雨後晴。













「雨だ・・・・・。」






は空を見上げながらそう言った。




ここはコズミ博士の家までの山道。
は手にスーパーの袋を持ち山道を歩いていた。
もちろん一人ではない。

「雨降って来やがった。」

チッと舌打ちするジェット。

「どうしようか・・。」

辺りを見渡すジョー。

「・・・・・・。」

そして考えこむハイン。


この三人と一緒だった。




買出しを頼まれた
一人で行かせられるか!とジェットも行く事なり。
じゃあ僕も行くよ。と、にっこり笑顔のジョー。
じゃあ俺は、お前等の保護者役で・・とハイン。

要するに皆、心配でついて行く事にしたのだが、
抜け駆けは許さないぞ。と言う事でもある。

そんなこんなで買出しを終えた四人だったが・・。






「・・うわー。濡れるー。どうしようか・・・。」


がつぶやく。
そこで三人の目が光った。







「じゃあ僕と加速装置で家まで帰ろうか。そうすれば一瞬だよ。」






「うわぁ!」


「!!」
「!?」


さっとをお姫様抱っこし。
にっこり笑顔で微笑むジョー。




「燃えるっつーの。」




「うわぁ!」



と、ジェットが突っ込みながらひょいっとを奪った。






「それよりも俺と一緒に飛んで帰った方が良いだろう♪」






ジェットもを抱えにこっと微笑む。


「えっと・・・。」


「危ないし、雨が当って痛いだろう。」



が困っているとハインがすっとを奪い地面に降ろした。






「・・・まぁ・・もうすぐ家だ。このまま歩いていくのが無難だろう。
雨宿りできそうな所もないしな。」





がほっとしているとハインがそう決めた。


「でも・・濡れると風邪をひくな・・・。」


ハインはを見てじっと考える。


「え?」


がそう言うのと同時には引き寄せられ
ハインのコートの下に収まっていた。


「!?」



「!!」
「!?」



は慌て。
ジェットは声を殺して叫び。
ジョーは、あ。と口をあける。



「ここなら濡れないだろう。」


そしてハインはふっと微笑んだ。



「ええ!?い、いいよ!みんな濡れてるんだから!あたしも平気だよ!!!」



はもっともらしい事を言いながら、ただ恥ずかしいので離れようとする。


「てめぇ何やってんだ!!」


そしてジェットが切れる。

「・・・・・・・・。」

そしてジョーは無言のままハインを見つめる。
こっちの方が怖かったりする。



「じゃあなんだ。お前らが濡れて風邪引いても良いっていうのか?」



ハインは微笑ながら言う。



「くっ・・・それは・・。」

「・・・・・そうだね・・・。」





勝者ハイン。

















「・・・・・・。」



その後、歩き出した一行。
は気の休まる時がなかった・・・。
まぁ、ハインが歩調を合わせてくれているので楽は楽なのだが・・。





「機械の体に雨はこたえるな・・・。」




と、ハインがぽつりとつぶやく。


「でも・・・人間だと風邪ひくしね・・・・サイボーグと人間・・どっちが良いのかね。」


しとしとと雨の降る中。
は遠い眼をしてそうつぶやく。






「・・・・そんなの・・・人間に決まってんだろ。」





と、ジェットが口を開いた。


「そう?」

はいつにもなく反抗的だ。

「あったりまえだろ。」

「そうだね・・。」

ジョーもジェットの意見に賛成のようだ。


「なんで・・?なんでそう言いきれるの?
だって・・皆凄い力持ってるんじゃん・・なのに・・なんで?」


一人だけ人間で・・いつも足手まといだと思っているは言う。


「それは・・そうだけどな・・・。」

ジェットは空を見上げる。

「うん・・・・。」

ジョーは俯いた。





「・・・・人間の方がいいんだよ・・・・。」





そんなにハインはほほえみ、つぶやく。









「でも・・ジェットとジョーとハイン・・・他の皆も
普通の人と変わらないよ?なのに凄い力持ってるなんて・・。
普通の人よりも凄いじゃん。」









「「「「・・・・・・・・・・・・・・・。」」」










(凄い・・・ねぇ・・。)

(普通の人と変わらない・・か・・。)

(ふふ・・・。)








「あ!雨やんだ!!!」







は雨が止み、夕焼け色に染まる空を見上げる。
そして微笑んだ。








「・・・よっしゃ!じゃあ空中散歩だ!」




「え?・・うわっ!!!!」


そう言うとジェットはを抱き上げ空へと飛び立った。




「あ!こら!!!」



ハインは一瞬の隙にをかっさらわれ、空へ手を伸ばす。
が、もうジェットは空の彼方。


「ったく・・・・。」




















「うわー!!夕焼けが綺麗!!!!」







ジェットに連れられたは、地平線に沈む陽の光に照らされ、
360度全てが夕焼け色に染まる光景に声を上げる。



「雨上りの散歩は綺麗なんだぜ・・。」



ジェットはご機嫌でに話す。



「うんっ!綺麗だね!!」



は瞳を輝かす。









(なんでこう嬉しいことばかり言ってくれるかな・・・。)






ジェットはの横顔を見つめ心の中でつぶやく。




サイボーグにされたのは嫌だったけれど・・。
お前にそう言われると、まぁこれでもよかったかもな・・と思えてくる。
そしてお前に出会えたんだから・・・。

もし俺が黒い幽霊団にさらわれなかったら・・。
サイボーグにならなかったら・・・。
きっとお前と出会っていなかっただろう・・。
今日も同じことの繰り返しの毎日を・・。
別々の国で。別々の場所で。
ただ、淡々と過ごしていたのかもしれない・・。
そう考えると・・こんな体にされても・・。
お前と出会えたんだから・・こうして笑っていられるのだから・・。
良かったのかもしれない・・。


そう思えてくる。







「・・・ありがと・・・な・・。」





「へ?何が?」

ジェットのつぶやきにが返す。


「・・・・なんでもねぇよ!」


そう言うとジェットは笑顔でチュっとのおでこにキスをした。




「!?」



は真っ赤になりながら焦る。








「ふっ・・さーって!家に帰るぞー!!」












そんなを見ながらジェットは笑みを浮かべ、
今日もみんなのいる家へと帰るのであった。











終。