これからの道。
今日はの誕生日。
皆はお祝いすべく準備をする。
そして始まる誕生日パーティー。
『!誕生日おめでとう!!』
「・・・有難う。」
しかし・・の顔は浮かなかった。
「の為に頑張って作たアルよ!!」
「ケーキは私が作ったのよ。美味しい?」
盛りあがるパーティー・・一人を除いては・・・。
「っ・・・・・・・・。」
そしては涙をこぼした。
「ひっく・・うう・・・・。」
『・・・・・・・・・・・・・。』
静まり返るリビング。
「な!どうした!?」
ジェットが叫ぶ。
「わての料理美味しくなかたアルか!!??」
「・・どうしたの?」
「誕生日なんて・・・嬉しく無い・・・。」
はポツリとそう言った。
「私もう・・歳取りたく無いよ・・・・・・。」
「なんでだ?お前が成長して・・嬉しい事じゃないか・・・。」
ハインは少し辛そうにそう言った。
この後の言葉が分かるかのように・・・・。
「だって・・・私だけ歳取るんだもん・・・。」
の口から出てきたのは・・皆が想像した言葉。
「私だけ・・どんどん歳とって・・大人になって・・おばさんになって・・
お婆さんになって・・皆は今のままで・・・私だけ・・私だけ死ぬんだもん。」
はどんどん溢れ出る涙を手で擦り・・・眼の下は赤くなっていた・・。
「嫌だ・・私だけ・・死ぬなんて・・私も・・ずっと皆と一緒にいたいよ・・・っ。」
の言葉に・・・誰しもが顔を曇らせた。
そうは人間。自分達はサイボーグ。
は歳を取り・・成長するが・・自分たちは
永久にこのまま・・・・・・・・・・。
そして・・誰しもが思うが言葉には出さなかった事・・。
はいずれ・・・・・死ぬ。
だが・・・大切なが死んで・・。
が居なくなって・・・自分達が生きて行ける筈が無い。
死ぬ時は・・一緒だ・・・。
ハインが辛そうな・・嬉しそうな微笑をふっと浮べ呟くように言う。
「・・・安心しろ・・・死ぬ時は・・・。」
「でもね。」
がはハインの言葉をわざと遮り言う。
「私は皆に私の為に死んで欲しくなんて無いの。」
は涙を溜めた眼でまっすぐに言った。
「皆は生きていけるんだもの・・それを・・・私が死ぬからって・・・・・。
だから・・ギルモア博士。」
「な!何じゃ?」
いきなり名前を呼ばれ博士は聞き返す。
「私への誕生日プレゼント・・・・・・私をサイボーグにして。」
リビングの空気は凍り付き。
誰しもが眼を見開いた。
そして・・だけがにっこりと笑っていた。
「・・・・・・・。」
ハインが苦い顔で言う。
「死ぬのなんて嫌だから・・ずっと皆と一緒に居たいから・・・。
だから私がサイボーグになるの。
半永久的に死ね無いけど・・・月一回のメンテナンスが有るけど・・・
サイボーグで辛い事が有るかもしれないけど・・・・。
皆と一緒だったら平気。
私には・・一人死ぬ方がよっぽど辛い・・・。」
「・・・死ぬのが嫌なのは・・・お前だけじゃ無いんじゃよ・・。」
と、ギルモア博士が言う。
「わしも人間じゃ・・しかもよりも早く・・皆と居られなくなる・・。
だが・・・わしはサイボーグにはならん・・・それが・・・自然の摂理だからじゃ。
それに・・永遠に生きる・・と言うのも・・
わしにははかりしれんことじゃが・・辛い物だと思う・・・。
まぁ・・・今は皆より若いが・・いずれ皆より歳を取るのは・・。
わしよりももっと複雑じゃろうな・・・。」
「・・・。」
ギルモア博士の言葉から、しばしの沈黙の後。
ハインがの名を呼んだ。
「お前はまだ若い・・・これから・・色んな事を見て、聞いて、経験して・・大人になっていく。
だから・・そんなに結論を急がなくてもいいんじゃないか?
先延ばし・・という事になるが・・・せめて・・・。
一番若い002と009の歳・・18になるまで・・・。
このままで・・・暮らして行こう。
そして・・十八歳の誕生日に・・お前がどうしたいか言ってくれ。
その時は・・・俺達は何も言わない。
お前がサイボーグになりたかったら・・なったら良い・・。
それがお前の決めた道なのだから・・・・・。
その代わり。決めたらもう覆せないからな。
サイボーグになってやっぱり人間に戻りたい!とか言うなよ。」
ハインはふふっと笑う。
「・・・・・うん!」
の顔から涙が消え、微笑みが戻る。
そしてガタッとジェットが椅子の上に立った。
「よっし!じゃあパーティーの続きだ!!!!」
取り合えず涙は消えたけれど・・。
二年後にはまた襲ってくる。
だから・・この二年間。
色んなものを見聞きして、経験して、吸収して
考えて生きて欲しい。
そして・・結論が出た時には・・・
誰も反対しない。
何故なら君が考えて考えて決めた事だから・・。
だから・・・それでもし、後悔しても
それは君の責任。
だから・・後悔の無いよう・・良く考えて・・考えて考えて決めて欲しい。
そして・・答えが出たのなら・・。
僕らは応援する。
それが君の願いなのだから・・・・・。
終。
2002/08/15....