ぶらり湯煙二泊三日の旅。













「温泉に行こう!!」



ある日の午後。
買い物から帰ってきた
リビングに入るなり開口一番にそう言った。



「は?」

「え?」


リビングに居た誰しもが首を傾げる。



「見て〜!商店街の福引きで当っちゃった!!!二泊三日だって〜!!」



そう言って取り出したのは温泉宿泊券五枚・・・。


「へ〜温泉か。」

ジェットはそう言い。

「でも・・五枚しかないぞ?」

ハインはそう突っ込んだ。
00ナンバーは九人。博士とをあわせて十一人・・。
到底足らない・・・。






「・・・・・・・・あ。」















「行ってきますー!」



ある晴れた日、温泉へと向かった。
厳選なる話し合いの結果。

「わーい!温泉!」



「運転疲れたら変わってくれよ。」

ハイン。

「あ、うん。」

ジョー。

「あー・・眠ぃ・・・。」

ジェット。

「えっと・・温泉までは・・・。」

フランの五人となった。


決して誰かが行きたいオーラを出しすぎていた訳でも。
僕を行かせなかったらどうなるか分かるね?という
無言の圧力をかけていたわけでもない・・。




「あ〜あ・・でも・・皆に悪いことしちゃったね。」

と、楽しげにしていたがふと言った。


「・・・まぁ・・しょうがないだろう。
何時敵が来るかわからんしな。誰かが残ってないと・・。」

「それに券もないしね。」

「そうだね・・。」

それでも、少し暗くなっていると・・。


「落ち込んでてもしょうがないわ。
皆の為にも満喫してきましょう。」


フランがにっこりとそう言った。


「うん・・・そうだね!」




そうして車は温泉地の山へと走る。














「到着・・っと。」


旅館についた一行だが・・。




「・・・・・・・・。」



はかなりよれよれだった。
何故なら・・・。



「・・・ハインもジョーも運転荒いよ・・・・。」



そう、二人の運転が荒いため酔ったのだ。

「そうか?」

ジェットはなんともないらしい・・。

「大丈夫?」

そしてフランも・・どうやらサイボーグは
酔わないように出来ているらしい・・。



「部屋で休むといいよ。」


ジョーのその言葉で一行は部屋へと向かう。



多国籍なメンツのため従業員に驚かれたが
一行は何事もなく部屋へと向かった。
が、通されたのが・・・。




「え、一部屋・・・?」

ジョーは思わず口に出す。

仲居さんに通されたのは一室で・・。

「はい、ご家族五名様なので・・・・。」

そうにっこりと営業スマイルを送られた。


「・・どうしましょうか・・・。」

フランは悩んだが・・。




「別に良いんじゃない?家族みたいなもんだしさ。」



はあっけらかんとそう言った。




【良くないつーの・・。】



そう何人が思っただろうか。
しかし

「そうだね、別に良いんじゃない?」

にっこりとそう言うやつもいる・・。


まぁ、どうすることも出来ず、結局五人は一部屋で過ごすこととなった。






「あ、露天風呂あるって!」


荷物を置き、一休みにお茶を飲んでいると
案内を見たがそう言う。

「露天風呂か〜。」

ジョーは嬉しそうに微笑み・・。


