そのモノ。













その日は・・・嫌な予感がしていた。





ドルフィン号の音がしは玄関へと急いだ。

今日も皆は戦いに行った・・そしては一人家に残り・・待っていた。



ばたばたと玄関を走り、玄関につくと、
服もやぶれ・・傷だらけで泥まみれになり疲れた顔をした皆がいた。

「おう・・ただいま。」

ジェットが疲れた顔で力なく笑う。

「おかえり!!」

は抱きつかんばかりの勢いで言う。

「ジョーも疲れた?大丈夫??」

ジェットに支えられているジョーにも声をかける。

「うん・・大丈夫だよ・・僕は・・・。」

と、ジョーが顔を伏せた。

「え・・・?」

はその言葉に疑問を抱く・・。
そして九人をそれぞれ見ていく。
そして気付いた。





ハインがいない。





の血の気が引いた。





「ハインは!!!ねぇハインは!!!??」





はジョーの服を掴む。


「・・・・大丈夫だよ・・ただ、足を・・怪我しただけだから・・。
今、博士と一緒に治療室に行ってるよ。」


ジョーはの手をそっと握りそう言った。


「怪我・・・・そう・・・・。」


は、ほっとする。
怪我をしているのに不謹慎だが・・それよりも
もっと恐ろしいことを考えていたから・・。

「あは、ごめんね。治療室にいるのね。見てくる。」

そう言うとは地下へと向かった。

「あ・・・」

ジョーは何かにいいたげだったが、
もう走り出したにその声は届かなかった・・。









(怪我か・・良かった・・・。)


は地下に向かいながら思う。
そしてドアに手をかけ開いた。

「ハイン・・・。」

ハイン大丈夫?と言おうとしていた





「来るな!!!」





その声にビクッと足を止めた。

「・・・・ハイン?」

治療室は入り口から下りの階段に繋がり、その下に部屋が広がっている。
階段の横にある治療台は入り口からだと、ぎりぎりで見えない。
入り口で止められたは、この声はハインのものだと確信しながら
聞きなれないハインの大声に驚き、足を止めていた。



「・・・・頼む・・来ないでくれ・・・」



ハインの切ない声が続いた。

「え・・・どうしたの?怪我してるんじゃないの?」

入り口と治療台で、二人は顔を合わせず会話をする。


「ああ・・怪我を・・してるから・・・」


「何言ってるの!?」


ハインのわけのわからない言葉には怒鳴る。
怪我をしているなら怪我がどの程度のものなのか・・・
大丈夫なのかちゃんと見て確かめたい。


「わけわかんないけどそこに行くからね!」


はそう言うと階段を一気に下った。



!!」



ハインがそう言うのと同時には治療室に足をついた。
そしてハインを見る。





「・・・・・・・・・・・。」





そこには、片足をなくしたハインがいた。


「・・・・・。」


は無くなったハインの足を見る・・。
太腿の中ほどから無いハインの右足は
これから右足に回るんであろう透明な液体が
ジュクジュクと奇怪な音をたて溢れ出ていた。
そして骨と筋肉の役割を果たしているだろう
金属の部品が見え、先は引き千切られ鋭く尖っている。
そして血管の役割を果たしていると思われるコードが数本出ていた。
時折、火花が散っている・・・・。



「・・・・・・」



呆然とその足を見ているを見て、ハインは溜息をついた。


いくらサイボーグだと分かっていられても・・・。
それでも平気と言われていても・・・。
実際に・・機械の部分を見られるのは・・。
嫌だった・・・。

予想と実際は違う。
『それ』を目の前にした時・・
その人の態度が急変することもよくあることだ・・
だから・・そんなことはない・・と思いつつも・・嫌だった・・。




「・・・・・・・。」


そしては初めてサイボーグ。と言うものを実感していた。

何時も言われていてわかっていたけど・・。
ハインの右手を見ていたし。
ジェットと一緒に空も飛んだ。
だけど・・
実際に機械の体を見て、初めてサイボーグだということを実感した。


体には血管も無いし、血も流れていない。
コードには透明の液体が流れ・・・
金属や・・の知らない物で体が出来ているのだ・・。


自分とは違う『モノ』である・・・・。







だけどそれがなんだ。







は思った。



例え体が人間ではなくても、ハインはハインである。

体が人間で、心がハインでは無い場合は駄目だけど。

体がサイボーグだろうがなんだろうが、心がハインならなんでも良い。



私は『ハイン』が好きなのだから・・。




おまけに足が無くなっても生きていられるなんて多いに結構ではないか!
無くなってもまた元通りになるなんて多いに結構!!
それだけ・・ハインと一緒に生きられるのだ・・。


はきちんとハインを見た。



「ハイン、大丈夫!?」


そしてハインの元へ駆け寄った。




「怪我って・・足だったんだ・・酷いね・・博士!ハインの足治る?」


博士は、はっとし、そしてしばらくすると、ふっと微笑んだ。


「ああ・・大丈夫じゃよ。頑張れば明日にでも治るじゃろ。」


「そっか・・良かった・・・良かったよ・・・ハイン。」


そして涙声になりながらは置いてあったハインの手を上から握った。





「・・・・は大丈夫じゃよ・・004。」


博士は何かを書きながらそう言い。



「・・・・そうだったな・・・博士。」



ハインは少し嬉しそうにフッと微笑みながらそう言った。





「は?何が大丈夫なの??ハインは大丈夫なんでしょ?」


そしては二人のよく分からない会話に、涙目でそう言った。








彼女なら・・大丈夫・・・。














終。


70000番を取られたひよこさんへ。



2002/12/09....