お家に帰ろう。
〜独逸編〜
もう、ここにいる理由はない・・・。
そう思い・・俺は出てきた・・だけど・・・。
俺は・・俺達はやっとブラックゴーストを倒した・・。
「さて・・自分の国に帰るかな・・。」
そして・・最後の戦闘でおった怪我が治った今。
俺は故郷へと帰る・・。
朝日の輝く海を・・自分の部屋から眺めながらそうつぶやいた・・。
俺達は自分の国に帰り・・平穏に暮らしたかった。
だが、ブラックゴーストは逃がしたサイボーグをのうのうと自由にしているはずはなく・・。
俺達は戦った・・。
だが、そのブラックゴーストを倒した今・・。
俺達は自分の国に帰ることができる。
望んでいた・・。
自分の国でのあの平穏な日々を手に入れることが出来る・・・・・。
だから・・もう、ここにいる理由はない・・。
「・・・・・・帰・・る・・・?」
「ああ・・。」
俺はや・・リビングにいる皆に告げた。
ドイツへ帰ると。
「もう、戦いも終わった事だしな・・やっと帰れる。」
俺はそう言うとフッと微笑んだ。
皆がいつ言おうかと躊躇していた中、
俺は先頭を切って言った。
いつかは誰かが言わねばならぬこと・・。
「・・・そう・・だね。」
俺の言葉にピュンマが言葉を返した。
「戦いは終ったんだ・・僕も帰るよ・・皆も・・自分の国へ帰るんだろう?」
その言葉を受け・・皆はきまづそうに沈黙する。
そして皆は・・・・彼女の反応を伺う。
「・・・・・・・・。」
は・・俺の言葉を聞き。
きょとん。としていた。
そして・・口を開く・・。
「・・・・そっ・・か・・皆、国に帰るんだ!そうだよね、帰る所あるもんね!」
はあはは。と微笑んだ。
いつも通りの笑顔で。
「そっかー。いつ帰っちゃうの?淋しくなるな〜。」
は微笑んでいた・・・・・。
そして・・俺も微笑んだ。
俺は明後日に出るつもりだ・・。
と皆に告げた後、部屋に戻り荷支度をした。
毎日戦っていたわけで・・そんなに余計な荷物もなく。
すぐに終わってしまった・・。
支度をしている時に・・ふっとよぎったものを
俺は支度をすることで誤魔化した・・。
そして別れの日はすぐそこに・・・。
「じゃあな・・・皆、達者で。」
空港まで来なくて良いと、俺は家で皆との別れをした・・。
とも・・・。
「うん!ハインも元気でね!ちゃんとメンテナンスの時は来るんだよ〜!」
は何時も通りの元気なで。
今日もらしく笑っていた・・。
そして・・笑って俺を送り出してくれた・・・。
「じゃあね!!元気でね!!!」
そうして・・俺はの笑顔を背に、ギルモア邸を後にした・・・・。
その日は・・良く晴れていた日だったと思う・・。
その後・・俺は無事ドイツにつき。
薄暗い安アパートを借り・・。
トラック運転手としてまた元通りの生活を始めた。
望んでいた人生を歩み出した・・・。
だが・・・心に漂うこの気持ちはなんだろう・・。
忙しく生きている今、あまり考える事などない。
だけど、時たま心に余裕ができた時に漂うこの気持ち・・・。
しっかり戸も窓も閉めたはずなのに・・。
どこからともなく入って来る冷たい風・・・。
その風は・・日に日に強くなり・・・。
遂には俺の心の中心部に強く吹き荒んだ。
夕方・・明け方に仕事から帰って来た俺は
気だるい身体をやっと起こし薄いコーヒーを飲む。
そして心には風が吹き荒ぶ・・・。
もう、気付かずにはいられない・・・。
もう、見て見ぬ振りはできない・・・。
もう、誤魔化す事はできない・・。
わかっていたのだ・・・最初から・・。
帰ると決めたあの時から・・・。
本当は一緒にいたかった・・・。