「「「露天風呂って何?」」」


そう他の三人は言った。



「え・・ああそうか。知らないんだ。」

は一人納得する。

「まぁ、百聞は一見に如かずっていうからね、行ってみようよ。」

「そうだね!」

ジョーの提案にはのった。


「じゃあ浴衣浴衣〜。」

は浴衣の入っている扉を開け中から浴衣を取り出す。



「お、浴衣じゃん。」

浴衣は知っているらしくジェットは嬉しそうに言う。

「お風呂から上がったらこれ着てね〜。」

は一人ずつに渡す。

「・・・・どうやって着るんだ?」

ハインが疑問を抱いたが・・・。


「あ〜・・・まぁ、着るときにジョーに聞いてください。」


ここで脱いで教えるわけにも行かずはそう言った。


「温泉温泉〜!」



そして達は露天風呂へと向かった。








「うわー!広い!!」

露天風呂につくとはうきうきしながら乳白色のお湯へと足を入れる。


「これが露天風呂ね・・。」


フランも夕焼け色の空の下で入る広いお風呂に嬉しそうだ。



一方、男風呂は・・・・。





「うおーー!広ーーーー!!!」


ジェットが叫んでいた。

「ジェ、ジェット・・他の人もいるから・・・。」

ただでさえ外人というだけで目立つのに・・。
とジョーは赤面する。

「ったく、あの馬鹿・・。」

ハインもため息を吐いた。
因みにハインの身体には人工皮膚を取り付けているため
普通の身体と同じようになっている。



「うーん・・・しかし俺達の身体に効果は無いが
なんだか気持ちが安らぐな・・・・。」

ハインはそう言う。


「そうだね・・。」


ジョーもその言葉に複雑な顔をしながら同意した。


と、静かに浸かっていると・・。




[あ、フランちゃーん。]




の声が聞こえてきた。



「「「・・・・・・・・。」」」




「隣、女湯か!?」


ジェットが今にも飛び立たん勢いで立ち上がる。


「ジェ、ジェット・・・・。」




「おーい!ーー!!!」



ジェットは叫ぶ。



[あ、ジェットー!]



しかもは返事をした。



[どおー露天風呂ー!]



「あー!最高ーーー!!」


違う意味もあるだろう・・・。と
ハインとジョーは心の中で突っ込んだ。



「そっかー!良かったーー!!じゃあそろそろ上がるねー!」


「おう!!」



そしてとフランの声が聞こえ、隣は静かになった。



「よし、じゃあ俺らも上がるか・・。」


「そうだね。」



そうしてハイン達もあがることにした。










「あー良いお湯だった!」


フランに浴衣の着方を教え、出てきた二人。
あたりを見渡すと・・まだ三人は出てきてないらしい。

と、男湯の方で何やら声が・・・。


「だからどーすんだよ!」

「だからこうすれば!!」


どうやら浴衣の着方で一悶着しているらしい。


「あはは。」


とフランは顔を見合わせ笑うと三人を待った。
そして数分後、男湯の扉が開いた。



「お待たせー。」

「・・・なんかしっくりこねぇ・・。」

「これで良いんだろう・・。」



と、そこには浴衣姿の三人が・・・。
三人の浴衣姿はジョーは可愛く。
ジェットは少し崩した感じに前がはだけ肌がちらつき。
ハインはぴしっと決まり、濡れて艶めく髪が色気を漂わせていた・・・。


