理想の・・・。













深夜。









ぺたぺたぺた・・・・。









(今日も来たか・・。)




004ことアルベルト・ハインリヒは
ベットに横になりながら読んでいた本を閉じ。
よっこらせっと起き上がる。


そしてそれと同時に・・。



ガチャ







「ハイン・・今日も一緒に寝て良いかな・・・?」

















それは数日前のこと・・。





「うーん・・・。」


深夜、本を読んでいたハインはそろそろ寝ようかと伸びをしながら洗面所へ向う。

(ん?)

と、ハインは暗闇の中。
洗面所の明りがついていることに気がつく。


そして微かに聞こえてくるすすり声・・・。





ハインはそっと洗面所を覗く。



そこには黒い幽霊団から一緒に逃げてきたがいた。


タオルに顔を押しつけている・・。





・・?」




ハインは声をかける。



「!?」



するとビクッとの体が動いた。
そして顔を上げると・・・は泣いていた。



「どうした?」



ハインは慌てて近寄る。



「あ!な、なんでもない!なんでも・・いつものことだから・・・」


はそこまで言ってはっとする。



「・・・・いつも?」



墓穴を掘った。







「そうか・・・」



ハインはホットミルクの入ったカップを机に置きながら言う。
ここはハインの部屋。
詳しい話を聞くためにハインはをここへ連れて来た。



(寝ると黒い幽霊団に連れ去られた時を思い出して、怖くて眠れない・・か・・・)



普段はなんでもないが、やはり心の奥底では、あの時の恐怖が残っている・・・


ハインはカップを持ってそうっとホットミルクを飲むを見つめる。




考えて見ればまだ幼い・・・。
こんな年に連れ去られれば・・精神的なショックが大きくて、しばらくは何かしらあるだろう。



「・・・・・・・。」


ハインはしばらく考えた後口を開いた。






「一緒に寝るか?」







「・・・・ええ!?」


が驚くのも無理はない。
「・・・・いや・・その・・」
言った後の本人も驚いている。


「・・一人だから怖いんだろう?・・なら、一緒なら平気なんじゃないのかと思ってな・・
それに・・毎晩こんなんじゃ体が持たないだろう。」


ハインは普通に言う。

「・・・えっと・・・」

されど花の16歳。
そんなこと・・できるわけ・・・。





「じゃあ・・お言葉に甘えて・・・。」





あったらしい・・。












そしてそれは数日続き・・。
は今夜もやってきた。



「ああ、いいぞ・・。」


ハインはファサっと布団をめくりの場所を空ける。

「有難うー。」

は嬉しそうにそこへ入る。

「よいしょっと・・・。」

はハインの腕に頭をのせる。
そうもちろんハインの腕枕。

そしてハインとは向き合うように横向きになるとふぅと息を付いた。



この光景をジェットとジョーが見たら絶叫するだろうことは置いておく。



「やっぱり、誰かと一緒だと安心するねー・・。」

は眼を閉じながら寝言のように言う。

「そうだな・・・。」

ハインはを見つめる。






こんなに小さくて・・か弱いのに・・・。
黒い幽霊団に連れ去られて・・。
さぞかし怖く心細かっただろう・・。

だが・・黒い幽霊団がさらってくれたおかげで・・。
今こうしてと一緒にいられる・・・。

の為にはさらわれないほうが良かったのに・・。
普通の生活を送っていた方が良かったのに・・。
そうでなくて良かったと・・思っている自分がいる・・。

小さく・・儚げなこの少女を守ってあげたい・・。
この子を守れるなら・・サイボーグで良かったと思う・・。





ハインはヒルダの顔を思い出しながら。
『今度こそ・・・。』
と胸に誓いながら眠りに落ちた・・。














「ん・・・・・。」


ハインはふっと眼を開く。
窓からは日の光りが差込んでいる。

(朝か・・。)



「おい・・・・・起きろ。」


ハインはを起こす。
早々に出て行かないと誰かに部屋を出る所を目撃されてしまう。
嫌・・別にやましいことはないのだから良いんだが・・。
見つかると五月蝿いやつが若干名いるからだ・・。


「・・・んー・・・・?」


は眼を擦り眠そうにしている。


「ほらほらほら。」


そんなを起き上がらせテキパキと窓を開けるハイン。



「そろそろ出てかないと皆に見られるぞ?」


「うーん・・そうだねー・・・。」


はそう言うと、ドアを開け廊下へ出ようとする。



「あ。」




「・・・?」

がドアを開けたまま出ないのでハインがどうしたと側によると・・。










「・・・・・・・・・・」








そこには固まる一人のアメリカ人が・・。



「はぁ・・。」


ハインがため息を吐くと・・。











「なんでが004の部屋から出てくんだよーーーーーーーー!!!!!!!」











さわやかな朝に、大声が響き渡った。


「ジェットおはようー。」


が、そんなことは気にせず挨拶する・・・・。

「おはようじゃねぇよ!!なんでっ!!!」

ジェットは気が気ではないらしい。


「どうした・・・・・の。」


と、そこへジョーもやってきた。
ハインの部屋からパジャマ姿で出てこようとするに唖然とする。








「「どういうこと?」」







二人の声がハモった。



「あ〜・・・。」



本当の理由を言っていいものかハインはを見る。



「・・あのねぇ・・怖い夢見ちゃって。怖かったからハインに一緒に寝てもらったの。」


そういうことにしておくのか・・。
ハインは了解した。
まぁ、嘘を言ってはいない。




「なんで・・なんでこいつの所なんだよ!!俺の所くれば良いだろう!!」


「僕の所でも良かったのに・・・。」



ジェットとジョーは言う。

「・・・・・・・。」

ハインは偶然見つけただけなのだが、一人、少し優越感に浸っていると・・。






「だって・・・ハイン・・・・『お父さん』みたいだから。」





「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」


しばしの沈黙・・・の後。




「ぶっはっはっはっはっはっはっ!!!!!!!」




ジェットの大爆笑。



「お、お父さん・・お父さんだってっっ!!!!」


ジェットはかなり笑っている。


「・・クッ・・わ、笑っちゃまずいよ002・・ふふっ・・・」


ジョーは悪いと思いながらも密かに笑っている。


「そ、そうだよな〜・・確かにそれくらいの年の差だもんな〜・・」





「「あっはっはっはっはっは!!!!!」」





二人が抑えきれずに笑っていると・・。




「・・・うるさいぞお前ら!!!!!用がないなら早く帰れ!」




ハインが切れ。


「・・・・・・・・?」


そして元凶は何が何だかわからずただ不思議そうに見ているのだった・・。









終。


4544番を取られた鏡さんのキリリク「ハインで甘々で天然主人公で。」でした。