今と先。













ジョーが時折見せるあの瞳・・・・・。









「ジョー!これ見て〜今度ここ行こうよ!」


私はソファに座っているジョーの横に飛び乗り
ジョーの腕に腕を回し、べた〜とくっついて雑誌を見せた。

「あ。何?どこ行きたいの?」

そしてジョーは私の問いかけに、にっこり優しい笑顔で答える・・。

「ゴホン!」

すると咳払いが聞こえ・・・。

「・・・・・場所をわきまえろ・・。」

ジョーの前に座っていたハインがそう言った。

「あは、ごめ〜ん。」



私とジョーは数週間前、はれて恋人同士となりました。
もー、ラブラブで何時もべたべたしてハインに怒られています。


今私とジョーは最高に幸せです。



だけど・・・・・。






(あ・・また・・。)


がフランと話していてふとジョーを見ると。
ジョーはを見ているがを見ていなく、
気の抜けた・・どこか悲しげな・・寂しげな・・
苦しそうな眼をしていた・・。

「・・・・・・・・。」

はそんなジョーを見て顔を曇らせる。

ジョーは時折あの眼をする。
は幸せだ。
ジョーも幸せなはずである。
なのに・・・何故あんな眼をするのだろう・・・。

には・・何がなんなのか・・わからなかった・・。



「ジョ〜ォ!」

だけどは何時も通り接する。幸せなのだから。
でもジョーは・・・。

「・・・・・どうしたの・・。」

ジョーは少し困ったような笑顔をした・・。

「・・・・・・。」

徐々に徐々に・・ジョーからは笑顔が消えていく。



ジョーは何を考えているの?
ジョーは何を悩んでいるの?
ジョーはどうしたの?



にはわからない・・・幸せなのに・・幸せなはずなのに・・。

でも・・ジョーの態度が日に日に変わり・・・


次第にも・・ジョーを避けるようになった。





「・・・・おはよう。」

「・・・・・おはよう・・。」


朝、二人は挨拶を交わすだけ・・。
いつもならはジョーの横にすわって
べったり腕に擦り寄っているのに・・・。

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

そして二人はもくもくと朝食を食べ始めた。

静かな部屋にカチャカチャと音が響く・・。


しかし、そんな雰囲気を黙っていられない人物がいた。



「・・・・・っだ〜〜〜〜!!!!!ちょっと来い!!!」


と、言っての腕を掴み、外のテラスへと出たのは・・・ジェットだった。


「な、何、ジェット・・どうしたの?」

はいきなりひっぱられて焦りながら言う。


「・・・・・・まぁ座れよ。」

と、ジェットはテラスの床板に座り、横をに示した。

「・・・・・・・。」

は言われることは察しがついていた。
少し暗い気分で横へと座る。



「・・・・・お前達・・どうしたんだよ・・・。」

やはりジェットが聞いてきたのはとジョーのこと。

「・・何がぁ〜・・?」

は海風になびかれながらうーんとのびをする。

「何がじゃねぇだろ!お前らなんで・・なんで・・喧嘩でもしたのかよ・・。」

ジェットは俯き加減にそう言った。

「・・・喧嘩・・の方がまだましかな・・・。」

「あ?」

「・・・・私も・・わかんないんだ・・・。」

は膝を抱え俯く。


「ジョーが・・なんか悩んでるみたいで・・
なんかあたしのこと避ける・・っていうか・・。
あたしといるのが辛そう・・なんだ・・。
だから・・なんかあたしも落ち込んじゃって・・
なんとなく・・避けてるんだけど・・。」


