空中遊泳。
「あ、おはよう〜。」
ある日の朝。
リビングでテレビを見ていたは起きてきたジェットに声をかけた。
「おお。」
ジェットはあくびをしながら答える。
「いつまで寝てるんだ・・もう昼だぞ。」
との横で同じくテレビを見ていたハインが
まるで父親のようにジェットに言った。
(あ〜あ・・またそういう事言うと・・。)
「うるせぇな!俺がいつ起きようがてめぇに関係ねぇだろ!」
(ほら・・・。)
まるで本物の父と息子のように毎日いがみ合うのが
この二人の日課のようなものだった。
毎日同じパターンなのに毎日繰り返す二人・・。
(はは・・。)
は笑うしかなかった。
「まぁまぁ、002。コーヒー飲む?」
そしてジョーが止めに入る。
これがいつものパターンであった。
「ん〜・・いらね。お!今日は天気が良いな。」
と、ベランダに出たジェットが外を眺め言った。
「あー。今日は良い天気だって天気予報で言ってたよ。」
もベランダに出てジェットと並び空を見る。
「よーし!一飛びしてくるか!」
ジェットは嬉しそうに飛び立とうとした。
「・・・良いなージェット・・空飛べて・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
ジェットはを見る。
「いってらっしゃーい。」
は少し羨ましそうにジェットを見送る。
「・・・・お前も来るか?」
と、そこでジェットがにやっと笑った。
「え?うわぁ!!!」
ジェットはが答える前に
を抱え空へと飛び立った。
そう、いわゆるお姫様抱っこで・・。
「あ!あの馬鹿!!!」
と、テレビを見ているフリをして
ジェットとの様子を見ていたハインは
ジェットがを連れて飛び立ち慌てる。
が、飛んでしまえばこっちの物。
ジェットは気にせず空高くへと昇った。
「ジェ!ジェット〜〜!!!降ろしてーーーーー!!!!!」
は叫ぶ。
「ほらほら、しっかりつかまってねぇと落ちるぞ!」
その言葉と同時に速度は上がりガクンとは落ちそうになる。
「うわぁ!」
そしてジェットの首にしっかりと捕まった。
(ひ〜〜〜〜!!怖いよーーーーーーー!!!!)
はギュッと眼を閉じていた。
「ほら、見てみな。」
と、ジェットの声が耳元で聞こえる。
「・・・・・・・。」
が恐る恐る眼を開けると・・・そこには光り輝く海と空と太陽があった。
「うわっ・・・すごーい・・・。」
はその絶景に見惚れる。
「すげーだろ。」
「うん!」
が返事するとジェットはゆっくりと海の上を進み始めた。
海の上は、海水がはね、潮風がなびき、太陽が心地良かった。
はそんな心地に酔いしれる。
「ジェットいつもこんな風景を見てるんだね・・いいな〜。」
はぼそっとつぶやいた。
「あ?」
風の音で声が聞こえないらしくジェットが少し大きめの声で聞き返す。
「ジェットいつもこんな風景見てていいねー!」
は少し大きめの声で言う。
「まぁな・・・こんな身体にされちまったけどな・・・。」
ジェットは苦笑いをしながら答える。
「あ・・・・。」
はしまった・・と口をつぐむ。
ジェットや00ナンバー達は好きでこんな身体になったのではない。
できれば戻りたい・・そう思っている。
それなのに・・良いなどと迂闊なことを言ってしまった・・。
「・・・・・・・・・・・。」
は気まずくて少し俯く。
そんなを見てジェットはつぶやいた。
「・・・でもま。お前に喜ばれるなら良かったかもな・・。」
「・・ん!?何ジェット!」
ジェットの声が聞こえなくは聞き返す。
「なんでもねーよ!!そろそろ帰るぞ!004のやつが怒ってるからな!」
「うーん!」
そうして。ジェットとはコズミ博士の家へと戻ったのだった。
終。