宇宙より永遠に。
−ここよりとわに−
「009!009は何処!?」
フランが・・そう叫んだ。
地下帝国が爆発され・・009を抜かした00ナンバーと、
ギルモア博士。そしては海の上にいた・・。
「009ハ、マジンゾウノナカダ・・。」
イワンのテレパシーが皆の頭の中に流れた・・。
「嫌よ!嫌あぁあ!!」
イワンの話しを聞き終り、泣き叫ぶフラン・・。
「・・・・・・・・。」
そしてジェットも辛い思いを心に抱えながらを見た。
「・・・・・・・。」
彼女は・・まだイワンの言葉を
認識していないのだろうか・・きょとんとしていた・・。
「・・・・・・。」
そして空を見上げた。
ジェットは泣きも叫びもせず、
ただ空を見上げたを訝しげに見た。
彼女は青空から朱色へと移り変わる空をただ見上げていた。
そして・・彼女の身体は微かに震えた・・。
「・・・・・・・・・・。」
そして・・・彼女の頬に・・一粒の涙がつたった。
「・・・・・。」
ジェットは眼を見開く。
彼女は・・強かった。
だって泣きたい。泣き叫びたい。
009を戻してと。
でもそれは・・・。
わかっているのだ。
009が何の為に、どうして犠牲になったのかを・・。
戻してと泣くよりも。
009の意志を受継ぐことの方が。
よっぽど009のしてほしい・・009の為だと言うことを・・。
「・・・・・・・・・。」
微かに震え・・涙しながら・・でも決して声は出さず・・。
泣きながら遠い空を見つめるを見ながら・・ジェットは空へと飛び立った。
「モウオソイ!」
イワンの言葉にジェットは足を止めずに振り向く。
「・・・・・・。」
上からは・・の泣き顔がはっきりと見えた。
「・・・・・・・。」
はきょとんとし、ジェットを見ていた。
「・・・。」
そんなを見て、フッと微笑むジェット。
「やってみなくちゃわかんねぇだろ・・最後の1秒まですがりついてやる・・。」
「・・・・・・っ・・。」
ジェットが飛び立った後・・・更にの頬に涙がこぼれる・・。
でもは必死に下を向き・・唇を噛み、耐えた。
「・・・・・・。」
そんなが痛々しくて・・ハインはにそっと手を差し伸べた。
「・・・・・・・。」
しかし、彼女は軽くハインの手を拒み・・頭を横にふった。
「・・・・・・。」
誰にもすがらず・・そんな少女がこの苦しみに耐えられるだろうか・・。
だけど・・彼女は拒んだ・・・ここで受け入れてしまうのは
自分で許せなかったのだろう・・。
強いな・・・・。
ハインは心の中でつぶやく・・。
そして拒まれたその手を・・003へと向けた。
「うっ・・あぁあぁぁ!!」
003はハインの胸の中にすがった。
その声が・・余計にの涙を誘った・・。
「・・・・・・・・・。」
高く高く空を飛ぶジェット・・。
もう、地上は遥か下・・。
ジェットはの涙を思い出す・・・。
あれは・・009の為の涙・・・。
(・・・俺が死んでも・・泣いてくれるかな・・・。)
ジェットは思ってはいけない・・と思いながら・・つい思ってしまう疑問を頭に浮べた・・。
分かっている・・・あの涙はそんな涙じゃない・・・。
そして・・009は・・魔人像の中・・孤独な戦いをしていた・・。
「僕も同じだよ・・細胞の一つだ・・仲間が・・人間の中にある
悪を越える何かが・・新しい黒い幽霊団を潰してくれる・・。」
ジョーはにっこり笑った・・。
「最後だ・・009・・。」
そして、魔人像は爆発した。
「っ・・!」
ジョーは爆風に宇宙へと弾き飛ばされる。
そして思うのは・・今までの戦いのこと・・仲間のこと・・のこと・・・。
人々のためなら・・・君のためなら・・犠牲になろう・・。
ジョーはゆっくり眼をつぶった・・。
「009!」
「!」
と、ジェットの声が聞こえ、ジョーは誰かの手が自分の手を掴んだことを感じる。
「009!無事だったな!」
そこにいたのはジェットだった。
「・・・・見ろ、宇宙の花火だ・・黒い幽霊団の最後だぜ・・。」
「ああ・・・・。」
ジョーはジェットに抱えられ魔人像の爆発を見る・・。
「だかな・・俺達も最後らしい。燃料がもうないんだ・・悪いな。009」
そしてジェットが苦笑した。
「002!君一人なら助かるかも!!」
「そんなことできっかよ!仲間だろ・・・それに・・・
帰っても皆に・・に合わせる顔がねぇよ・・。」
ジェットはフッと笑う。
「ジェット!」
「ジョー・・が泣いてたぜ・・お前のために・・。」
「え・・・。」
ジョーは叫ぶが、ジェットの声で言葉を止める。
「おおっと、勘違いすんなよ。あの涙はなぁ・・。」
ジェットは付け足すように言うが・・。
「分かってるよ・・そんな涙じゃないって。」
ジョーは嬉しそうに・・けれど少し悲しそうに微笑んだ。
「仲間を・・思う涙だろ?
君がこうなっても・・彼女は同じ涙を流した・・。」
「そう。わかってるじゃねぇか。」
ジェットとジョーは苦笑しながら話す。
「・・・・違う涙を・・流して欲しかったな・・・。」
ジョーは微かにつぶやいた。
だがその声は・・ジェットには届かなかった。
「おっと・・大気圏突入。」
「・・・ジョー・・」
「君は・・どこに落ちたい・・・?」
「・・・・・・・・・・・。」
ジェットの言葉に・・ジョーは想う・・。
けれど・・その想いは二人同じだった・・。
できるならば・・・彼女の元へ・・・・・。
終。
2003/1/31....