤村は近づいてくるで
澤村との顔の距離は数センチだった。

(ひぃーーー!!)

が心の中で叫んだとき。


「・・・・。」

なんとの荷物を持った小林がカーテンを開け中に入ってきた。
そして、その場の光景を見て固まる。

「こ、小林さん!!」

こんな光景を見らたのと
でも、助けが入ったことの
悲しさと嬉しさが混じった声では小林の名を呼んだ。
(チッ・・・。)
澤村は心の中で舌打ちするとすっとから離れた。
はっと我に返った小林は体全体から殺気を発しながら
じーっと澤村を睨んだ。
なぜなら小林はに惚れていたから。
そして一番の敵はこの男澤村だ。

「あの・・小林さん??」

と、はたから見ればただ立っている小林に
は頭にはてなマークを浮べながらどうしたのかと声をかけた。
「あの荷物を持ってきたのだが・・。」
小林はそう言うとすっとのかばんをベットの上へ置いた。
「え!ああ、すみません・・だけどあたしもう大丈夫だから練習に戻ろうと思ってるんですけど・・。」
がおずおずと言う。
が、そんなの言葉に澤村は
「今日はもう帰れ。」
すばやくそう言った。
「えー!なんでー!もう大丈夫だよ!!」
「いや・・今日はもう帰ったほうがいい。」
そんなに小林もそう言った。
「え・・はい。」
はしゅんとする。
と、そのときがらっとドアの開く音がした。
先生かな?
がそう思っていると。


ちゃん大丈夫ー?」


なんと四谷鵜の原高校桑田信彦がカーテンから顔を覗かせた。
「く、桑田さん!!」
はびっくりする。
なぜ、桑田が上南高校の保健室に?
以外の二人もこれには少し驚いた。
「ちょっと敵情視察に来たらさ、倒れたって聞いたんで心配で来てみたんだ。」
桑田はにっこりといつものさわやかスマイルでそう言った。
「あ・・ご心配おかけしまして。もう大丈夫なんで今から帰るところなんです。」
はぺこっと頭をさげてそう言った。
「あ、今から帰るの?じゃあ送っていこうか?」


「「ダメだ。」」


桑田の言葉に即座に否定の声が2つ入る。
その二人とは澤村と小林。
なぜ止めたかと言うと桑田も密かにを狙っていたからだ。
他の男にやすやすとを預けてなるものか。
二人はそう思っていた。

「でも・・まさかこの炎天下の中倒れたって言うのに歩いて帰すわけにはいかないだろ?」

しかし、桑田もここで負けてはいられない。
にっこりと微笑んだまま攻撃に出た。
う・・。っと二人は言葉につまる。

「誰か送ってあげられるのかい?」

送ってやりたいがこの後練習があるため
またまた二人は言葉に詰まる。


勝負は決まった。
勝者桑田。





「じゃあちゃん行こうか。」

「はい。」



こうしては桑田の手にへと渡ったのだった。
あとには小林と澤村の悔しそうな顔だけが残った・・。







終。