再会。













トルコはある家の前に立っていた。



「・・・・・・・・」


その家は周りの新しい、綺麗な家々とは違い、もう何十年もそこに立っていることを証明するように、
雨どいは斜めに傾き、金具は錆び、外壁の色も褪せていた。



「・・・・・・・・」



トルコはここに、一度だけ来たことがある。

もう何十年も昔の話。



はじめて訪れて、そして永遠のお別れをした場所。






「・・・・・・・・・・・・」



トルコはあの頃と変わらない姿で、ポケットに手を入れ、
その家を見つめていた。



きっと彼女はもうここにはいないだろう・・・・。



そう思っていた。



だから来たのだ。




この何十年と、訪れることを必死に堪えていたこの場所に。





「・・・・・・・・・」




あの時の出来事が、鮮明によみがえる。


この家はまだ新しくて、彼女は泣きじゃくっていて・・・・



「・・・・・・・・・・」



トルコは古くなったその家を見上げながら、少し寂しそうに、少し微笑んだ。



すると、ガチャリ・・・と静かにその家の扉が開く。



トルコはビクッと、少し体を揺らし、視線を扉へと向けた。


そして目を見張る。




「・・・・やっぱり・・・・なんとなくそんな気がしたの・・・・」




そこには・・・白髪の、背の丸まった一人の老婆がいた。




「・・・・・・・・・」




トルコはその老婆を見つめ、言葉を失くす。




「久しぶり・・・・・お茶でも飲んでく・・・・?」




彼女は皺くちゃの顔でゆっくり柔らかく微笑むと、そう言った。




「・・・・・・・・ああ・・・」




トルコは震える声でそう答えながら、泣き出しそうな顔で微笑み、彼女の元へと、一歩、踏み出した。


















終。


2012/09/13....