その手。
「火薬の匂いが染み付いてるだろ・・・?」
俺は・・・鈍く光るその「物」を見せながらそう言う。
俺が人間では無いことを証明している・・その手を・・。
「・・・・・・・・・・。」
はしばらく見つめた後・・・・。
「・・・私・・ハインのこの手・・好きだよ・・。
色んな事があった事・・物語ってる・・・。」
そう静かに呟いた。
「肉体労働の後の、人の手ってさ。
肉刺があったり・・傷が付いてたり・・真っ黒だったりするじゃない。
汚い・・て言う人もいるけど・・・私、ああいう手って・・好きなんだ。
だって・・真っ黒で傷だらけの手ってさ・・・一生懸命生きてる。
て感じがしない?
色んな・・・大変な事があって、今こうしてるんだな・・・て
なんかその人の人生物語ってるような気がするんだよね・・・。
・・スーツ着て、手も綺麗な人も居るけど・・。
私・・・そう言う人より、真っ黒でぼろぼろな手の方が、なんか好きなんだよね・・・・。
温かい気がして。」
そう言うとは微笑んだ。
「だからハインのこの手も好きだよ・・。」
そして俺の手にそっと触れる・・・・。
感覚など無い筈なのに・・・。
触れられた個所が温かく感じた・・。
俺の心中は・・嬉しいような悲しいような・・。
きっと・・その時俺は、泣きそうな顔をして微笑んでいたと思う・・・。
終。
2002/09/26....