ワン・ツー・スリー・・・。
「うわー!気持ち良いーーー!!!」
ドルフィン号の入り口から海を見渡したは
潮風にあたりながらそう叫ぶ。
「お、良い天気だな〜。」
続いて出てきたジェットも
の後ろに立ちながらうーんと伸びをする。
「・・・・・よっと。」
「あ!おい!!」
はしばらく何か考えた後。
ひょいっと入り口を出て柵も何もない外壁の上に乗った。
ジェットはそんなの行動に慌てる。
「危ねぇだろ!!戻って来い!!」
落ちたらどうするんだ・・。
を大切にしているジェットは心配で気が気ではない。
「ちょっとだけ!ここの方が清々しくていいんだもん〜。」
そんなジェットの気持ちなど露知らず。
は外壁の上に立ち伸びをする。
「まったく・・・。」
ジェットはため息をつきながら
が戻ってくるまで待った。
「さて、じゃあ戻ろうか。」
がそう言い。
戻り始めた時。
グラッ
ドルフィン号が波で揺れた。
「うわぁ!!!!!」
そしては足を滑らせバランスを崩しそのまま・・。
ドッボーン!
「!!!!」
すかさず外壁に飛び乗るジェット。
「ぷはっ!!・・大丈夫だよージェットー。」
と、下からの声が聞こえる・・。
「・・・はぁ・・。」
ジェットはほっと胸を撫で下ろした。
「あはは〜。でも気持ち良い〜。」
と、ジェットの心配を他所に
は気持ち良さそうに海に浮ぶ。
「・・・おいおい、早く上がれよ。」
「・・・・うん、じゃあジェット引っ張って。」
は海から手を差し出す。
「・・・・・・・・。」
めったな事では人に頼らないが手を差し出してきた。
いつもならうまく足をかけ。
一人で登って来るのに・・・。
「ああ、いいぜ。」
珍しく頼られ。
ジェットは上機嫌でを引き上げるべく
飛びあがり海すれすれで止まり手を差し出した。
そしては・・。
「ありがとうジェット。」
そう言いぐいっと手を引っ張った。
「うわっ!!!!」
ばしゃん!!
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「あっはっはっはっは!!!!」
びしょ濡れのジェットとそれを見て爆笑する。
全てはの罠だった。
「てっめぇ・・・。」
珍しく頼ったと思えばそういうことだったのか・・。
ジェットは静かな怒りをふうつふつと煮えただせる。
「あーおっかしい!!ごめんごめん。」
は十分に笑い終え。
はーっと息をする。
「・・・許さねぇ・・。」
「え?」
「沈めこのやろう!!!」
ジェットはの頭を押し海に沈めようとする。
「うわぁ!!やめて!!ごめんごめんってばー!!」
「おら!!」
と言っても笑いながら冗談半分で。
ジェットは本気の半分も出していない力だ。
「何してるんだ?二人とも。」
そこに海の先生。ピュンマがやってきた。
「あー!ピュンさん助けてー!ジェットに殺されるー!」
は笑いながらピュンマの背中に隠れる。
「ほらほら。そろそろ上がらないと置いていかれるよ?」
ピュンマは苦笑しながらそう答える。
「えーもう上がるのー?」
は不服そうにむくれる。
「そうだよ。ほれ上るぞ。」
ジェットはに手を差し出した。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
はしばらく何かを考えこんだ。
そしてジェットの方へやってきて。
だきっ
「!?」
ジェットの首に手を回した。
「???」
これにはジェット。気が気ではない。
「ジェット・・このまま上に上がって?」
にっこりとは微笑んだ。
「あ?ああ・・。」
との言葉に素直に従うジェット。
そしてジェットは海面に上がる。
と、しばらく上に行った時。
「はい。そこでストップ。」
「え?」
ジェットは止まる。
「ワーン・ツー・スリー・・」
とは何やら数え出した。
「?」
ジェットが疑問に思っていると・・。
「バンジーーーーーー!!!」
ばっとはジェットから離れた。
「!!??」
そしてそのまま海面へ・・。
ドッボーン!
「「・・・・・・・・・・・・・・・。」」
ピュンマとジェットが呆然と見ていると・・。
「ぷはっ!あーはっはっは!!楽しいーーー!!!!」
浮きあがってきたが楽しそうに笑う。
「・・・・楽しいじゃねぇーー!この馬鹿ーーー!!」
と、ジェットが叫ぶ。
「あ、びっくりした?」
はにへらと笑う。
「びっくりするもなにも・・。」
突然自分から離れ飛び降りた。
その高さは結構あった・・。
ほとほとの度胸には驚かされる・・。
「びっくりしたよ・・あそこから飛び降りるなんて・・・。」
ピュンマも苦笑している。
「やったら楽しいと思ったんだ〜、やっぱり楽しかった。」
はご機嫌。
「・・はぁ・・分ったからもう良いだろう上が・・。」
るぞ。とジェットが言い出す前に。
「もう一回。」
「・・・・・・・・・・・・。」
が微笑んだ。
「駄目だ。」
ジェットはきっぱりと言い放つ。
「もう一回ーー!!」
「駄目!」
「後一回やったら上がるから!!ね!?」
「っ・・・・・。」
には甘いジェット・・。
「わーかったよ・・ラストだからな。」
「やったーー!!ジェット大好きーーー!!」
(こんなんで言われても嬉しくねぇよ・・。)
ジェットはそんなことを思いながらを抱きかかえた。
「ここでいいか?」
「うん!じゃあ行くよー!
いち、にーの・・さん!」
ドッボーン!
「まったく・・・。」
ジェットはため息をつきながら下へ降りる。
「・・ん?」
が、もう浮かんできて良いころなのには浮んでこない。
「・・・おい!」
ジェットが焦ると。
「ぷはっ!!」
ピュンマに抱きかかえられが海面から出てきた。
いち早く異常に気付いたピュンマは潜ってを助けたのである。
「どうした!?」
ジェットはに駆け寄る。
「っ・・・・・・。」
がは苦痛に顔を歪め何も言わない。
「おい!!!!!」
ジェットが叫んだ時。
「あー・・・痛かった・・・・。」
は、ころっといつもの顔に戻った。
「え・・」
ジェットは何が何だか分らず唖然としている。
「あ、足攣ったのよー。痛かったー!
飛びこんだら攣っちゃって。やばいなーと思ったら ピュンさんが助けてくれたから良かったんだけど。」
がいつものようにあっけらかんと話していると・・。
「・・・・だから止めろって行っただろう!この馬鹿!!!!」
ジェットが切れた。
「え・・。」
「何時も何時も何時も危ないことしやがって!!
こっちはすっげぇ心配してんだからな!!!!!」
怒りにまかせもはやジェットは何をいっているかわからない。
ただ、心から出てくる言葉を叫んだ。
「ったく・・・・。」
言い終わるとジェットはふいっとと反対方向を向いた。
「ジェット・・ごめんなさい・・。」
は謝る。
「心配かけちゃって・・ごめんね・・。」
ジェットはばつが悪そうにがしがしっと頭をかいた。
「ごめんね・・・。」
「っ・・。」
もう良いと言おうとし、振り返ったジェットの眼に入ったのは・・。
「ごめんなさい・・・ね、だからもう一回。」
満面の笑みのの顔と上を指差すの指だった・・。
「っ・・・・・・てめぇはいっぺん溺れ死にやがれーーーーー!!!」
海にはジェットの叫び声が響いた・・・。
終。