別れの時。













「ちょっと出かけてくるねー。」







いつもより少しお洒落した様子の
リビングに来てそう告げる。


「・・・何処行くんだ?」


そこにいた全員が思った質問をジェットが聞く。











「バイト先の子と遊びに行ってくる!」











「・・・・・・・・・・・・・・・。」




「暗くなる前には帰ってくるから!」


はそう言うと嬉しそうに出掛けて行った。













「バイト先の子と・・・ねぇ・・・。」


グレートがそうつぶやく。








バイト先の子・・・即ち『人間』と・・・・・・。







「まぁ・・当然だろう・・。
普通の子なんだ・・バイトすれば友達も出来る・・。」


ハインは冷静に・・されど何処か淋しそうに言う。


・・帰ってくるアルよね・・・。」


張々湖が心配そうに言う。


「まさか。そんな急にはいなくならないよ・・急には・・ね・・。」


ジョーが最後の方は消え入りそうな声で言った。












今は・・すぐにはいなくならない・・。

けれど・・いつか自分達の元を離れて行くかもしれない・・。

人間の友達や・・恋人が出来て・・・・。

別々の道を行く・・・・。

しかしそれは解り切っていた事・・。

最初から・・。

は人間・・。

自分達はサイボーグ・・。

既にそこから道は違っていた・・・。

何故違う道になってしまったのだろう・・。

しかし・・今は交差点。

この道にならなければ出会う事もなかった・・。

一瞬たりとも交わる事はなかった・・。

そう考えれば・・・・。

だから・・今のこの時を大事にしよう・・。

この幸せを噛締めて・・。

何時か訪れる別れの日も・・笑って送れるように・・。










の居ない時間はとても長く感じ・・。
皆はまだ帰るはずのないを待ち
リビングをさまよう・・。








ガチャ




『!?』

すると玄関でドアの開く音がした。











「ただいまーー。」







・・・早かった・・ね・・。」



ジョーはいきなり現れたにしどろもどろに話す。


「うーん・・なんかさぁ・・遊んでたんだけど
気使っちゃって疲れちゃって。」

は苦笑する。













「やっぱり皆と一緒が一番良いよ。」













「・・・・・・・・・・・そう・・か・・・。」

「・・・そう・・。」

「・・・・・フッ。」



「よっし!!それじゃあ疲れたの為に特製昼ご飯作ってあげるアルよ!!!」



「えー!!本当!?やったー!」











別れの日も・・笑って送れるように・・・。




別れの日は・・まだまだ遠そうだけど・・。









終。


2002/07/10....