一緒にあの家で・・ずっと一緒に暮らしたかった・・。
俺には・・・が必要だった・・・。
だけど・・・俺にはあそこに・・の側にいるべき理由がない・・。
俺にはが必要だ・・。
だけど・・に俺は必要ない・・。
帰ると言った時も・・引き止められなかった。
は笑って見送ってくれた・・。
にとって・・俺の存在は・・・・。
だけど・・・・・。
だけど・・俺にとっての存在はとても大きく。
のいない日々はつまらなく・・退屈で・・。
なんの輝きもなかった・・・。
俺には・・が必要なんだ・・・。
例えに俺が必要でないとしても・・。
俺には必要で・・。
だから・・何も望まないから・・・。
ただ・・側にいさせてくれ・・・。
に好きな人が出来たら、温かく見守る。
俺はただ側にいられれば良い・・。
ただ・・ずっと側に・・・・・。
帰ろう。
俺の心の中で、そう結論づいた時。
俺の身体は動いていた。
適当に金と身の周りの物を持ち
俺はコートを羽織った。
日本に帰ろう・・・の元へ・・・・。
俺はそう思いドアノブを握った。
そして扉を開く。
「・・・・・・・・・。」
「あ、ハイン。」
「・・・・・・・・・・。」
「あれ?何処かに出かけるの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
俺はを思いすぎて幻覚を見てしまっているのか・・。
とうとう頭がいかれちまったか・・・。
そう思いながら頭を片手で抑え、眼をつぶった。
そして深呼吸してから恐る恐るまた眼を開く。
しかしそこには・・・・。
「ど、どうしたの??ハイン?」
がいた。
「・・・・・・。」
試しに抱きしめて見た。
「ぎゃあ!!??な、何!?何!!!??」
そこには抱きしめた感覚が・・温もりがあった・・。
「・・なんでドイツに・・?」
そうして俺はやっと実感した。
が今、ここにいると。
「あははー。ハインに会いに来ちゃった。」
はそう言った。
俺に会いに来たと。
「・・なんで・・・。」
「え・・なんで・・って・・会いたくなった・・から・・。」
俺に会いたかった・・。
「・・私ね・・ハインや・・皆が帰る時・・笑顔で見送ったの・・。
皆は・・元の生活に戻るために戦ってたから・・・。
元の生活に戻るのが・・皆の願いだったから・・。
だから・・笑顔で見送ろう・・て・・思ってたの・・・。」
は顔を伏せて語る。
「でもね・・でも・・・淋しくて・・・・。」
はそう言うと、悲しげに微笑んだ。
「皆がいた・・あの家に・・今は私と博士達だけ・・・。
あの家は・・皆がいなくちゃ広すぎるよ・・・。」
「・・・・・。」
「だから・・だからね!私決めたの!私の勝手なんだけど・・
強制はしないんだけど・・一人一人皆の所に回って
また一緒に暮らそう!て誘うことにしたの!!
で、ハインのところに来たってわけ。また一緒に暮らさない・・?」
「・・・・・・・。」
は・・どうやら俺を必要としてくれているらしい・・。
例え・・何人の中の一人でも・・・。
それでも・・・・こんなに嬉しいことは無い・・・・・。
例え大勢の中の一人でも・・・。
必要とされたい人に・・必要とされる喜び・・・。
そんな喜びを今・・・俺は感じていた・・。
帰ろう。君と一緒に暮らせる・・あの家に。
ハイン「で?他は誰を誘ったんだ?」
「あーまだ、ハインだけ。ハインが最初だよ。」
ハイン「そうか・・・・ん?」
「・・・何?」
ハイン「・・いや・・・。」
「次誰のところ行こうかな〜♪」
ハイン(一番最初か・・・・)
終。
2002/12/31....