「・・・あいつ何悩んでんだよ。」

「わかんない・・・。」

「何が辛いんだよ・・・。」

「知らない・・・。」



「お前らなぁ!それじゃあ身を引いた俺は何なんだよ!
お前ら・・二人が幸せそうだったから・・・だから俺はお前を諦めたんだぞ!?」

「・・・そんなこと・・言われても・・。」

は少し赤くなりながら顔を伏せて言った。


「わかんないわかんないじゃねぇよ!
わかんないんだったら真正面から聞け!聞きやがれ!
らしくねぇぞ!!!」


「・・・・・・・・。」


「聞かなきゃこのまま終わる。
聞けば終わらないかもしれない。
どっちが良い!?」



「・・・・・聞く!!!このまま終わるなんて嫌だ!!!」


はガバッと立ち叫んだ。

「有難うジェット!あたしらしくなかったよ!」

「おう!頑張れよ!!」

「うん!!!」

そういうとは窓から中へと入っていった。





「・・・けっ・・何してんのかな・・俺・・。」


そしてジェットは一人微笑みながら海を眺めるのだった・・・。







「ジョー!」


テラスから戻ってきたはリビングに叫ぶが・・。

「あら。ジョーなら部屋に戻ったわよ。」

「え!あ、わかった!」


そしては、バタバタと階段を上った。






「ジョー!」


ノックも無しにはバタン!とドアを開けた。

「・・・・・。」

これにはベッドに座ってぼーっと
外を眺めていたジョーも驚いた。


「あのね!あのね!!もうあたしらしくない
うじうじしたのはやめた!はっきり言う!
ジョーどうしたの!?あたし何かした!?」


「・・・・え・・。」

の言葉にジョーは言葉を詰まらせる。


「なんか・・ジョー最近変だよ・・。
あたし達・・幸せなはずなのに・・ジョー悲しい眼してる・・。」


は下を向きながらつぶやいた。

「・・・・・・・。」

ジョーは黙り込む。

「・・・あたしのこと好きじゃなくなったの?」

は恐る恐る言う。

「ち、違うよ!そんなことない!」

ジョーは叫んだ。

「ただ・・・。」

「・・ただ・・?」




「怖いんだ・・・・。」




「・・・何が?」





「・・・・・この幸せが壊れるのが・・。」




「・・・・・・・・・・。」


ジョーの表情と一言に・・は黙りこくってしまった。


「・・・幸せなのに・・嬉しいのに・・君を好きなのに・・っ
・・・・君と僕は・・違うから・・・・・
いつか僕は・・一人になってしまう・・君はいなくなる・・。」

ジョーは悲痛そうな顔をして自分の手を握り締めた。

「・・まだ何十年も先の話だけどね・・
その時まで君といるとは限らないのに・・
だけど・・・・だけど・・・っ」

そしてジョーは眉を寄せてに言った。


「この幸せが怖いんだ・・君が・・大好きだから・・・・。」



「・・・・・ジョー・・・」

は・・




「・・この・・馬鹿っ!!!!」



叫んだ。


「そんな先の心配してどうするのよ!」

はジョーの前に仁王立ちして大声で叫ぶ。

「そんな・・そんなことで・・・苦しまないでよ!」

は叫ぶが・・。

「・・・・”そんなこと”じゃないよ・・。」

しかし、ジョーは眉をひそめを見た。

「・・・わかってるよ・・あたし達には重要な問題があるって。
これから先・・・辛いことがたくさん待ってるって・・。」

の言葉にジョーもうなずくように顔を伏せる。

「確かに・・先の心配も必要だよ?色々考えなくちゃいけない。
・・だけど・・先を見すぎて今を見失ったら意味ないのよ!?」

「・・・・・・。」

ジョーは俯く。

「先なんて・・後でどうにでもできるんだから!
まだ・・わかんないけど、私がサイボーグになるとか・・」

「そんな!」

の言葉にジョーは否定的に叫んだ。

「だから例えばよ!」

その叫びにも叫ぶ。

「そうやって・・選択肢はいくらでもあるじゃない・・先はわかんないんだから・・。
だから先のことばかり考えて暗くなっててもどうしようもないよ!
ケ・セラセラ!人生なるようになるよ!だから今を楽しく生きようよ!
あたしはジョーが好き!ジョーは!?」


「・・が・・・大好きだよ・・。」


ジョーはの眼を見て小さくささやいた。

「・・・っ・・だ、だからね!」

その言葉と眼には少し顔を赤くし、目線をそらし天井を見ながら言った。

「あたしはジョーが好き!ジョーもあたしが好き。一緒にいるから幸せ。
幸せなら良いじゃない!幸せなら楽しく幸せに過ごそうよ!
色々考えることもあるけど、二人でゆっくりちゃんと考えていけば良いじゃない!
人生楽しんでなんぼだよ!!」

そしてはにっこりとジョーに微笑んだ。



「・・・・・・・・・。」



「わ!」


ジョーは黙ってを抱きしめた。



「・・有難う・・君は凄いよ・・・・大好きだよ・・愛してる・・。」


そして抱きしめながらの耳元で囁く。
そっと、優しく・・思いを込めて。


「ジョー・・・私も・・大好きだよ・・だから・・さ、ずっと・・一緒にいようね。」


も嬉しそうにジョーの背中に手を回し、抱きつきながら言った。






「・・・・うん。ずっと一緒にいるよ・・・・僕の命がつきるまで・・・。」






楽しいことも・・

辛いことも・・

苦しいことも・・



二人で・・ずっと二人で・・・・。






終。


優美さんの90000キリリクでした。



2003/4/13....