「っ・・・・・・・。」

は思わず鼻を抑える。


「三人とも遅いわよ。行きましょう。」


そんなとは対照的に平静としているフラン。

「う、うん。」

も取り繕い部屋へと向かうフランの後を追った。

しかし、どきどきしているのはだけではない。



「「「・・・・・・・・。」」」


後ろの三人もどきどきしていたりする・・。
の浴衣姿に・・・・。

髪は上げられ首筋が見える。
そしてそこにつたる水滴・・。
おまけに暖まりほんのり頬が赤らめている・・。

三人は三人とも顔を背け、にやついていた・・・・・・。







そして部屋に戻ると、部屋にはすでに夕飯の準備がしてあり
五人は夕飯を食べることにした。



「お飲み物は如何しましょうか。」


と、仲居さんが聞いてきた。

『・・・・・・・。』

悩む一同。
実年齢はかなりの年をいっている者も居るが、
見かけは十代の者もいる・・・・。


「取りあえずビール二本とジュース三本で・・。」


ハインは考えた末、こんなものか?と微妙な答えをした。



そしてすべての料理が運ばれ、五人は食べはじめた。



「・・・はー・・うまいな・・。」

ハインはビールを飲みそうつぶやく。


「あ、俺もー。」


そしてジェットもビールに手をかけた。


「・・・・・・・。」


ハインは微妙な顔をしてジェットを見詰める。

未成年だが未成年ではない。
まぁ、人間ではないし良いか・・。

とハインは納得した。
そしてまた飲もうとすると・・・。





「あ、あたしもーー。」



がビールの瓶に手をかけた。






は未成年だろう・・・・・・。」





ハインが突っ込む。


「良いじゃない〜、こんな時くらい。」


はほほえみ、手を止める気はない。


「・・・・・・・・・・。」


ハインは考え・・・まぁいいか。と笑った。






まだ、この先のことなどわかるはずもなく・・・・・・。









皆でわぁわぁと料理を食べているとビール瓶の数も
どんどん増えていき、そろそろ料理もなくなってきた頃・・・・。



「な。」


ジェットは隣に座っているに話し掛けた。


「・・・・・・・・・・。」


は言葉に反応することも無くぼーっとしている。



「・・・?」



ジェットがの顔を覗き込むと・・・。






「ジェット〜〜!」





はがばっとジェットに抱き付いた。



「え!?」


『!!!!』


ジェットは赤くなりながら叫び。
他の三人は何事!?と焦った。
その内二名の焦りようは半端なもんじゃない。



「うふふふ。良い体してるわ〜、ジェット大好きーー!」



はどこぞのおばさんのような発言をしながらジェットにもたれ、抱き付く。




!?」



ジェットは焦る。

何故なら布一枚の浴衣・・・。
さっきから布ごしにあたってくるものや。
温泉効果でしっとりとすべすべな肌がこれまたくっついてくる。
そしてとろんとした眼。

好きな女にこうされちゃジェットだってかなわない。




「っっ・・!!」



ジェットがどうすれば良いかパニックになっていると・・・。









「スー・・・・・・。」







ジェットの胸元から寝息が聞こえてきた。


「・・・へ?」


そうは寝ていた。




「・・・・・・・・・・・・・・・。」



ジェットは呆然とする。
他の皆も同様だ。



「・・・酔っ払ってたのかな・・・?」


ジョーが恐る恐る口にする。


「・・・・・そう・・みたいね・・・。」


フランがの横を見て、顔を引き攣らせながらそう言った。



「「「?」」」


三人が不思議に思いそこを見ると・・。


そこにはビール瓶三本が・・・・・・・・。




「・・・・・・まぁ・・寝かせるか。」


ハインがもう二度とには酒を飲ますまい・・。と
思いながらジェットからを剥がす。が。



「・・・・・・・・・・・。」



いくら引っ張ってもはジェットに抱き付いた手を離さなかった。




『・・・・・・・・・・。』




全員はこれまた沈黙し・・。




「・・・・・・・・・。」




「・・・・・・・・っ。」



ハインはしばらく悩み・・・・。




「・・・しょうがないから、お前そのまま寝ろ。」




しぶしぶジェットにそう言った。



「ええ!?」



嬉しいような拷問のようなジェットは複雑な思いで叫ぶ。






と、そう決まるとフランがご飯を食べていた隣の部屋に布団を敷き。
ジェットはを抱え、そこに横になった。


「・・・う・・・ん。」


「!!??」


と、横になると更にはジェットにぎゅっと抱き付いたため
ジェットは朝まで拷問になったのであった。
手を出そうものなら・・。


ジャキン


と隣から何やら構える金属音が聞こえてくる・・・。




「っ〜〜〜!!!!!!」


寝れるはずもなく、ジェットはその夜
襲いくる欲望と戦いながら朝を迎えた・・・。











〜朝〜



「う・・・・ん・・。」


うっすらと眼をあけたは側にある暖かいものに顔をすりつける。
そしてだんだん視界がはっきりしてくると・・。
目の前には浴衣と誰かの胸があった・・・。
眼を上に持って行くと・・・。


そこにはやっと眠った疲れ果てたジェットの顔があった・・・。






「きゃーーーー!!!」








終。


2002/10/25....