ずっと一緒に。

















いつまでも・・一緒にいられるんだと思ってた・・。
















「コズミ博士・・僕達明日・・ここを出ます・・。」




ジョーは少し悲しそうな、けれどはっきりとした口調で
縁側で囲碁を打っているコズミ博士に告げる。


「そうか・・・・・はどうするんだい?」


コズミ博士はいつものニコニコした笑顔で言う。


は・・・・。」





















「おはよー・・・。」




朝。
リビングに降りて来たは扉を開け言葉を詰まらせる。


「おはよう。」


何故なら9人全員とギルモア博士がリビングに勢揃いしていたからである。
何事かとが思っていると・・。




。話がある。」



ハインがこっちへ来いと手招きする。
ジェットは窓の外を見ていた。


「何?」


不思議に思いながらが歩み寄ると。






「あのね・・僕達・・明日ここを出ていくことにしたんだ。」




ジョーがそう言った。




「あ・・そう。北極行くんでしょ?じゃああたしも準備しなきゃね。」



はそう言い微笑みながら自分の部屋へと戻ろうとする。














「お前は・・・・残るんだ。」













「・・・・・・・・・え・・?」





ハインが言った一言。
は立ち止まる。




「お前は・・ここでコズミ博士と一緒に暮らすんだ。」






「・・・・・・・・・・・・・。」



はハインの言った言葉が信じられなくて他の皆を見る。
されど・・・他の皆はうつむいている・・。











「・・・・・・・・やだ!!!!!」










「・・・・・。」





「やだ!!絶対嫌!!!なんで!?なんであたしだけ残るの!?・・足手まといだから!!?」




は叫ぶ。


「そうじゃない・・危険だからだ・・。」


ハインは辛そうに・・・少し俯き加減に言う。


ちゃんの為なのよ。」


フランもつらそうな笑顔で微笑みながらを説得する。






「何・・あたしのためって!?あたしはっ・・!あたしは皆と一緒にいたい!!!」




の瞳に涙が溢れてくる。




「あたしは一緒にいたいの!!危なくてもいい!!!みんなと・・離れるなんて・・嫌だ・・・」




そしてそれはぽたぽたと床へ落ちる。








「駄目だ・・・・。」








『・・・・・・・・・・・。』





「なんで・・・っ・・。」



は俯く。










「あたしも・・あたしも・・サイボーグなら良かった・・・・・」









は涙を流しながら悔しそうな、淋しそうな小さな声でつぶやく。






・・・・・。」


ジョーがへと歩み寄る。








「・・・っ嫌だから!!!あたしは絶っ対行くからね!!!!」







はそう言うとばたんと扉を開け自分の部屋へと走っていった。









「・・・こーなると思ったぜ・・。」


が去った後、ジェットがそうつぶやく。


「連れてきゃ良いじゃねぇか!危なくても・・守ってやれるだろう!」


ジェットが不機嫌な様子で言う。


「駄目だ・・。」


が、ハインは頑としてそう言う。


「なんでだよ!?」



「・・・俺達だって精一杯の状況になるかもしれない・・そんな時・・を守ってやれないだろう・・
今、一緒に行って・・いなくなってしまったらどうする・・
それよりも・・今は離れても・・後でずっと・・平和になってからいられる方が良いだろう・・・」



