祈り。
「じゃあ行ってくる。」
赤い服を着た9人が意を決した顔で家を出る。
「気をつけてな。」
ギルモア博士は心配そうな顔をしそう言った。
「・・・・・・・・・・・・。」
は顔を俯かせ。
黙っていた。
これから皆は戦いに行く。
敵は強い。
負けるかもしれない・・。
死んでしまうかもしれない・・。
もう・・ここには帰って来ないかも・・。
もう2度と会えないかも・・。
これで最後になってしまうかも・・・。
の頭には悪い事しか浮ばなかった。
「!」
その時「ぽんっ」と誰かがの頭に優しく手を乗せた。
が顔をあげると・・そこにはハインの顔があった。
「どうした・・・見送りの言葉一つもかけてくれんのか?」
ハインは優しく微笑んでいる。
「っ・・・・・・。」
今まで押さえてたものがせきを切ってあふれてきた。
「みんな・・ちゃんと帰ってきてね・・・。」
は泣きじゃくりながらそう言った。
「心配すんなよ。俺達がそう簡単にやられるかよ。」
ジェットはふっと笑う。
「そうよ。」
「ようだよ。」
みんなも笑顔で頷く。
「うん・・・・・・がんばって。」
は涙を拭き、無理矢理作った笑顔で見送った。
あれから何時間経っただろうか・・・。
日も暮れ当たりが真っ暗になっても皆は帰って来ない・・。
はリビングのソファに座っていた。
みんなが出ていったときから・・何時間も。
ただただ座り、祈っていた。
みんなが無事に帰ってきますように。と・・。
自分には何も出来ない。
本当は一緒について行きたい。
だけど、ついて行ってもひ弱なただの人間じゃみんなの迷惑になるだけ・・。
自分はただ待つ事しか出来ない・・。
祈り・・祈り・・みんなが無事に帰ってくる事をひたすら祈ることしか・・。
だけどこのまま帰ってこなかったら・・・?
の頭に不安が過る。
考えるな・・考えるな・・。
はじわじわとやってくる暗闇に
押しつぶされそうになりながらも必死に逃げる。
しかし、時が経てば経つほど暗闇がせまってくる・・・。
「っ・・・・!」
が手で顔を覆った時。
ガチャ。
音がした。
ドアの開く音が。
は顔を上げ、すぐさま玄関へと走る。
「ただいま・・・・。」
そこには・・ぼろぼろになった9人の姿があった。
「・・・・・・・・・おかえり。」
は涙を流し笑顔で微笑んだ。
終。