ぬくもり。













「・・・・おせぇな・・・。」






朝、いつもは自分より早く起きている
中々起きてこない事に気付いたジェットが呟いた。


「・・・・そうだな。」


ハインも思っていたらしい。


「どうしたのかな・・?」



「・・・私見てこようかしら?」


リビングに集まっていた。
ジェット、ハイン、ジョー。
そしてフランがを心配する。



「そうだな・・見てきてもらえるか、003・・・。」


と、ハインが言った時。





「・・・・おはよ・・・・。」




スー・・とドアが開きが現れた。


「おわ!?」

ジェットがおののく。




、遅かっ・・・・。」



そしてハインがその異変に気付いた。

「「「!?」」」

しかし、同時にほぼ全員が気付く。



「・・・・・・・。」



スッとハインは立ちあがるとへ近づいた。






・・・・。」





「ハイン・・・?」

そしてハインはの前髪を上げ・・・。





コツ。





の額に自分の額を合わせた。
その距離数センチ。


「なな、何!?」


はいきなりの事に思わず後退る。




「・・・・やっぱり・・熱があるな・・・。」






「あー・・・やっぱり・・・・。」


そうは熱を出していた。
それは見れば一目瞭然。

顔は真っ赤だし。
フラフラだし。
辛そうだし・・。

それは結構な高さの熱だ。



「あ〜・・・でも大丈夫だよ。」


けれどは、あは。と笑う。


「大丈夫じゃないだろう・・・。」


ハインは言うがは、あははとソファへと向かう。
が。




「・・・・!」




は熱で平行感覚がやられているのかよろける。






「おっ・・・・・と。」





そして倒れそうになったを支えたのはハインだった。


「ああ・・・ごめん・・ね・・・。」


ハインに抱きかかえられ楽そうに。
でも、熱で辛そうには喘ぎながら言う。






「何処が大丈夫なんだ・・・行くぞ。」





「え・・・うわっ・・。」


ハインはそう言うとを抱き抱えた。
世に言うお姫様抱っこで。




「あ!てめー何してんだよ!!」



と、当然の如くジェットがその光景を見て叫ぶ。




「うるさい!こんな時にそんな事言ってる場合じゃ無いだろう!」





「う・・・・。」

珍しくハインが怒鳴ったのと。
言ってる事がもっともなのでジェットは身を引いた。

















「・・・だるい・・・・。」




ハインによりベットにそっと寝かされたは布団の中でぐったりとする。



「大丈夫か?今、003が氷枕を持ってきてくれるからな・・。」


ハインは優しく囁く。


「じゃあ、大人しく寝てろよ・・。」


そう言うと、ハインは部屋を出ていこうとした。




「あ・・・・。」




「ん?なんだ?」



が何か言おうとしているのを感じハインは足を止める。




「・・・・なんでもない。」



はそう言うと赤い顔で薄く笑った。






その顔は・・少し淋しそうだったのにハインは気付かなかった。













二日後。朝。







「完全完治〜〜〜!」




は元気に叫びながらリビングに降りた。


「おー!治ったのか!!」


ジェットが叫ぶ。


「うん。フランちゃんの介護のおかげ。有難う。」


「いーえ。」


二人微笑む所へ・・・。






「ゴホッ・・・おはよう・・・・。」





現れたのはどう見ても風邪を移されたと見えるハインだった。













「あはは・・ごめんね・・移しちゃったみたい・・。」



ぴちゃぴちゃとタオルを水で濡らしながら
ベットに横たわるハインに声をかける


「・・・いいさ・・ゴホッ・・お前が治るんなら・・。」


と、言いながらハインの風邪はよりも酷そうでかなり辛そうだ・・。




「でも・・・サイボーグも風邪ひくんだね。」



はい。とタオルを渡した後が呟いた。




「・・・・・・らしいな。」



「え?らしいなって・・・。」


「俺は・・これがサイボーグに・・なってから・・・・初めてだ・・。」


「そうなんだ・・・。」


途切れ途切れにハインは言う。






「怪我はたくさんしたがな・・。」





ハインは目を瞑る。



「・・・・・・じゃあ・・あたし下行くね・・。」


「ああ・・・・。」


は邪魔しないようそっと部屋を出て行った。












「・・・・・・・・・・・。」




が居なくなって、シンッ・・と静まり返る部屋。


何時もそれは当然で。
たいして気にもならないのに・・・。







病気や怪我は気を弱くさせる・・・・・。






「・・・・・。」


喉の奥から出て来ようとする言葉を飲み込むハイン。




「・・・・フッ・・。」


ハインは自嘲的に一人微かに笑う。

「・・・・・・。」

そしてふと真顔になった。




この間・・が言いかけた事・・・。

その言葉は・・・この言葉だったのかもしれない・・・。







『淋しい・・・・側に居て・・・・・・。』






「参ったな・・・・。」


気付けなかった自分に後悔するハイン。



もうずっと無かったから・・忘れていた・・。




このそこはかとない寂しさ・・。

何処からかやってくる言いようの無い恐怖感・・。

そして・・凍えるような孤独感・・・・。




がこんな気持ちだったのに・・気付いてやれなかった・・。


側に居てあげられなかった・・・。





ハインに後悔の渦がまく。


そして・・の時と同じく・・ハインにも・・この気持ちがやってくる・・。









「・・・・・・・・・う・・・・。」





何時の間にか眠りについたハインを襲うのは・・・。


過去の幻想・・・悪夢。




暗い暗い森の中・・。


何度も何度も繰り返すのに・・。


何度も何度も助けられない・・。


そして涙を流す・・流す・・流す・・・・。












だが突然フッと明るい場所に出た。

そこは穏やかで温かい場所・・・・。





悪夢が晴れて・・・ハインは安やかな眠りに付く。














「・・・・・・・・。」




そしてふっとハインは眼を覚ました。


良く眠れて汗をたくさんかいたせいか。
大分身体は楽になっていた。




「!」



そしてふっと気付く。
左手に感じるあたたかなぬくもり。


起きあがり手を見ると・・。





そこには自分の手を握るもう一つの手があった。





そしてベットに頭を付き・・寝ているの姿も・・・。








自分が淋しかったから・・きっと来てくれたのだろう・・。


同じ思いを自分もしたから・・・。


同じ思いはして欲しくないと・・・。


だから来て・・そっと手を握ってくれた・・・。







人のぬくもりは・・こんなにもあたたかい・・・・・。


















「・・・・・有難う・・・・。」







ハインはの耳元でそっと囁いた。








終。


55555番取られた、海雲麗々さんへ。



2002/09/17....