大切な人をなくす辛さは誰よりも知っているハインリヒに、誰も言い返せない。



「・・・・・くそっ・・」


「そうね・・。」
「そうだね・・・。」














そして時間は流れていく・・。





















「・・・・・・・・・行く・・」



「駄目だ・・・」


「行く・・・・」


「駄目だ・・・・」


「行くの・・・・」


「子供じゃないんだから、いい加減分かってくれ・・・」





『・・・・・・・・・。』




荷物を積み。
片づけをし。
出発の時。

とハインはこの会話を繰り返す。
次第にの眼には涙が溢れ。
溢れきった涙は地面へと落ちる。




「一緒に・・行きたいよ・・・」



ぽたぽたと出来る、地面の染みを見つめながら
はつぶやくように言う。





「・・・待っていろ・・すぐ戻ってくるから・・。」



ハインは薄く微笑みながらそう言う。
そんな言葉に・・プツンとの中の何かが切れ。
はハインに抱きつき大声で泣いた。


・・。」
ちゃん・・。」
「・・・・。」
〜・・泣くなアルヨ・・。」
「少しの間だからな〜。」
「・・・・・・・。」
「きっとあっという間だよ。」
「大丈夫じゃよ。」


の周りにやってきて。
頭を撫でたり。
ぽんぽんと元気付けたり。
手を握ったり。

お別れをした。







ずっと一緒にいられると思ってた・・。
あの日から・・私を助け出してくれた日から。

皆と一緒に逃げて・・。
助けてもらったり・・。
皆の無事を祈ったり・・。

辛いことが多いかったけど・・。
不思議と楽しかった・・・・。

だけど・・ここでお別れしたら・・。
もしかしたら・・・。


最後かもしれない・・。


黒い幽霊団の本拠地へ行く・・。
もし・・そこで負けたら・・。
もう皆は二度と帰って来ないだろう・・・。
だから・・一緒に行きたい・・。
負けてしまっても・・私も一緒に死ねるなら良いと思った。
残って一人で生きるよりも・・。
そっちの方が全然良いと・・・。









「行ってきます!」

「またな・・。」

「待っててね。」

「帰ってきたら美味しいもの一杯食べさせてあげるアルヨ!!」

「パパッと片付けてきますぜ、姫君!」

「必ず・・帰る・・・」

「行ってくるね。」

【行ってくるね・・。】

「待っててくれな。」

「・・・・・・じゃあな。」



こうして・・九人の赤い戦士達は出ていった・・。
















「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・。」




ドルフィン号の中は静まり返っていた。
そもそも、00ナンバー達で話すことはあまりない。
いつもは・・・。
が話しかけてきて・・。
そこから会話が始まる・・。









また会えるかな・・・・。



もし・・負けたら・・これが最後・・。
もう、会えることはない・・・。
優しく・・温かかった・・。
大切だった・・。

だから・・置いていく・・。

俺達が死んでも・・生きていて欲しいから・・。
いつも笑っていてほしいから。
幸せになって欲しいから・・・。
だけど・・・・。





・・・・もう一度会いたい。





声が聞きたい・・。
あの笑顔が見たい・・。
離れたくなんか・・ない・・・。
















「・・・・・っ・・・あーーもうっ!!!」











と、ジェットがガタッと立ち上がった。


『・・・・・・・・。』


他のメンバーは何事かと見ている。






「・・・・・・・・・戻るぞ!!!!」








「え・・?」

「おい・・・。」




「こんなんでやってらってか!!勝つもんも負けちまう!!
いいじゃねぇか!守ってやれば!!何がなんでも守れば!!
守ってやれないかも?そんなもん考えんな!!守れば良いんだよ!!!!!!
一緒にいたいだろ!!!!!??」





「・・・・・・・・。」





無茶苦茶な理屈。

だが・・最後の台詞は当っている・・・。

「ふっ・・・」

ハインは微笑んだ・・。


「な、なんだよ!お前らが嫌って言っても、俺が一人で連れてくるからな!!」


そう言いながら操縦室を出で行こうとするジェットに・・・



「・・ジェットがきかないんじゃ・・しょうがないわね。」

と、フランの声が一つ響く。


「そうだね。」

「どうせ迎えに行くなら・・皆で迎えに行こうか。」

その言葉に、一つ二つと・・・みんなも同意する。





「・・・よっしゃー!戻るぞ!!」







ジェットの声が響き、ドルフィン号は・・来た道を戻り始めた。





彼女がいる、あの場所へと・・・・










終。