異文化コミニュケーション。













それは・・・暮らし始めてから分ったこと・・。








「ふぁ〜・・・あ・・・。」

「あ、おはようジェット。」


「んー・・Good morning・・・。」




チュ。







外人さんはスキンシップが多い。













「っっ!!」



は思わずガタッとソファから立ち上がる。
されたのは頬にだが・・には十分な刺激である。


「・・・?どした?」


した当の本人はまだ少し寝惚けながら何事かとを見ている。


「いっ・・今・・・。」


はしどろもどろ。
そんなに救いの手が差し出された。





「・・・日本人にはそう言う習慣はないんだぞ・・・。」




の向かい側のソファで新聞を読んでいた
ハインが、はぁとため息をつきながらそう言う。


「あ?」


が、まだジェットにはよく分らないらしい。

「・・朝の挨拶にキスはしないんだよ・・。」

ハインはめんどくさくなったのか新聞に目を戻しながらそう言った。

「あ?・・・ああ。なんだそんなことか・・。」

ジェットはまだ固まってるの横にドサッと座る。



「あはは。そんな事じゃないんだよ。日本人にとってはね。」


そこで唯一その感覚が分るジョーが苦笑しながらお茶を持ってやってきた。

「そうなのか?」

そう言ってジェットは隣のを見る。



「そうなの・・。」



はまだ顔を赤くしながら俯いてそう言った。
まだジェットと顔を合わせるのは気まずいらしい。



「・・・ふーん・・・。」



そしてジェットはニヤッと笑った。








「じゃあこの習慣に慣れさせてやるよ。」







そう言うとジェットはガッとの肩に腕を回す。
そうすると自動的にはジェットの方に寄り添う形になる・・。


「なっ!いいよ!そんなことしなくても!!!」


は焦りながらジェットを突っぱねる。

「まぁまぁ、遠慮すんなって。」

「って、意味がわかんないってば!なんでそんな習慣に慣れなきゃ行けないの!?」

突っぱねるだがそこは少女と青年。ましてやサイボーグ。
敵うわけには行かずはジェットの腕の中で暴れる形となっている。



「意味はある!良く考えろ。この家には日本人じゃないやつがいっぱいいる。
割合的に考えるとスキンシップの多い国の方が多いだろ?
ドイツにフランス、イギリス、アメリカ、アフリカ、中国は・・違うけど。
割合的には多い。だから皆普通に朝のキスとかするんだよ。
なのに、お前だけないっていうのも気使って面倒だ。
だからお前が慣れろ。」



「なっ・・・・。」

何その理屈・・。と言おうとしただが。
他人の言葉をすぐ鵜呑みにする性格が祟り。
そうかも・・・。と思い出した。


「んじゃそう言うことで決定〜。皆もやってくれよな〜。」


ジェットは楽しそうにそう決定した。








それからのの生活は散々だった・・・。






「グーテンモルゲン・・。」

頬にチュ。

「っ・・・おはよう・・。」

朝にはおはようのキス。
代表ハイン。





「それじゃあ行って来ますぞ〜、姫君。」

手の甲にチュ。

「いってらっしゃいです・・。」

行って来ますのキス。
代表ブリテン。







「たっだいま〜。」

頬にチュ。

「・・・おかえりなさい・・。」

おかえりなさいのキス。
代表ジェット














「はぁ〜・・・・・。」






その日の夜にはは緊張で疲れきっていた。
バイトがなかったのがせめてもの救いだろうか・・。
はソファでぐったりとうなだれる。


「フフ・・疲れた?」

ジョーは少しからかい気味にそう言う。

「ええ、もう。ドッキドキの連続でね・・。」

はふっと少し皮肉っぽくそう言った。

「お前、こんくらいで疲れてどうすんだよ。たかが頬にキスだろ?」

ジェットは呆れ気味に言う。

「・・・日本人は慎ましいんです。軽々とやらないんです。」

はふんと言い放つ。




「・・・・そう言えば・・皆からはしてるけどからはされてないな・・。」



そこでハインがぽつりと言った。

「え・・・・・・。」

は焦る。
実は自分でも気付いてたが黙っていたことだった。
自分からするなんて・・・たまったもんじゃない。




「じゃあ俺は今から寝るからおやすみのキスしてくれるかな・・・?」



ハインは意地悪そうに少し笑いながらそう言った。

「え!!?」

は焦る。




「いや・・それは・・・。」

「習慣になれるんだろう?」

「でも・・。」

「いつまでたっても慣れないぞ?」

「・・・・・・・分ったよ・・。」



ハインに押されは覚悟を決めた。







反対のソファに座っていたので
とハインは立ちあがりドアの方へ少し出た。



「じゃあ・・・おやすみなさい・・・。」


「おやすみ。」



ハインは届かないのために少し屈んだ。
されど高いためは爪先立ちし
まだ少し迷いながら顔を赤くし頬にしようとした。
その時。










「やめやめ!!!!!」








「へ?」

いきなりジェットの声が響いた。
は何事かとジェットを見る。


「やっぱやめようぜ。
日本人にはこう言う挨拶やスキンシップはあわねぇみたいだし。」


ジェットは立ち上がり。
とハインの間を通りながらそう言う。


「え・・あ、うん。やらなくて良いなら良いけど・・。」


は嬉しい知らせに戸惑いながらそう言う。

「プッ・・クックック・・・。」

そしてハインは笑う。
しかしには何がおかしいのか分らなかった。



「じゃあな。俺は寝る。」



そう言うとジェットは少し顔を赤くしながらリビングから出ていった。



「・・・・・・。」

は、ほけっとしながらジェットによって閉ざされた扉を見つめる。

「ククク・・。」

するとジョーまでも笑い出した。

「???」


「あいつもガキだなぁ・・・クク・・。」


が何事かと思っているとハインが笑いの間をぬってそう言った。

「?」

しかしには何が何だかわからなかった。














その頃ジェットは廊下を自室へと向かい歩いていた。






「まったく・・他の男にキスするとこなんか見たくねぇよ・・。」











終。